心に触れる話し方

遠方の為、なかなか行けていなかった主治医の元へ、プチ朗報を持って診察。婦人科での検査結果を心配してくれているかと思いきや、第一声で伝えてくれた言葉は、「あれから、お母さんとのこと大丈夫?」でした。
主治医のところで受けた血液検査の結果が悪く、健診を早め、さらに悪い結果で婦人科へ行くことになったというところまで知ってくれていて、最後に母の入院でちょっと参っていると弱音を吐いたことが、ずっと引っ掛かってくれていたよう。子宮ではなく、貧血だったことを伝えると少しほっとしてくれたと同時に、妙に納得もしていました。

そもそも血液検査は、ヘモグロビンの値がやたらと低く、去年子宮の病気を患った経緯を知っていた先生は、子宮からの出血を疑ってくれたということが発端でした。でも、実際は貧血という結論で、改めてそのことを話すと、女性ホルモンのバランスを相当崩した結果ではないかというのが、角度を変えた主治医の見方でした。調子を崩した時期を巻き戻してみる。あ~、母の手術が決まり、会おうかどうしようか迷っていたあたりでした。その時期から月に一度の周期が乱れ、なんだかおかしいということを気のせいにしていたような。とりあえず、鉄分はサプリで補い、貧血に効く漢方は既に処方されている中に含まれていたので、一旦様子を見ることに。

「お母さんとの関係が逆転しているということは、大変なことだよ。他人じゃなくて、自分の親だからね。相当な負担があるのかなと感じていたよ。僕の患者さんで、会社員の女性も何人もいるんだけど、人間関係で悩んで、ホルモンバランスを崩して漢方の処方をお願いするケースも珍しくないよ。上司とよく話してね~なんて、笑って伝えたりしているよ。」

主治医は、漢方内科医でもあり、総合診療科の医師でもありました。心と体がいかに繋がっているか、その不調はどこからきているものなのか、痛みを和らげるにはどうアプローチしたらいいのか、患者さんの話を聞く中で、“最善”を探していく。その人に合う漢方を組み合わせて処方してくれる主治医のマジックに、いつも救われた気持ちになります。
そして、話の合間に、女性ホルモンを崩した原因は、元々の根源である母との接触にあり、でもそれはあなただけでなく、他の人もそれぞれの立場で似たようなことが起きている、だから決して自分のことを情けなく思わなくていい、ゆっくり整えて行こう、そんなメッセージが伝わってきました。小田和正さんにそっくりな声で、患者さんを尊重してくれる医師。青の白衣もフェチになりそう。こんなことを言っている時点で、バランスが戻っていたりして。

そんな優しい気持ちに包まれて、スタバで書いていたら、可愛いスタッフの方が、「お仕事中にすみません。新商品のドリンクを、良かったら試飲してみてください。」と渡してくれました。気持ちが和む話し方をし、時間がさらにゆっくりと流れる。こちらの時間を止めてしまうことを恐縮してくれたスタッフさん。そんなサービスが、丸ごとスタバなんだろうな。

以前、息子の幼稚園で、駐輪していた隣の自転車を倒して鈴を壊してしまい、そのお母さんにただただ平謝り。するとにっこり笑って伝えてくれました。「随分壊れていて、買いに行こうと思っていたんです。きっかけがもらえて良かったです。だから全然気にしないでくださいね!」咄嗟にこんな言葉をかけてくれる優しいママに助けられました。
周りにいてくれる方達の気持ちを、どこまで吸収できるかは自分次第。