ダブルチェックじゃ足りない

大学図書館で経理的な仕事をしていた頃、締めに間に合うよう最終確認をし、そのまま書類を経理へ持って行こうと思っていました。が、なぜか分からないのですが、もう一度確認したい衝動に駆られ、最初から見直してみると、教授に依頼されて購入した本を、5000円と計上していたのですが、実際は50000円で、慌ててその間違いに気づき、修正。いつも大体ワンコインで買える文庫に慣れてしまっていたので、5000円だけでも十分高いと思っていたのですがまさかケタが一つ違っていたなんて。ダブルチェックでは全然足りないと感じた痛恨のミスです。経理に出す前に気づいたので上司には内緒。ちなみにその本は、芸術関連のものでした。

息子の宿題の中で、本人が苦手としているのは音読。ひらがなは大分書けるようになってきたものの、実際に文章にして読むとどうも怪しい。何度やらせても途中でぐずりだすので、そんな時は私も怒りながらも仕方なく気分を変えようと、違うプリントをやることにして。不思議と時間が経つと、お互いのイライラも消え、心に余裕が生まれるのか最初よりはいい感じに。くまさんとりすさんが出てきた内容だけはしっかり読めていて、ストーリーも重要なのだと色々驚かされます。

その宿題の内容を、先生が書いてくれた黒板から写してくるのですが、枠の中に収まりきらなくていつも終わりの文字がキュンキュンに。もう少し文字の配分を考えようよと思いつつ、本人なりに精いっぱいなよう。そして、週末に先生から届く伝言板に、こんなことが書かれていました。『黒板に写す文字に苦戦しているようですが、きちんとできるまで何度も書き直し、その姿が本当にえらいです。』と。なんだか沁みました。書かれた文字という“結果”ではなく、本人が一生懸命書いているその“経過”を先生が見てくれていたから。ツメツメの文字を見ながら、頑張ったのねって、そんな姿を褒めてくれてありがとうと思いました。びっくりするぐらい先生が律儀な方で、週末の伝言板は強制でもなんでもないのですが、返事を書いているとエンドレスになる予感。終わり時って意外と難しい、本当に有難い文通の裏側です。

とても慌ただしかったここ数か月。Wordで書いた記事を、Excelにも必要事項を記入し、それを元にこのサイトの裏側にある設定画面でスタンバイするような形にしているのですが、時間に追われていたのか、なぜか一つの記事を飛ばしてしまっていました。後から気づき、読み返してみたら非常につまらない。自分で忘れてしまうようなものなので、結局はそれだけの内容だったのだと自然な形でお蔵入り。

ある時、プログラマーのMさんが伝えてくれました。「Sちゃんは、連敗が続いた後の1勝を伝えたいんだよね。沢山辛い思いをした後の1勝がどれだけ大きなものなのか、きっとそれを届けたいのだと思う。」と。プロ野球選手が、球団新記録となるような連敗が続いた時に、監督が皆を飲みに誘ったりする、そんな話を聞いたことがありました。なんだかいいな。次の試合のことよりも、まずは忘れて飲もうよって。そのようなひとときが、そのような監督の気持ちが、もう1勝なのかもしれないなと。そんな翌日は、きっと何とも言えない勝利が手に入るんだろうな。

このサイトは、一つの記事を公開すると、関連のカテゴリーやタグの記事だけでなく、思いがけない過去の記事がその日に読まれています。私が気づかなかった小さく繋がっていた内容に、どうして気づいてくれたのだろう。何度もチェックしたタグ以外にも、深く読んでくださる方達。
その気持ちを、どれだけの想いを込めて返していこう。