夢の続き仙台編

二日目の朝、旅行では珍しく深く眠れたような気がして、安堵と共に起床。今日はとても大切な一日、神様どうもありがとうと朝からこみ上げそうでした。そして、まだ爆睡中の息子を起こし、気持ち良く身支度をしながらブッフェのフロアへ。すると、そこには牛タンカレーがあり、二人で歓喜。仙台と言えば牛タンなのに、牛君が食べられない私達は魚介類に走ろうと新幹線に乗る前から決めていました。それでも、カレーに煮込まれていたら少しは食べられるんじゃないかと同じ意見を持った親子。早速、窯で炊いてくれたご飯をよそい、少量だけカレーをすくい、席で食べてみると激うまで散々盛り上がってしまいました。「細かくしてくれているし、トロトロだから美味しい!ボクも食べられるよ!」とご満悦の様子。そして、そこにもずんだ餅があったので、デザートで食べていると息子はスイカを頬張り、これで終了かと思いきや、しめの一杯だとまたカレーを持ってきて爆笑してしまいました。男子あるある?!パワーをつけて大きな一日の始まり。

その後、予め調べておいた電車の時間に合わせ、少し早めにホテルを出ました。そう、二軒目のスタバを見つけ、アプリのスタンプを押してもらうために。すっかり馴染んだ仙台駅へ到着し、今度はスタバのバウムクーヘンをテイクアウト。店員さんにお礼を言い、JRの改札を通過しました。すると、いろんな方面への電車が走っていて、仙台駅の大きさを改めて痛感。そして、松島海岸を目指して千石線に乗りました。息子を座らせ、その前に立ち見えてきた田園風景には、乗ってきた新幹線が突き抜けて行って。なんてのどかな景色だろうと心の中でカシャリ。そして、私も座ることができ、見えてきたのは海でした。なんだかもう言葉になりませんでした。松島海岸駅に着き、予約していた観光船の案内所へ。チケットを購入し、猛烈に暑い中乗り場まで歩きました。暑いのが苦手な息子、散々ぐずられ、本当に大変なのだけど自分の目の前には松島の景色が広がっていて、涙がこぼれそうでした。そして、ようやく乗船。迷いなくグリーン席を購入し二階へ上がると息子は大喜び。こんな笑顔が見られるなら、どんなことでも頑張れる気がしました。二人で窓際に座り、連れてきたお買いものパンダと秋田犬(名前はクリームと決定)をリュックから出し、一緒に松島を周遊。そして、船内のアナウンスから東日本大震災の説明が少し流れました。その話を聞き、「そうなんだ。」と小さく呟いた息子。なぜ今回仙台を選んだのか、あまり深く話すのはやめようと思い、今日という日を迎えました。息子の中で、大きくなった時自分で繋げていってくれるのではないか、その時この旅の本当の意味に気づいてくれたらいいなと。いくつもの島がとても綺麗で、ここに津波が襲ったことを思うと、やはりわっと泣いてしまいそうでした。オーストラリアのホテルからようやくニュースを見ることができた2011年3月、あの時見た映像は、衝撃は、私の中で消えることはありません。それでいいのだと。それから溢れる涙を止められなくても立ち上がった方達が大勢いる、それを感じに来た三日間なのだと思いました。帰国し戻った大学図書館、本が大部分落ち、途方に暮れそうだった時、入試課の方が東北の学生さんが入学を断ってきたとこっそり教えてくれた時間。こちらの方が俯いてしまいそうな時でも、その学生さんは顔を上げている気がしました。現実を受け入れ、進もうとしているのではないかと。その学生さん、どうしているだろうか。この松島の景色に助けられた時もあっただろうか。お腹の底から笑える日が来てくれていたらいいなと。すると目の前ではしゃいでいた息子。「Rとこの景色を一緒に見たかったの。だから、こうして二人で船に乗れて嬉しい。」そう伝えると「ボクも嬉しい。」と微笑んでくれました。堪らない50分の乗船、心が凪いでいったひとときでした。

それから、船を降り、あまりの暑さに食欲を無くし、そのまま楽天の球場まで行ってしまおうということに。途中でメロンのソフトクリームを見つけ、息子のエネルギーはやや復活。そして、松島海岸駅から宮城野原駅へ。電車を降りると、駅は楽天ゴールデンイーグルス一色でした。テンションが上がり、それでも何かしら食べた方がいいと思い、お店に入るともう閉店とのこと。するとコンビニ近くで飲食スペースがあると教えてもらったので、言われた通りに入るとそこは病院で笑ってしまいました。旅先でもお世話になるとはね。そこでおにぎりを二人で食べ、エンジン全開で球場へ。その途中、綺麗な建物を見つけると、そこは仙台育英高校だと分かりました。仙台駅にも横断幕があり、甲子園で勝ち上がっているのも知っていて。「頑張れ!仙台育英!だね。お母さんが子供の頃から強かったの。」「そうなんだ!頑張ってほしいね!」そんな話でわいわいしていると見えてきたのは楽天モバイルパークでした。ついに来たよ。すると、いろんなお店が既にやっていて、ここで食べれば良かったと笑えてきて。そして3時になり、息子と軽いダッシュで観覧車まで向かいました。作戦成功で一番乗り!「やった~!!」と大盛り上がりの親子をスタッフさんが笑顔で乗せてくれました。楽天の球場ができた時、なんで球場に観覧車?とずっと不思議でした。それが、グリコパークだと分かったのはまだ最近のこと。息子と乗りたい、それを目標にここまで来ました。そんな日が本当に来たなんて。箱に入り、ゆっくり上がっていくと仙台の街と球場が見えました。感無量でした。体中から涙が溢れ出るようで、優しい時間でした。そして息子も大はしゃぎで、降りた後、そのテンションのまま観覧車のスタッフさんに写真を撮ってもらうことに。「ズームってどれですか?」「え?ズーム?!」と自分のカメラなのに機能を理解していない私に笑いながら、観覧車をバックにナイスショットを撮ってくれました。ありがとう、一生の宝物です。その後、待ちに待った子供用の滝のプールに入り、見守りました。振り向くと練習を始めた選手達のバッティングの音が聞こえてきて。夢のよう、本当にそう思いました。それから服に着替え、ふわふわドームを楽しみ、メリーゴーランドに乗り、宝物探しや恐竜の化石発掘体験へ。どちらも一個しか取れなかった息子に、スタッフさん達が一個ずつ追加してくれました。優しさの一個、息子は忘れないでしょう。その後もアスレチックを楽しみ、タピオカを飲んで、すでにヘロヘロの状態で3塁側の席に入りました。上の方に進み、テーブルのある席だと分かると息子が喜んでくれて。そして、荷物を置き、楽天グッズを探す旅へ。すると、マスコットキャラクターである、ちょうどいいサイズのクラッチを見つけ購入決定。夜ご飯も買い、試合が始まりました。正捕手だった嶋さん、あなたの言葉でどれだけの方達が助けられたでしょうね。私もその一人です。そして星野監督、ここで日本一が決まり胴上げされたんですね。いつか行ってみたいと思っていました。息子を連れて来ましたよ。大きな大きな旅になり、夢が叶いました。チームの垣根を越え、野球の面白さを伝えられて良かったです。

5回の裏が終わると、3塁側上空には花火が。「野球場で今年三回目の花火!!」と息子の弾む声が聞こえてきました。そう言えばパ・リーグの試合、人生で二回目だな、一回目は小学3年のナゴヤ球場、近鉄対西武戦。長い時を経て、今度は仙台まで楽天対ロッテ戦。いい時間でした。試合は劣勢だったこともあり、息子も疲れがすでにピークだったので8回に入った時点で球場を出ることに。せっかくなのでもう一か所写真を撮ってもらおうと思い、出口付近でスタッフさんに依頼。すると、「正面のあたりが映えます!!」と女性スタッフさんが言ってくれて、隣にいた若い男性スタッフさんがわざわざそこまでついて、モバイルパークだと分かる良いショットを撮ってくれました。お礼を言い、バタバタと仙台駅行きのシャトルバス乗り場へ。最後の一席が空いていて、ほっとして息子と座り、運転手さんに挨拶して降りると、イーグルスの帽子を被っていて、なんだか嬉しくなりました。最後にいい夜をありがとう。
仙台駅もすっかり道が分かり、ハイテンションのままふらふらと気持ちのいい散歩をしながらホテルへ。松島も観覧車も楽天モバイルパークも行けたよ。「ハードだったけど楽しかった~。」息子の声が、仙台の街に響きました。長年の夢が叶った日、この街とももうすぐお別れ。沢山の気持ちも明日スーツケースに詰め込まなければ。あと一日、かけがえのない時間、目に映る全てを覚えておくことにする。