自分の足で立つということ

今日は地元の神社で夏祭りがあり、息子はお友達と待ち合わせをして、小銭を握りしめ、喜んで出かけていきました。ママよりも友達、その割合がとても自然な形で大きくなっていくのだろうと思うと、嬉しくて。精神的自立、彼の持つ力をどんな時も信じて、そっと離れるスタンバイをしておこうと思います。広報委員で仲良くなった友達が、親子揃って『呪術廻戦』を勧めてくれたので、春から息子と一緒に見始めました。すると、相変わらず質問が待っていて。「ママは、誰が好きなの?」と。「七海さん。」「なんで?」彼は必ず理由を聞いてくる。「今回は上手く説明できないんだけど、人として惹かれるものがあるんだ。」「ふ~ん。ボクは五条先生。格好いいから。」そんな話で、二人で大盛り上がり。ネタバレになるといけないので深くは話しませんが、七海さんの過去のエピソードを見てぐっときました。どうして“今”があるのか、その人のバックグラウンドにある一瞬の光に、いつもこちらの方が励まされている気がします。転機、大切にしていきたいですね。

2か月ほど前、プログラマーのMさんに、『幸せになる勇気』(岸見一郎・古賀史健著、ダイヤモンド社)を借りてようやく読み終わりました。こちらは、『嫌われる勇気』(同著、同社)の続編で、その時と同じような読後感で、心に沁み込んだものをゆっくりと味わっています。どちらもタイトルだけで励まされ、今回もこの本をこのタイミングで読めたことに、また意味があるのだろうと思いました。自分の弱さともう一度向き合い、またここから始めよう、いろんな勇気を一冊の本からもらえたような気がしています。読後感、やっぱりちょっと違うな。二冊目の方が、ほんのり寂しくて。それはきっと登場人物の方達に支えられ、本を閉じた時、自分の足で歩こうって思わせてくれたから。振り返ったら怒られそうで、そんな“別れ”が少しだけ自分を強くしてくれたのかもしれません。いい本との出会いは、どこまでも続く。
8月は、思い切って、シェアオフィスを休会することにしました。ラガーマンTさんに相談すると、快く状況を理解してくれて。表向きの理由は息子の夏休み、でも気持ちの面では少しの間一人になりたいと思い決めました。初めてシェアオフィスをドロップインで利用させて頂いた時、ステップアップされた方の退会で、感謝の気持ちを込めて焼き菓子が置かれているのを見かけ、胸が熱くなりました。会話はなくとも、そこで働いていた仲間の存在に助けられていたんだろうなと。だから私も退会することがあったら、飛躍する時だと決めていました。ホルモン治療が始まり、メンタルの落ち込みが酷く、思うように書けなくなった日々。半分書いて、Deleteキーをダーッと押し、白紙になった画面を見て、何をやっているんだろうと思いました。頭痛も酷くなり、夫のいる家には帰りたくなくて、キーボードに手を置いて固まっている私の異変に、不動産関係のお仕事をされていたHさんも、ミルキーのKさんも気づいてくれて。そっと見守ってくれている彼らの眼差しはあたたかく、そんな空間に助けられていました。通い始めてもう三年、いろんなことがあったなとしみじみ思いながら、受付を通過しようとすると、ネネちゃんと同い年の女性スタッフさんがいたので軽く談笑。毎月ホワイトボードのカレンダーに絵を描き込むのを、私が楽しみにしていることを知っている彼女は伝えてくれて。「○○さんが1か月休会だって聞いたので、8月の絵は写真に撮っておきますね!9月に見てくださいね。」待っていてくれる人がいる。なんだか泣きそうになりました。本当のホームを見つけたんだなと。手先も器用なスタッフさんに厚紙で桜の木を作ってもらった春。ランチを食べ、戻ってくると桜の木が二本、デスクのお菓子ボックスの前に並んでいました。お礼を伝えに行くと、「せっかくだから双子ちゃんの桜にしたんです~。」と笑ってくれて。また治療が始まる前に、一年中春でいられるようにと心の中で祈り、制作をお願いした後、彼女の気持ちは二倍で返ってきて。その後、名古屋で買った桜のういろうをプレゼント。スタッフさんの笑顔は満開になりました。お互いが満たされるってきっとこういうことなのだと。本当に嬉しかった。

夏祭りで夕方に帰るはずの息子が3時に帰宅。ひとしきりくじで当たったおもちゃや、食べた物の説明をしてくれて、一緒に遊びたそうだったのですが、記事の途中だったので、状況を説明して息子の部屋にきました。ちょっとだけ寂しい思いをさせたかな、でも一緒にカレーを作る約束をしたから。「自宅は、一番最初に社会を学ぶ場所。お母さんは親だから偉い訳じゃないんだ。ただ、Rよりも経験してきたことがあるから、そういったことを沢山伝えていきたいって思っているよ。お母さんが言うことは必ずしも正しいとは限らない。だから、Rが時間をかけて何が正しいのか見つけていってくれたらいいって思う。人対人、相手の立場に立つって難しい時もあるけど、逆の立場だったらどう思うか、そういう視点が持てると優しさを向けられることもあると思うんだ。家の中で学んだこと、それがこの先社会に出て行く上で、少しでもRの心の中に残ってくれたら嬉しいよ。お母さんは、Rから沢山のことを教えてもらっている。だから、ありがとうね。」そう伝えると、目に涙を溜めて頷いてくれました。あなたといると、小さい頃の私が顔を出す。本当はこんな気持ちでいたんだなと本心がくっきり見えて、息子を抱きしめると、その年の自分が抱きしめられたような不思議な気持ちになる。助けられているのは私の方。彼が自分の道を見つけてきたら、思いっきり背中を押して、笑って見送ることにします。新しい世界、辛い中にある優しさをきっと息子は見つけてくれると思うから。それが生きることなのだと。