ケアレスミスは許す

まだまだ新しいクラスに慣れない息子。2年生になり、3クラスから2クラスにまとめられたので人数も増え、一番後ろの席で苦戦しながらも頑張っているよう。金曜日に持ち帰った連絡帳を見ると、持ち物の欄に『じょうきんのタオル』と書かれていました。ん?これはぞうきんのタオルなのか?!と笑いながら息子に聞いてみると、「そのまま黒板に書いてあったことを写してきただけだよ~。」と言われる始末。ぞうきんのタオルってなんだ?雑巾なのかタオルなのか?と色々思考を巡らせていると、ランドセルの奥底から出てきたのは、くしゃくしゃになった一枚のタオルでした。答見つかった!と一人で大笑い。それは、学校が再開された時に、自分の机を拭くための『除菌のタオル』。机のフックに掛けられるよう、端にわっかがついているもので、毎週末持って帰る為に書かれた月曜日の持ち物でした。それは“じょうきん”ではなく、“じょきん”じゃ!!息子にしっかり説明すると、「だって先生がそう書いていたもん!」とこれまた譲らない。まあいいわ、どっちがケアレスミスしたかは言うまでもないでしょうよ。

仲のいい子がみんな別のクラスになってしまい、思うように溶け込めずに毎日テンション低めで帰ってきました。あまり内容を聞いても、話しづらそうにするので、そっと見守ることも大切な気がして、それでも寝る前に伝えました。「お母さんに何か話したくなったらいつでも言うんだよ。毎日まだ慣れない中で学校へ行って偉いなあって思うよ。いつも応援しているけど、それでも辛くなったら言うんだよ。」そう言ってハグをすると、安心してくれました。いつもは何度も起きてくるのに、その日はすっと眠りに入ってくれて。安心が子供にとって何よりの睡眠サプリなのかも。心配をかけたらいけない、男の子だから格好悪い所は見せられない、泣いたらいけない。小さな心で沢山の感情が渦巻いていることを感じていました。ちょっと目を離した隙に、びっくりするぐらいスナック菓子が食べられていて、思わず激怒。そして少し冷静になり、学校での我慢を紛らわそうとした反動が出たのだとも。そうだ、息子には野球があった。その日の午前中、久しぶりに野球チームのSくんのお母さんが連絡をくれたことを思い出しました。「うちの子供がとても会いたがっているよ。早く練習ができるといいね!私もSちゃんに会いたいな。」待ってくれている人がいるじゃないか、息子も私もね。なかなか雰囲気に慣れなかった野球チーム。それでも、ぐずることなく毎回ユニフォームを着て休まず行っていました。その姿を見た時、息子なりに突破口を探しているんだろうなと。どうしたら輪の中に入っていけるだろう、皆の様子を伺い、タイミングを見計らっているその姿にこちらの方が励まされたことが思い起こされました。

そして、今朝、昨日沈んで帰ってきたことが嘘のように、何事もなく学校へ向かう表情を見て、近いうちに越えるだろうと予感めいたものがあって。勉強じゃない、人間関係を築くこと、それはお母さんでは協力できない、でもアドバイスなら送れる。そう思い、夕飯の時そっと伝えました。「Rは皆に優しいよ。それってね、とっても大切なことだと思う。だから、勇気を出してお友達に話しかけてみなよ。何でもないことできっと仲良くなれるよ。焦らなくていい。」「僕ね、女の子のお友達は一人できたの。」「それは良かった。」そう言って頭をなでるととっても嬉しそうにしてくれました。その自信を持って、今日学校へ向かってくれたのだと思います。さあ、どれぐらいのものをこれから息子にもらうのだろう。『育児』は『育自』だと教えてくれた人生の先輩がいました。子供を育てているようで、それは自分を育てていることにもなるのだと。もしかしたら、私の人格形成の終盤は、息子が初任給をもらってきた頃なのかも。それで、ストッキングを10本買ってもらわなければ。絡まってきて、何度伝線したことか。その日まであと何年あるだろう。貴重な時間が、どれだけ残されているだろう。

分散登校の初日は雨でした。ざあざあぶりの中で頑張って出向いた学校で待っていてくれた担任の先生。息子を見つけるとすぐに伝えてくれたそう。「今日ね、先生も頭が痛いんだ。今大丈夫?」と。先生は私が伝えた内容をとても丁寧に覚えてくれていました。34人の中の1人。学校が始まり、ご自身も大変な時に届けてくれた想いは息子の心に優しく届きました。「先生が学校に行ったら心配してくれたの。先生も頭いたいいたいだって。」先生とお母さんは二人三脚、その言葉が頭を過り、堪らない気持ちになりました。今年の金曜日は4時間目までなのに、5時間目の図工の時間割をしっかり書いて帰ってきたある日。夜に先生が自分のミスに気づき、慌てて一斉メールを送信してくれました。「明日の5時間目はないから、図工の教科書はいらないよ。」そう伝えると本気でがっかりした顔を見て、笑ってしまいました。先生に助けられているんだから、先生のミスも許そうよ。誰かの失敗を怒るのではなく、許し、フォローできる人になろう。お母さんはまだまだだけど、あなたから学んだよ。笑って許してくれるから、私もそうする。