久しぶりの参観日

2年生の年度末は、予定されていた参観日がコロナの影響で中止に。術後の私の状態を心配し、母が代わりに行く気満々だったので、本気でがっかりしていて笑ってしまいました。「S、無理しなくていいのよ。お母さん一日予定を空けておくから!」断りづらいじゃないか!そんなことをわいわいやっていた後、無くなったことが分かり、母宅のカレンダーを見るとそこには油性マジックで大きく『参観日』の文字が。ピンチヒッター、頼んでないし。そんな時期を通り過ぎ、3年生になってまた分散の参観日がやってきたので、嬉しくなってしまいました。そう、ちょっと特別な一日。

5時間目の希望が通ったので、ゆっくり用意をして早めに学校へ出向き、廊下で待っていると沢山の子達が話しかけてくれました。「R君のお母さん!」幼稚園時代から知っている女の子の背が伸び、ちょっとおねえさんになっていて、感極まって泣きそうに。午前中、婦人科へ行き、超音波検査の中で癒着が起きているという先生の言葉にやっぱりかと凹み、「あれだけ酷かったら癒着が起きるのは自然なことで、今の薬で良くなるのを待とう。」「・・・はい。」痛みとも長い付き合いになりそうだなと思っていただけに、弾けた声で声をかけてくれるみんなの声と元気に励まされたようでした。園庭にお迎えに行ったら、息子が他のクラスの女の子達と幼稚園ごっこを始めてしまい、初対面のお母さんと笑い転げた日。その子がまだこちらのことを覚えてくれていて、会う度にその時の事が蘇るのかもしれないなと、一緒に成長していこうねと心の中で呟きバイバイ。

そして、「ママ!」と思いっきり話しかけてくれた息子。気づかないふりをされるのは時間の問題なのだけど、嬉しいものだな。「やっぱり5時間目、英語だったよ。」と情報をもらい、話しながら教室に入り、後ろの方に立つと一人の男の子が話しかけてくれました。「僕、R君の友達です。」「あらあら、いつも遊んでくれてありがとう。お名前は?」「○○」あ!始業式の日にお友達になったと嬉しそうに話してくれた子だと分かり、感激してしまいました。「これからもよろしくね。」そう言うと、微笑みながら席に着いてくれて。息子の左隣。心理学の講義で聞いた、趣味が合ったり、距離が近い人は仲良くなりやすいの法則、当たっているのかもしれないと思っていると、廊下からこちらに向かって歩いてくるお母さんが。会釈をすると、すごい勢いで話しかけられました。ん?英語?!「3年生になったからてっきり3階だと思って行ってみたら違ったから、慌てて降りてきたんです~。」私のリスニングが正しければこんな感じ。一緒に笑い、出身地を聞いてみると、パラグアイだと教えてくれました。さらに、英語の先生は欧米人の方。随分インターナショナルな時間だな。

女性の担任の先生の挨拶から始まり、楽しい授業が始まりました。パソコンから欧米人の先生が画像を表示し、音楽に合わせ自己紹介の練習。「I’m Emily.」それを、一人の男の子が“しまじろう!”と叫んで、笑ってしまいました。そして、沢山の国旗が出てきて、どの国のものかを当てることに。白い色に真ん中が赤丸の国旗に手を挙げた息子が当てられて答えたのは「日本」。せっかくなので新喜劇並みにずっこけようかと思いました。息子よ、この時間は英語じゃ!郷ひろみさんに教えてもらった方がいいよ、出会いは億千万でしょと思いながら、『ジャパン』を教えておけば良かったなとやっぱり笑えてきて。そして、インドの国旗ではまさかのナマステの練習。両手を合わせ、お辞儀をしながらナマステ~。英語だけでなく、世界を教えてくれているそんな授業に感動してしまいました。「中国の国旗を指し、なんて挨拶するでしょうか?」という問題では、また一人の男の子が、「中華人民共和国!」という珍解答。ボケ担当なのは男の子の役割なのか?!そんな授業の中で、思い出されたのは大学図書館時代、英会話に通っていた時の事でした。担当講師のJamesがオーストラリアに帰国することを、他の先生達みんな知っていたのですが、もう一人仲の良かったアメリカ人の男の先生は言葉をぼやかしてくれました。「そのうち彼から直接Sに話があるから。僕からよりも二人で話した方がいい。」そんな深刻そうでもなく、もしかしたら結婚の報告?なんて楽観的に思っていました。そして後日、本人から帰国することを知らされて。英会話って、言葉のコミュニケーションで、相手を知る為に下手くそなりに沢山言葉を紡ぎ、そこで彼の人柄を感じたのだと改めて思いました。ハロウィンパーティの時も、私の隣に座り孤独にならないように、さりげなくフォローをしてくれて。「オーストラリアは、僕みたいなのが沢山いる。基本的には楽観的で、自然がいっぱいで、カンガルーが普通に歩いていたりするんだよ。」そんな話をどれだけしてくれたことか。行ってみたいな。寂しい気持ちと共に、夢を持たせてくれた大きな出会いと別れでした。Be happy、幸せであれ、お互いがお互いの未来を応援し背中を向けた彼は、シドニーで今日も笑ってくれているだろうか。

そんなことを思っていると、席を立ってお友達と挨拶の練習が始まりました。誰かを探して、右往左往する息子。男の子とペアになり、それっぽくできたのか?!と思っていたのも束の間、もう一人の男の子が後ろから優しくハグをしていて、それを嬉しそうにしている姿を見ていたら、さらにもう一人の男の子が来て団子状態に。思いがけず普段の様子が見られて微笑ましくなりました。楽しく学べて結果的に英語が身に付いていたら、最高じゃない。そんな先生にありがとうを忘れずにね。
帰宅し、聞いてみました。「Rに後ろから抱きついていた男の子誰?優しそうな子だったね。」「○○君だよ!最近よく遊んでいるの。」その名前を聞いて感激。彼は、広報委員で一緒になった時に挨拶してくれたお母さんのお子さんでした。息子が繋げてくれた縁、それをまさか授業参観で見せてくれるとは。今度委員会で会ったらお礼を伝えよう。「あの国旗ね、日本で間違いではないんだけど、英語の授業だからジャパンって答えた方が正解なんだよ。」「え~知らな~い。」まあいいわ、ナマステが覚えられたなら、インド人の方には挨拶できる!色んな人がいて、色んな生き方があって、色んな夢を持ち、それぞれが大切な命。第二次反抗期前にどれだけ伝えられるだろうか。子供を見に行くだけでなく、親の私が沢山学んだ参観日。