全体を知りたい

朝イチで、シェアオフィスにくると、ラガーマンのTさんが爽やかに座っていたので、ささっと挨拶をして、席に重たいパソコンを置き、話す気満々で絡んでいきました。すると、Tさんもそのつもりだったのか、自分のパソコンをこちら側に見せ、何やら説明を始めてくれて。「noteってご存知ですか?僕、最近始めたんです。基本的にラグビーに関することなんですけど、色々な方の文章を読んで刺激されて。もし良かったら読んでもらってもいいですか。書き方教えてもらいたいぐらいです。」「いやいや、私の文章はグダグダです。楽しみに読ませてもらいますね!そう言えば、『ノーサイドゲーム』(TBS)のドラマに出てきた映像の中で、Tさんが所属していたチームの場所、出てきましたか?」「ああ、出てきていましたよ!」もう~、早く言ってよ~と思いながらそこから大盛り上がり。教えている大学ラグビーチームもまだ練習がきちんとできていないようで、体を作る難しさを話してくれました。

彼が現役の学生の頃、減量組や増量組などと別れていて、Tさんは普通体形だったので出されたものを食べていたら良かったらしいのですが、体重を意識しなければいけないメンバーは大変そうだったと笑いながら教えてくれました。そして、良かったら大学ラグビーも観に来てください、トップリーグ程の華やかさはないですけど、学生には学生の良さがそこにはありますと。その言葉を聞いて、蘇った野球での数々の出来事。野球そのものを好きになったことで、高校野球部のメンバーに絡み、外からも中からも野球道というものをぼんやり教わった気がしました。次に繋げる為に、今自分はどうすべきなのか。送られるサインに頷き、チャンスを逃さない。誰かがエラーをしたら、仲間の声が大きくなるんだよ、気にするな、気持ちを切り替えろって。俺が四球を連続で出した時もそう、焦る気持ちを静めようとしてくれる、マウンドって少し高くなっているだろ、誰もまだ踏んでいない1回表に足を踏み入れる度に緊張した。みんなそれを知っていた、だから早い段階で点を取ってくれていたんだ。そんな甲子園予選の話をしてくれたエース君。応援席からは見えなかったものまで伝えてくれたその言葉で、より好きになった野球。今度は、Tさんがその役割を担ってくれているのかも。

「トップリーグの試合、観に行く気満々だったんですけど、こんなことになると思わなくて、ラグビーロスなんです。いつも受付で営業妨害してしまってごめんなさい。」「いえいえ。分かります~。ラグビー関係者も皆そうです。僕も、職場でラグビーの話ができると思っていなかったので、いつも嬉しいですよ。もうなんでも聞いてください。」逆に少し分かるとどんどんその疑問が膨らんできて、もう大変だと伝えると現場でもそうだと話してくれました。他のコーチ達と話しだすとエンドレス、まずは試合でやってみるしかないという結論でいつもまとまりますと笑わせてくれて。そう、実践あるのみ。やってみてどうなのか。対戦相手がいて初めてその戦略が使えるかどうかが分かるのだと。深いですね、もうそれしか言えないですと言いながら時計を見ると、既に30分経過。長い付き合いになりそうです。

子供の頃に見ていた『スクール・ウォーズ』(TBS)。その中で、不良だった大木大助(松村雄基さん)が、片親の家庭環境の中、お弁当がなく、水だけ飲んで試合に臨もうとするシーンがありました。その姿を見た監督が、誰もいないバスの中で、大木に奥さんが作った大きなおにぎりを渡し、感極まる彼に心が震えました。誰も自分のことを気に掛ける人なんていなかった、そんな境遇の中で、本気で向き合おうとする人に出会えた時、この人の為に命を賭けようと思えるのかなと。その大好きな場面がずっと残っていた中で、ワールドカップに熱狂し、ノーサイドゲームという作品、そしてTさんに出会いました。そんな時、ふとネット上で見つけた一つの記事。小学生の私が感動した大木と監督のやりとりは実話だったという事実に胸がいっぱいになりました。そして、教えることが好きなTさんもまた、教員免許を取りたいと思った小さなきっかけになったのではないかと。どこからつついてみようか。人生を捧げようと思っているラグビーの本当の良さを、とことん語ってもらおう。

出身の大学野球を観に行けなった無念さを、彼がスポーツを変えて晴らしてくれるかもしれない。大学ラグビーの練習の様子も朝早いですけど、良かったら見に来てください。近くで感じる選手達の声を聞きに来てください。もう一度青春を取り戻すための切符、意外な人が持っていた。泥と汗にまみれた選手達に会いに行かなくては。