忙しく優しい日

子供の頃に見ていたCM。商品名は何だったかな。栄養ドリンクの、『24時間戦えますか』というフレーズが大人になった今も離れず、頭の中で流れると絶対戦えないなと呟いている自分がいて。姉が女子寮にいた頃に知り合った男性が、「2徹3徹当たり前と言っていた。」と話してくれたことがあり、本当に職業によっては大変なのだと思っていた学生時代。プログラマーのMさんもそんな時があったと話してくれて、24時間どころの騒ぎじゃないなと痛感しました。

眠りの浅い私は、最近8時間の睡眠を心掛けていて、一日の3分の1寝ているのかと思うともったいない気もするのですが、残りの16時間はフル活動。その密の濃い時間は充実させようと毎日奮闘しています。そんな相変わらず忙しない朝、シェアオフィスでITエンジニアの方が声をかけてくださり、ご自身のパソコンの画面を見せてくれました。このサイトの裏側についてのアドバイスを改めてもらい、静かなオフィス内で仲間ができたのだと、そのことをどこか微笑ましく感じてくれるスタッフさんがいて、嬉しくなりました。自宅のデスクトップで書いていた時には、考えられなかったことです。見慣れた日常の景色の中で、ただパソコンに向かい、一体どこまで書き続けられるだろうと苦戦した日々。今は、シェアオフィスに行き、そこで沢山の方に出会い、そこからもらうものの大きさに改めて気づかされ、“人”の大切さを感じています。

そして、その方と一緒に外に出た時、伝えてくれました。「これだけの人が集まるサイト。○○さんは、意識して人を集めようとした訳ではないですよね。それは、きっと読んでくださる方には伝わっていると思いますよ。」と。さらっと言ってくれた言葉に、ぐっときました。インターネットという世界でお仕事をされている方だからこそ、見えるものもあるのだと。そして、面白いことも話してくれました。「自宅にこもって仕事をしているよりも、外に出て働くとやっぱりそこには色々なご縁がありますね。ドラクエのようだなと、旅のようだなと思う時があります。やった、ここで仲間をゲットってね。」こんな風に笑って伝えてくれるその裏側の苦悩を知っているだけに、その仲間の一人になれて良かったと思いました。私が野球好きだったのは、相当ツボだったらしく、東京ドームと横浜スタジアムの話でなぜか大盛り上がり。私は一体“野球”という世界でどれだけの友達ができたのだろう。

そんなほんわかした気持ちに包まれた帰り、バタバタしながら息子を迎え、公文へ行かせ、もう一度リビングでパソコンを開けると、『松坂退団「いちゃいけないなと」』という文字が。色々な気持ちが一気に駆け巡りました。たった二年間だったかもしれない、それでもカムバックという大きなものを見せてくれたのだと。横浜高校の怪物、辛かった大学時代に応援していた投手が、自分の好きな中日のユニフォームを着てくれたこと、そこにどれだけの想いを乗せて、勝ち星が重なることを願っただろうと思うと、胸がいっぱいになりました。関東にいたら、地元ドラゴンズのニュースを見る機会が少なくなります。それでも、自分から意識しなくても飛び込んでくる松坂投手のニュースに、一喜一憂し、私自身が励まされた二年間でした。

何でもない日常に、急に飛び込んでくる知らせ。そこに、全部を持って行かれる衝撃。こんなにも応援し、力をもらっていたのだと気づかされた日。プログラマーのMさんも、接骨院の先生も伝えてくれていました。「松坂投手、もうすぐ登板するから。」と。自分の溢れる想いを一緒に感じてくれた方達。結果ではなく、登板することそのものが、すでに一つのドラマでした。そんな野球に助けられた気持ちを、こうしてまた記しておく。現役にこだわる松坂投手は格好いいと付け加えて。