ついに明日に迫った大阪旅行、毎回のことなのだけど気負って眠れませんでした。翌朝、息子とゆっくりスーツケースの確認をし、最寄り駅へ。そして、おにぎり屋さんを見付け購入した後、特急電車の中で喜んで食べる彼を見ながら、小田原駅に到着。乗り換えの時間があまりないんだよな、ここは時間との勝負と思い、急いで駅弁を買って新幹線の改札へ向かいました。予め予約していた新幹線、登録していたPASMOをピッとすると、エラーのメッセージが出てしまい大慌て。近くにいた駅員さんに事情を話すと、もう一人の駅員さんも調べてくれて、そのチケットは発券が必要ですと言われ、軽い混乱状態に。ハッケン?!発見じゃないよね?discoveryの方ですか?とあほなことを言っても、誰も突っ込んではくれないだろうなと思いながら、ちょっとずつ冷静さを取り戻しました。あ!スマートEXのログイン画面だ!と駅員さんに助けられながら、ようやく発券用のQRコードまで辿り着くことに。それにしても時間がないと息子と共に不安がっていると、落ち着いた駅員さんが伝えてくれました。「その新幹線、9分遅れているから大丈夫ですよ!」神様ありがとう~と拝みながら、発券機の前へ。すると、パスワードを入力する欄があり、すっかり忘れて泣きたくなったものの、奇跡的に思い出し、ぎりぎりでチケットを入手することができました。駅員さん達にお礼を言い、慌てて新幹線のホームへ。すると、ちょうどこだまが到着しました。小さなミラクルに今日も感謝。息子よ、忘れられない旅にしよう。
ドキドキした時間は終わり、席に着くと、その快適さに二人で大盛り上がり。駅弁を食べながら、富士山の裾だけが見えて、それだけでも十分でした。そして、息子がゲームをしている間に寝ようと思い目を閉じても、もうすぐ名古屋かと思うと、沢山の気持ちがこみ上げ眠りにつくことはできませんでした。三河安城駅を通過し、名古屋駅に到着。すると、名鉄百貨店が見えて、涙が溢れそうになりました。この地で、辛いこと沢山あった、でも思い出したのは小料理屋のママの優しい笑顔でした。「Sちゃん、大丈夫よ。」彼女の声が聞こえ、優しくハグをされたような気がして、とても不思議なひとときがそこにはあって。これから先、名古屋を通過する度、この地に向かう度、優しい気持ちになるのかと、こんなに心が満たされ凪いでいくのかと思うと、自分は幸せな人間なんだな、そんなことを思いました。溢れる時間がここには詰まっている。そして息子は、名古屋から先に行ったことがなく、初めての地域にドキドキ。岐阜羽島を通過し、滋賀の米原を越え、京都を越え、新大阪駅に着いた時は二人で感激しました。そして、ドアが開くとホームで待っていてくれたのは、神戸の実家に用事があったプログラマーのMさん。今回は、旅の案内役を買って出てくれました。サポートをありがとう。その後、新大阪から大阪駅に乗り換えていたら、初めて大阪に来た日のことが鮮明に蘇ってきて。それはまだ高校3年の頃、姉が関空に就職し、名古屋駅から近鉄に乗り、初めて難波に着いた時のことでした。表示を頼りに右往左往していると、若い兄ちゃん二人が絡んできて、なんとなくおちょくられながら南海電車の乗り口まで到着。もう大丈夫ですと伝えると、笑いながら気を付けてね~と去って行ってくれました。電車に揺られ、歩き、辿り着いた姉の女子寮。そして、仕事から帰ったネネちゃんとの再会。姉妹っていいなと思いました。今使っているルイヴィトンのお財布は、その当時彼女が使っていたもの。大阪まで持ってきたよ、ずっと一緒に歩いてきたんだ。
ふと視線を戻すと、大阪駅のコンコース、平日でもすごい人で驚きました。そして、近くのホテルでチェックインを済ませ、息子と部屋に入ってハイタッチ。「本当に大阪に着いたね!満喫しよう!!」と大騒ぎ。窓から見える大阪駅周辺の景色に泣きそうでした。その後、Mさんおすすめのたこ焼きと明石焼きを食べ、出汁のきいたおうどんを食べ、阪神タイガースのショップを散策し、のんびりお部屋に戻ってきました。大阪の喧騒を聞く度、難波の駅を姉と歩いた時間がとても自然に思い出されて。海外旅行で自分が持っているカードが使えないことが分かり、なぜか父のカードを持っていたネネちゃん。一緒に化粧品のお店に行き、お父さんのカードだけど少し使ってしまおうと共犯にされてしまうことが分かり、慌ててしまいました。「海外で使った分はもちろん返すけど、化粧品ぐらい買っちゃおうよ。Sちんが受けてきた痛みはこんなもんじゃないって。」いやいやお姉ちゃん、妹の仇をこんな形で討ってくれなくても・・・と思いつつ、旅先での高揚感でファンデーションを買ってしまいました。実家に戻り、少し経つと父が伝えてきて。「お姉ちゃんと大阪で使ってきただろ。その後、Mが高い下着も買っていたんだよ。請求書を見たら、なんだこれ?と思って、よく見たらたっかい下着だった!」と半分怒りながら、笑いながら私に言ってきたので、思わず笑ってしまって。どこまでも姉らしいな、やる時は徹底してやらなきゃ、そんな彼女の声が聞こえてくるようで、嬉しくなった日。何十年も経ち、もう一度訪れて、改めて思った。両親のこと、何一つ恨んでいないよ、そして、大阪はやっぱり特別な場所だった。
歩き疲れ、Mさんに明日の時間を待ち合わせ、部屋に戻って息子とゆっくりすると、伝えてきました。「ママは来たことあるの?」と。「M伯母さん(姉)が大阪で働いていた時、難波といってミナミの方にはたまに行っていたの。でもね、今いるエリア、キタの方は初めてで、Rとこうして来られて嬉しいよ。」「ママも、大阪駅は初めてなんだね!」息子が大切にしているのは、“初めて”を一緒に体験すること。姉の仕事が忙しく、難波でランチをするのが精いっぱいだった学生の頃。キタはどんな街なのだろうとずっと思いを馳せていた。息子と辿り着いたよネネちゃん、人が賑わい、活気ある綺麗な街。心の奥底にあったどろどろは、どこにも見当たらない。さあ、夢の二日目へ、旅はまだまだ続く。