急にくる別れ

タイトルはポジティブに、そう思いながらもそうは言っていられない現実があるから、人を大切にしたいと願うのかな。そこにいてくれる沢山の方達に、感謝することにしよう。

いつものように、シェアオフィスに来て、バタバタと帰ろうとした日、タンブラーを洗い、受付を通過しようとするとラガーマンのTさんが声をかけてくれました。「実は、○○が退職することになりまして、メッセージを書いていただけないかと会員さんに声をかけているんです。」「・・・えっ?!本当ですか?寂しくて驚いています。」と、受付で私が固まってしまうので、彼もまた予想をしていたリアクションだったのか、一緒に動揺してくれました。退職される彼女は、私がこのシェアオフィスでお世話になる時からずっといてくださった方で、審査の面談もしてくれました。息子の休校中も、入院前後で長期間来られなかった後も、いつも笑顔でそこにいてくれる安心感がありました。ああ、やっぱり“人”なんだな、どれだけ設備が良くても、人の温もりって大事だな、そんなことを改めて思いながら、Tさんに慰められまた彼を慰めました。「○○さんロスになる方、沢山いらっしゃると思います。私もショックです。」「僕もです。色んな気配りをしてくれていて、すごく助かっていたんです。」会員の私に、本気の弱音を吐いてくれて、その信頼感の嬉しさと、彼女が残してくれたものの大きさを知りました。

そんな時、近くを通りかかり挨拶をしてくれたのは、ITエンジニアの方でした。「あっ!固定席からいなくなってしまったので、他のオフィスに移ってしまったかと思っていたんですよ。」「ここでオフィス利用されている方にお客さんがいて、個室の席で、仕事をすることになったんです。集中している時に話しかけたらいけないなって言いそびれちゃって。良かったら今度遊びに来てください。」「いやいや、お邪魔になってしまうから。いてくれて良かった~。」心から安堵しながら伝えると、一緒に笑ってくれました。久しぶりに復帰した時、彼もまた私のことを心配し、「お大事に。」と笑顔で言ってくれました。状況は一切話していないのに、言いきってくれたのは、サイトのトップに載せていた『療養中』という言葉を見てくれたからではないかと思いました。その後も、気分が悪くてノートパソコンを枕に寝ている姿をそっと見守ってくれた彼。だから、私に伝えるタイミングを逃し、移動してくれていたのだろうと。受付の彼女はもうすぐ退職で、いなくなってしまったと思い込んでいたITエンジニアの彼は残ってくれていて、寂しいわ安心したわで、頭の中が大混乱の私の様子を見て、ラガーマンTさんは笑いを堪えてくれていました。みんな大切な人達なんだ。

3月に行われた学校の総会。学年代表委員であったことから、PTAの集まりに出席してきました。解散になり、なんとなく数人が輪になり、そこで一人のお母さんが声をかけてくれました。「お掃除当番では、本当にありがとうございました。私、なんにも分かっていなくて全部教えてもらってとっても助かりました。」「いえいえ、こちらこそありがとうございました。待たせていた息子も無事でした!」そう言うと一緒に笑ってくれました。なんて気持ちのいい方。そして、また一人のお母さんがみんなに伝えてくれました。「今年はコロナの影響で、皆さんに会う回数も少なくて、なんとなくもうこれで活動が終わりなんだなって。でも、LINEでやりとりできればなんとでもなるんだなって分かりましたね。もうテレワークの時代!」なんて笑わせてくれて、会う回数じゃないんだなと、共にいる人達に敬意を払い、大事にできるかどうかなのだとじーんとしてしまいました。大変だ大変だと言い合った時間が、振り返ってみるといい思い出に変わっていたら微笑むことにしよう。

そしてある日、ランチから戻ると、自席にお菓子ボックスが置いてありました。見慣れたいつものロッテのクランキービスケット。油性ペンで名前も書き、シールも貼って・・・ん?箱が空いていない。どういうこと?!そう思って困惑していると、ガラスを挟んだ向こう側に立ち、にっこり笑っている不動産関係のHさんを発見。わかった!!私がクランキーを好きなこと、誰よりも知っているのは彼でした。話せる側の席まで近づき、お礼を言いに行くと満面の笑みで伝えてくれました。「○○さんが以前チョコをくれたからそのお礼です。」「お年玉の代わりだったんですよ~。気を使わせちゃいましたね。でもありがとうございます。」そう言うと、とっても喜んでくれました。6歳下の彼から学ぶことがとても多くて、こんな風に生きられたらもう少し自分の心も軽くなるのかななんて思ってみたり、でもそれを本人に伝えたらきっとこう言ってくれるだろう。「僕のお姉ちゃんなんで。」と笑いながら。

さあ、いつも優しい笑顔を向けてくれた女性スタッフさんに、どんなプレゼントをしようか。きめ細やかな心配りがやっぱり沁みてきて。別れの時が辛くなったら、みんなに慰めてもらおうか。落ち込んで、なかなか寂しさが抜けなくても、そこにいてくれる人達がいる。その前に、私が彼らを慰めるのが先かもしれない。スペシャルスマイルで、頑張ろう。