新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。年始の忙しい時も、いつものように来て頂けること、毎年活力にさせて頂いています。2025年は、どういった年になるのだろう、どんな時も最後は笑えるように一歩を進みたいと思っています。そして、想いは能登へ。一日でも早い復興を祈り、今年も変わらずこの場所でお待ちしています。みなさんの毎日が、優しさで溢れるそんな一年になりますように。
時は12月、プログラマーのMさんと共通の知人であるYさんの演奏会の日がやってきました。彼女は娘さんを亡くし、どれだけの気持ちの中にいるのか、それは想像を越えるようなもので。その日は、私自身が絶不調で、それでも息子は友達と遊びに行ってくれたので、予定自体は空いていました。とりあえず、ワンピースに着替えてみる。チークをぽんぽんし、鏡に映る自分を見ました。今の私と会って、彼女を辛い気持ちにさせてしまわないだろうか、沢山の自問自答が待っていて。そんな中、見事に外は晴れ、木々の紅葉が綺麗で、今日行かなければ後悔するような気もして思い切って家を出ました。迷っていたので、時間は押し、演奏会が始まる中で小走りに向かうと、入り口でパンフレットを用意し、スタッフさんが入れてくれて。すると、すでに沢山のお客さんで右往左往しながら空いている端の席に座れることができ、懐かしさがこみ上げてきました。ステージを見ると、Mさんとはまた別に所属している楽団の方達がいて、その中にはクラリネットを持つYさんの姿が。そして、同じく二つ掛け持ちをしている男性チューバのKさんもいて、泣きそうになりました。最後にお会いしてから、もう何年になるだろう、8年ぶり?そんなことを思いながら、楽団の方達が奏でる曲に酔いしれていると、Yさんの横顔を見て彼女の強さを感じました。きっと俯くのは一人の時なんだろうなと。やっぱり、何も言わずにそっと帰ろうか、せっかく自分を奮い立たせ顔を上げているのに、私と会えばきっと悲しみを思い出す。感動と共にあれこれ考えを巡らせ、迷っていると、もう最後の曲になってしまい演奏が終わりました。楽団の方達がステージ上で立ち、観客席の方に向いてくれた時、チューバのKさんと目が合い、こちらはマスクをしていて、しかも後ろの端にいたのに気づいてくれた気がして驚きました。そして、クラリネットのYさんに目をやり、教えようとしてくれていて。すっかりバレたな、これはもう会って帰るしかないと腹を括り、マスクを外して拍手を送っていると、その拍手は段々と手拍子に変わっていきました。それは、アンコールへのあたたかい期待、この時間がいつもとても好きでした。観客の手拍子もまた演奏に参加しているような、ひとつの輪になるひととき。その気持ちに応えるように、とても自然にクリスマス曲の演奏が始まりました。なんだかもう感無量で、拍手と共に幕はゆっくり閉じ、またここにいるみなさんは一年後を楽しみに日々を過ごされるのかなと、ほっこりした演奏会でした。その後トイレに行き、人ごみを避けて帰ろうとすると、お見送りの列にいたYさんが私に気づき、「あ~!!」と言ってそばに来てくれたので、笑顔でハグをすると再会を喜んでくれました。そして隣にはチューバのKさんも。「○○ちゃんのこと聞きました。お悔やみ申し上げます。」そう言って頭を下げると、やっぱり彼女の目には涙が。それでもぐっと堪え伝えてくれました。「起きてしまったことは起きてしまったこと。でも言われたらやっぱり思い出しちゃって。」何年経っても変わらない彼女の芯の強さと、きめ細やかさがそこにはありました。「私の中で、○○ちゃんは生き続けます。そして、Yさんのこと心配してるから。」そう話すと、「ありがと、でも大丈夫。」と気丈に振舞ってくれました。その様子を隣でうんうんと頷きながら見守ってくれたKさん。この人達が醸し出す雰囲気は、どうしてこんなにいつもほんわかしているのだろう。随分前、プログラマーのMさんもチューバのKさんもスピンオフで組んでいるバンドに、Yさんが司会をされるということで、東日本大震災の復興イベントに観客として行かせてもらったことがありました。その流れで打ち上げにも参加させて頂き、さらにはKさんの運転で、大きなチューバを右手で押さえながら、Yさんも後ろに座ってくれて優しい夜のドライブが待っていて。楽団のこと、音楽のこと、そこに集まる人達のこと、あまりにも穏やかな時間でした。そのさらに前、楽団の練習に見学に行かせてもらった時は、私の苦悩を知り彼女が伝えてくれて。「小さい子供を抱えていたら、いろんなことがあるよ。仕事を始める時はなおさら。周りに迷惑をかけてしまうというSさんの気持ちもすごくよく分かる。でもね、迷惑をかけちゃってもいいんだよ。子供が大きくなった時、今度はSさんが返せばいいんだよ。小さい子を持つお母さんを今度はSさんが助けてあげて。そうやって順番に助け合っていけばいいの。私がそうだったから。」そう言って、いろんな気持ちを掬い上げてくれました。その彼女の娘さんが、自殺をされたという訃報を知ったのは9月。今回行かせてもらった演奏会に、娘さんの姿はなく、それでも心の中で格好良くアルトサックスを演奏する映像が流れ、胸がいっぱいでした。だから、私の中で生き続けていることをどうしても伝えたかったんだ。
最後に、三人で写真をカシャリ。スマホの調子が悪く、何度も映ってくれました。そして、もしかして引っ越した?と彼女が聞いてくれて。なかなか鋭いな。引っ越したけど、市内にはいますとだけ伝えるとほっとしてくれました。「これからも楽団は続けていくから、また良かったら来てね。」ぐいぐいとこない、Yさんの気遣いが沢山詰まった言葉がここにはあって。Sさんもきっといろんなことがあると思う、本当に来られそうな時、無理なく顔を出して。裏側にあった気持ちも受け取った。さくらの柄が入ったスタバのタンブラーを彼女に渡して、二人にバイバイし、また歩き出しました。なんだかやっぱり涙が溢れそうで。なんでだろう、人の美しさに触れたからかもしれないな。本当に届けたい心をここに落とし込んでいく。そんな私とまた良ければ今年もお付き合いください。涙や汗のその一滴が、もうキラキラなんだよと伝え続けるために。記事は更新していくけど、芯はそのまま、出会ってくれてありがとう。