野球色に染める

通常の登校になってから数週間。少しずつ、新しいクラスにも慣れた息子が嬉しそうに注文した絵具セットを持って帰ってきました。沢山の選択肢があった中で本人が選んだのは、12球団のロゴをケースに付け替えられるNPB(Nippon Professional Baseball)のカバー。これは、私が推した訳でもなんでもなく本人の希望です。とりあえず言っておかないと。それを持ち帰った息子は、大喜びで、12球団の小さなタグを並べて質問攻めが待っていました。「ボクが好きなのはヤクルトでしょ、東京。ママが好きなのは中日、おじいちゃんがいた名古屋。パパが好きなのは阪神。ここはどこなの?」あれ?!大阪じゃなかったっけ・・・私としたことが。自信が無かったので、熱狂的阪神ファンのプログラマーMさんにこっそり連絡。すると大阪だと思われがちなんだけど、実は兵庫の西宮市が本拠地なんだよと言われ驚きました。オリックスは神戸から大阪へ。カンペが手に入ったので息子に伝え、その後も全球団の説明をする羽目に。最終的には、ヤクルトの人気キャラクター“つば九郎”のロゴをケースに入れご満悦。好きな球団ができるっていいね。でも、少年野球のユニフォームはちょっと横浜ベイスターズっぽいんだな。

そして、翌日、なんとなく野球中継を付けてみると、ニュースは嫌がるのにBGMのようにして楽しんでくれました。「ボクね、世界一強い選手を知っているよ。」「ええ?誰?」「おおしましょうた選手」??誰だと考えを巡らせていると思い当たった一人の偉大な選手。「それって、大谷翔平選手でしょ。ちょっとずつ違っているし!」ああそうだった~と一緒に大笑い。「ママが前に二刀流の話をしてくれたんだよ~。凄い選手だって。」そんな話、そう言えばしたね。その選手が不調の時、バットを持ってイチロー選手の元を訪ねたんだよ。なんか、お母さん堪らなかった。心の中で呟きながら、またそういった話ができたらいいなと思いました。一流になる為に、ありとあらゆる努力を惜しまないということ。どの世界にも、引き継がれるものがあるのだと、それをどのタイミングで話そうか。私が伝えなくても、自分で取りに行ってくれるのかもしれない。情報検索の仕方だけでも教えておこうか。

このサイトの野球くまちゃん。プロ野球が開幕する話を聞き、Mさんに依頼しました。「マグカップの代わりに野球ボールを持たせてほしい。できれば開幕に間に合わせてください。」という私のわがままに今回も付き合ってくれました。カフェくまちゃんと並んでいい感じです。スマホでは間違い探しのような分かりづらさかもしれませんが、ソフトボールではなく、ゆで卵でもなく、野球ボールです。息子が、シングルヒットのことをワンベースと言うのですが、どうしたらいいでしょうか。二塁打をツーベースと言うので、一塁打を勝手にアレンジしてしまったよう。まあいいか。

岐阜の小学校に転校になった頃、そこでフットベースが流行っていました。遊びを授業に取り入れようとする校風で、休み時間に盛り上がっていたことを体育でやってしまう先生達。「Sは中日ファンなら、野球のルールは頭に入っているだろ。同じことだよ。」とチームを仕切る男子に言われたのですが、そこまで詳しい訳でもなく慌てました。もたもたしている私に耳打ち。「あのピッチャー足が遅いんだよ。だから思いっきり蹴る振りをして、ボテボテの球を蹴ろ。チョンって当てるだけでいい。それで全力で一塁まで走れ。それなら一塁ランナーも二塁まで行ける。」私この男子とそんなに話したことあったっけ?と思いながら、熱くなっている彼の指示通りに軽くボールを足に当て、全力疾走。足が勝ってくれてセーフだと安心していたら、思わぬところで一塁牽制球が飛び、まさかのタッチアウト。「お前、馬鹿か!」と被っていた帽子をグラウンドに叩きつけて、そんなに怒らなくてもいいじゃんと反省しながらも、なぜかその光景が星野監督と重なってしまい笑いがこみ上げ大変でした。田舎の学校、男女関係なく、男子が好きなスポーツを女子が本気で教わり、それを楽しむ。そこには力の差も、性別も関係なく、チームとしていつも真剣勝負でした。そんなことを繰り返すうち、いつの間にか気が付いたら4年生で学級委員に。不思議なものです。一緒に何かを楽しんだことで、境目なんて無くなっていて、自然と受け入れられている子供同士の何とも言えない力を感じました。こういう気持ち、大人になっても忘れたくないな、誰かが入れないでいたら違和感なく受け入れられる器、小さくても持っていたいな、だって私も助けられたから。

そんなことをぼんやり思い出していると、息子が野球中継を観ていてぽつり。「野球、三年生がやっているの?」はあ?「三年生じゃなくて、三連戦!!三試合同じチームと対戦するんだよ。」感慨にふけっている余裕もないな。三年生だけやってどうするのよ。それは、中学生?高校生?もう意味が分からん。
つば九郎に会いに行こうか。メガホンを持って、選手達を応援しに行こう。