いろんな形

台風が発生し、気圧の変動で気持ちがざわつき始めたので、自転車に乗り仲良くさせてもらっている住職さんのお寺へ。ご本人にお会いできなくても、お賽銭を投げ入れ、手を合わせると気持ちが前回同様に楽になりました。すると、後ろの方から「ああ!」と声が聞こえたので振り向くと、住職さんが嬉しそうな笑顔で迎えてくれて。「大丈夫?」第一声がその言葉だったので、胸がいっぱいに。ここに来るということは何かあった?そんなニュアンスが感じられ、鋭いなと思いつつも伝えました。「こんにちは!元気です!」「それなら良かった。この間は、五穀米をありがとね。」お電話でもお礼を言われたのに、もう一度直接伝えられ、あたたかいものが流れていきました。この方は、感謝で心が覆われているのだろうと。それとも芯の部分か?どちらにしても、光が集まるオーラは今日もご健在だなと嬉しくなって。「こちらの方こそ、貴重なお守りを頂きありがとうございました。今日、もし住職さんにお会いできたら渡そうと思って。」そう言ってバッグから1本のバナナを手渡すと、爆笑しながら喜んで受け取ってくれました。そのバナナはね、行きつけのスーパーで見つけたもの。いつもは4、5本が房になり売られているのだけど、その日はたまたま6本のものを発見し、その時真っ先に住職さんの顔が浮かびました。身の丈に合ったことをする、それがもしかしたら一番喜んでくださることなのではないかと。真っ黄色のバナナが、まるでバトンのようで、陽だまりのような時間がまた待っていました。「あなた自身が一番大切、お母さんがどっしり構えていたら、近くにいる子供は安心するよ。心って伝播するからね。母と子の関係はなおさらだと思う。」言葉が自分の中に沁み入っていく。「はい。いつも沢山助けられています。また寄らせてください。」「バナナありがとね。いつでもおいで。」そう伝え合い、お互い笑顔でお別れ。厚い雲が広がっていた空は、住職さんと会話を始めた時から太陽が顔を出し、帽子を被ってこれば良かったと驚いて。目に見えない力が、やはりここにはあるのかもしれないな。

親子関係ね~とあれこれ思考を巡らせながら帰宅をすると、ふと岐阜にいた小学校時代を思い出しました。祖母が他界した後、父が単身赴任をしていた社宅へ女性3人が引っ越しをすることに。まだ現役でバリバリ働いていた祖父は、実家を守る為にもひとりで残ってくれました。私も転校し、学校は遠いし慣れない生活で大変だなと思っていると、家に電話が。「お~い。Sちゃんか。そっちの生活はどうだ?」「おじいちゃん!元気?!坂道大変。おじいちゃん、ご飯はちゃんと食べてる?」「この間は和食のお店に行って、今日は中華料理店に行ってきたよ。おじいちゃん、すっかり常連さんでお店の人も覚えてくれてな。」「それは良かった。ほっとできる場所って大事だね!」そんな話でわいわい。その後、電話を切ると母が気づき伝えてきました。「電話代がかかるから、あまり長電話しないでね。」そう言われ、何とも言えない違和感が駆け巡って。お母さんは、自分しか見えていないんだなと。おじいちゃんは、おばあちゃんを亡くしてまだ半年も経っていないのに、女性3人もいなくなり、ひとりで寂しさを抱えている。それでも表には出さないように、家族の為に働き、みんながいつでも帰れるようにと家を守ってくれている。孫と話すことは、おじいちゃんの唯一の癒しであって、それが母には分からないのだろうと。点で捉えるか、もっと大きな視点で捉えるか。漠然としながらも、小学3年の私には家族のズレが見えていたのだろうと思いました。祖父と孫のホットラインは、雑音に翻弄されることなく、こうやって長く太く繋がっていたんだ。

ぎっくり腰になった時、マンガのように体中電気が走ったような激痛と怖さがあり、吐き気にも襲われました。今まで経験してこなかったことに遭遇すると、恐怖が襲ったりもするんだなと。変な姿勢で固まりゆっくり深呼吸をすると、それがぎっくり腰だと頭が認識し、父の経験談も思い出して、落ち着きを取り戻すと吐き気も治まっていきました。知識や経験が、次の安心感に繋がっていくのだと身をもって感じた意味のある出来事でした。マブダチK君が、家族のことで疲弊しまくっていた若かりし頃の私に、何度も聞いてくれたことがあって。「はっきり言ってSの家族がやっていることってめちゃくちゃだぞ。でもSはひねくれない。それが不思議で仕方がないんだよ。」と。「いきなりオギャーと生まれて毒を吐く人はいないと思うんだよ。でも、お母さんは厳格なおじいちゃんの元で育って、浮気を繰り返すお父さんと夫婦でいる中で、精神的に不安定になった。環境がそうさせてしまったとも思っているよ。理由が分かっている、それが私の中で大きいのかもしれないね。」「なかなかそこまでの考えにはならないぞ。でもなS、苦しくないか?」そう言われた時、何も返事はできませんでした。本当は苦しかったから。でもそれを伝えたら、目の前にいる大切な友達をもっと辛くさせてしまうと思ったから。「大丈夫。」この言葉を、彼はどんな気持ちで受け取っていたのだろうと思いました。「大丈夫じゃないってたまには言え。俺の前じゃなくてもいい。Sが本当に弱音を吐ける人に出会ったら、その時は素直に話せ。」この想いの深さを改めて知る。

息子を妊娠中、祖父と母が一悶着あった後、気がおかしくなった電話が彼女から何度もかかってきました。姉はスルーしているのは分かっていて、深呼吸をして電話に出ることに。浴びせられる罵声、母が落ち着くまでひたすら聞いていました。ようやく終わり、電話を切った後お腹をさすりながら伝えていて。「嫌な気持ちにさせちゃってごめんね。電話は取るべきじゃなかったのかもしれない。でもね、おばあちゃんも辛そうで、言われている間ママね、心を守っていたよ。あなたに影響してしまわないように。外の世界は、明るいものだけじゃない。辛いこともある。それでも、あなたを全力で守るから。」声をかけると一粒の涙が溢れ、本当に息子が聞いてくれているようでした。この世に生を受ける神秘、死を迎えるその時まで、どう命を使い全うするのか考え続ける旅に出る。いい人生でしたか、一番最期に自分に問いかけたい。