理由がわかった

平日は、毎晩のようにある息子の宿題タイム。内容にもよるのですが、なんでもないことでぐずることがあり、私もなんでもないことでイラっとしてしまい、なんとなく悪循環だった時期がありました。最近も似たようなことが久しぶりにあり、頭痛薬を飲んでいたらピコンとランプがついて。ああ、息子も頭痛持ちだった!「ねえ、もしかしたら今頭が痛い?」「うん、学校でもなんとなく痛かった・・・。」「ごめんね。お母さん、もっと早く気づいてあげられたら良かったね。ちょっと言い過ぎた。体が辛かったんだね。」「いいよ。なんかあまり考えられないんだ。」「わかった。ささっと終わらせよう。」理由が分かればこっちのもの。自分が辛い時は、息子も辛いのかもしれないと思うだけで、随分お互いが楽になりました。そう、彼もまた繊細くん。野球で体力を付けて、頭痛も吹き飛ばしてほしいなと思いました。ホームラン打ったら、きっと痛みなんて飛んでいくよ。

そして、最近いろんな方とお話をさせて頂く中で改めて気づいたことがあって。それは、自分の電話嫌い。相手の表情を見ることが、私にとってものすごく大事な情報の一つなのだと分かりました。そばにいると、空気感も伝わり、そこに言葉が無くても、何気なく見せてくれる仕草や表情の変化で、どこに本心があって、どこに無理してくれているのか、感じ取ることもできるからなのかなと。
姉の元恋人、チャイニーズカナディアンの彼が来日した時、ラーメン好きだったため、マブダチK君の運転する車で、4人で、遠くのラーメン屋さんへ向かうことになりました。マニュアルを運転しながらずっとタバコを吸っているK君。英語が苦手で、直接の会話はなかったものの、表情豊かで裏表のない彼の人間性は、カナダ人の彼にも十分伝わったよう。みんなで笑い転げながらラーメンを食べ、解散した後、改めて伝えてくれました。「S、K君は本当にいい奴だ。彼なら間違いない。恋人じゃだめなのか。」「ただの友達なんだってば!でも、ベストフレンドだよ。」そんな会話を、お互いが下手な英語と日本語を織り交ぜながら話し、言葉は通じなくても人柄ってこんなにも伝わるものなんだなと嬉しくなりました。

そんなK君と彼の友達Yと3人で飲んだ時のこと。その当時、付き合っていた恋人がいたにも関わらず私が幸せそうじゃないのは、一目瞭然だったよう。そして、ある日のデートの話を凹みながら聞いてもらいました。「この間ね、雨が強い日に、待ち合わせした場所で傘を差しながら待っていたの。遅れてやっと来てくれて、ほっとして車に乗り込んだら、ティッシュペーパーを何枚か渡されてね。ありがとうって言いながら濡れた手を拭いていたら、違うよ!開けた時に濡れたから車拭いて!って言われて、軽くショックを受けながらドアを拭いたの・・・。」「あのなあ、それで彼の優先順位は明確だろ。お前よりも車の方が大事なんだよ。その後に、待たせて濡れたSの心配した訳じゃないだろ。新車だったとか、車が渋滞していてイライラしたとか、普段は優しいのかもしれねえけど、そういう時こそ本質って出たりするぞ。俺達はそんなこと言わない。Sさあ、お父さんの姿を見てきているから、ちょっとしたことで“いい人”に見えてしまうかもしれないし、それはお前のいい所でもある。でもな、ここ一番という時に守ってもらえないような人は選ぶな。もっと大切にされていたら、お前はもっと幸せそうな表情をしているぞ。」隣にいる友達も、頷くばかり。なんだか堪りませんでした。そして、ダメ押しのひと言。「大体なあ、ある程度別れる気があるから、今俺達と飲んでいるんだろ。彼に大事にされていたら、Sはそういうことをするヤツじゃない。それなりに結論が出ているから来たんだよな。」これが、マブダチの所以。何もかもバレバレ。

そんなK君が飼っていたのは、めちゃくちゃ大きなサイズの犬、名前は“くま”でした。遊びに行く度に吠えられて、彼に大笑いされるというお決まりのパターン。「お前が一番うちに来ているのに、なんで懐かないんだよ。」「大きくてビビっちゃうんだよ。そもそもなんで、犬なのに“くま”なのよ!」「うるせいな!小動物はだまっとけ!」そんなやりとりで毎回ワイワイ。

そしてある日、アポなしでK君ちに行くと、おばさんが出迎えてくれて、彼女がいることを思い出しました。「彼女がいることをすっかり忘れていて、遊びにきちゃったんだけど帰ります~。」「いいのよ。今日は出かけるって言っていたし、私の友達でもあるんだから入って。」そんな風に笑顔でリビングに通してくれて泣きそうになりました。彼の人間性が、こんな形で育まれていったんだろうなと。行き場をなくさないように、どんな時も温かく迎えてくれた大好きな家族。愛犬は、くまなのか、クマなのか、熊なのか、今度会ったら突っ込んで聞いてみることにしよう。犬には嫌われたけど、あなたのファミリーはいつもウェルカムでいてくれたと。