初めて会った気がしない

嬉しいことによく言ってもらえるこのセリフ。人付き合いはそんなに得意な方ではないのですが、人見知りは子供の頃からなかったので、初対面の方とすんなり仲良くなれる術は、なんとなく身に付けていたのかも。

息子を送り届けると、毎朝遭遇する二年連続同じクラスの男の子ママ。お互いの連絡先も知らないのだけど、いつも会うし、随分さっぱりしてくれていて、今朝もなんとなく話しかけられました。「幼稚園のリュックのチャックが壊れちゃって、閉めても開いちゃうから、朝から参っちゃったよ~。」とりあえず、誰かに言いたかったらしく、一緒に笑ってバイバイ。朝からすごい勢いで、自転車に乗って通勤する友達。何気ない会話が、活力に変わってくれていたらいいな。

私がオーストラリアに短期留学したのは、20代後半。出発前、姉に電話をすると、「もう帰国しなくていいからね。ずっと現地にいなさい。頭を振って、カランカランと音がするまで帰ってきたらダメだよ。」と言われ、「だって私、観光ビザで行くから長期滞在したら、ダメじゃん。日程通りには帰ってくるよ。」と真面目に答えると、半分冗談で半分本気で伝えられました。「お父さんとお母さんが、もう二度と連絡できないようなところにいればいいんだよ。そうしたら、Sは自分の人生を歩める。後ろ髪を引かれるかもしれないけど、名古屋には私がいるから。ブリスベンなら、日本企業も沢山あるから、現地にいる日本人の男性と出会えたらいいよね~。Sのそのキャラなら何とかなるでしょ!アンタ、結構どこでもやっていけるタイプだよ。」

姉のこの飛躍しすぎた発想に苦笑しつつも、両親から本気で遠ざけるチャンスだと思ってくれたのか、とても和みました。タイプが全然違うからこそ、大胆な発言にいつも笑わされる。そんな生き方、どこかで羨ましかったりもして。

そして、ブリスベンで待ってくれていたホストファミリーには、大学院に通う長男と、大学に通う長女、高校に通う次女がいて、仲良くしてくれました。フィリピンから移民してきたことを、長男はよく理解し、おそらく幼少の頃に苦労をしたことが彼の様子から伝わってきました。現地の言葉を話せるのは三人の中で彼だけ。故郷を覚えているのかもしれません。
そして、初日の夜、国際電話でホストファミリーの自宅にかけてきた姉。「無事だったか。さっき話したママ、優しそうだね。可愛がってもらいなよ。ところで息子さんはいるの?」「え~。いきなりそこ?大学院に通う息子さんがいるけど、私の年齢を聞いて、『I can’t believe it.(信じられない)』と連発されたよ。どう見ても10代にしか見えないと散々子ども扱いされた!」と話すと大爆笑。脈がないどころか、年下男性にいじられるって・・・。と笑いの中に含まれていた気がして、一緒に笑えてきました。

その後、妹思いのお兄ちゃんは、皆でドライブに行くからと私も誘ってくれて、夜景の綺麗な公園やスポーツバー、ショッピングモールにまで連れて行ってくれました。カメラが上手に使いこなせなくて夜モードで撮れなかった時は、英語の言語を選択して上手に撮影。「S、これcanonだから日本製で使いこなせるだろ。」と海外でも突っ込まれてしまい、日本と変わらないやりとりが嬉しかった。

初めて会った気がしないのは、相手の優しさがそうさせてくれるから。自然体でいられるから。