息子の誕生日プレゼントは、ピタゴラスイッチごっこのようなことができる組み立て式のおもちゃ。見本を見て私が作ったものの、思うように球が転がらないとひと騒動なので、自分で作った方が面白いと説得した日曜日。洗濯物を干した後、そっと様子を伺っていると、できた~と喜び見せてくれました。ん?思ったよりも短くないか?と思っていると、心の声が聞こえたのか、「これね、“ちっちゃスイッチ”だよ~。」だはっ。彼のこのセンスは本気で褒めてあげたい。息子よ、将来に期待しているよ。一流にならなくていい、面白い人になれ!
そんなよく分からない和み系の7歳児と図書館へ出向いた時のこと。一緒に選ぼうと言われたものの、息子がどういった本を選ぶのか見てみたくて本人に選書させてみることにしました。動物も食べ物も乗り物も好きな彼が何を持ってくるのか期待半分で待っていると、ニコニコ笑って届けてくれたのは、『パンダのパンやさん』(岡本よしろう著、金の星社)。パンダの親子がスクーターに乗っている表紙で、思わず笑ってしまいました。いいね!を三つ付けておこう。センスが似ているというか、いかにも息子が好きそうな内容で、こちらの方が癒されてしまった図書館の中。こんな日がくるとはね、やっぱり素直に嬉しい。あなたのお母さん、これでも一応司書でした。
今日来たシェアオフィスは、出遅れたこともあり、いつもの席が埋まっていたので、たまには全く違う大きなテーブルに座ることに。斜め前に座っているスーツを着たビジネスマンの方が、たまたま祝日に見かけた時に、カジュアルな格好をしてお仕事をされていて、なんとなく嬉しくなったことが思い起こされました。服装一つで感じが変わりますね。オンもオフも、オフの中の軽いオンも好き。陸続きのテーブルから、今日はこっそりエネルギーを送ることにして。
クラシックには全く詳しくないのですが、パッヘルベルのカノンを聴くと、なぜかどうしようもなく泣きたくなります。私の中で何か無意識の間に封印した優しい過去が、この中にあるような気がしていて。本当にふとした瞬間にわっと思い出す時をゆっくり待とうと思います。
そんな時に思い出すのが、一人の医師。母の精神疾患について姉を通して知った数年前。母からとことん距離を取ったことで、この状態が果たして二人にとって最善だったのか、専門家の意見が聞きたくて思い切ってドアを叩いた時のこと。とても優しいおじいちゃん先生で、詳細を話すと、よく状況を理解して伝えてくれました。「お母さんは、あなたが離れても内容を聞くと元気でやっているからそこは安心した方がいい。で、あなたはどうしたい?」「今まで、強引に蓋を閉めてしまった過去、パンドラの箱を開けるような作業が必要なのかなと、それが少しだけ怖い気がしています。」「あなたは、ここに来るまでにもう開けてから来てくれているね。答えは自分で持ち合わせているよ。お母さんの問題は、お母さんの問題。あなたは、自分の人生を歩みたいと思って、ここに来てくれた。そうだよね。」なんだかその言葉を聞いた時、自分がこれまで背負いこんだものをすっと置けたような気がしました。その重さも、漠然とだけど気づけたような気がして。「先生、私にはカウンセリングが必要ですか?」率直に聞いてみると、「えっ?!必要?」とふふっと笑われて。あなたに助けはいらないでしょ、自分で立っているから。そう言われたようでした。
帰り際、「長い時間ありがとうございました。」と微笑みながらお礼を言うと、たったひと言伝えてくれました。「どういたしまして。」と。“お大事に”ではなかった、あなたの心がこの時間の中で軽くなったのなら、進むべき道が見えたのならそれでいいです、そう言われた気がしました。
ドアを開けた時に進んだ一歩、それがこのサイトに繋がっている。