深夜の朗報

週末の夜、寝る前になんとなくスマホを確認すると、オーストラリアでお世話になったホストファミリーの長男、Ricsonからメッセージが入っていて、まったりとした眠気が一気に吹き飛びました。「How are you ,S? Is Japan cold? (元気にしてる?日本は寒い?)」私の近況だけでなく、日本の状況も知りたいらしい。とそんなに冷静に考えている場合ではなく、元気にしていることを伝え、パソコンを開けるから待っててねと返信し、慌てて電源を入れました。

こんな時に限って立ち上がりが遅く、こういう時の時間ってなんでこんなにもどかしいのだろうと思いながらも、そのわくわく感が堪らなくて。ようやく、再度メッセージを打ち込むと心地の良いリズムでチャットが始まりました。「I will go visit Japan soon hopefully June or July.(うまくいけば6月か7月に日本を訪問するよ)」その文面を読んで沢山の気持ちがこみ上げました。彼と別れたのは、確か28歳の時だから11年も前。まさかまた再会できる日が来るとは。Ricsonは、多分私をスポーツバーに連れて行ってくれたことは忘れている。なぜなら、あまりにも優しいから、彼にとってはとても自然なことでした。スポーツバーの入口付近で、カメラを抱え、日本の友達に自慢できるようにと何度も何度も撮り直してくれました。私は、その写真そのものよりも、あなたのような優しい人に異国の地で出会えたことを自慢したいと思ったよ。

そんな懐かしい思い出がその文面で一気に蘇り、深夜に泣きたくなりました。どこを訪問する予定?と聞くと、「沖縄、東京、新宿、秋葉原、リラックスが最初。」と教えてくれて、笑ってしまいました。「Okinawa first.」なんだかいいね!それにしても、東京の中に新宿と秋葉原が入っていることは伝えた方がいいのかな。分かっている?会いに行ける場所に住んでいることを伝えたら、とても喜んでくれました。そして、君達の家族は元気かい?その後オーストラリアにみんな連れて行くよという言葉を添えて。彼の冗談は半分本気だから、面白い。息子は小学校だし、夫は仕事。私はノートパソコンさえ持って行けば大丈夫、なんてもし真面目に話したら、だったらSだけ飛行機に乗るぞと言われそうだ。
「そろそろ寝るよ。返事をくれてとても嬉しかった。また近いうちにチャットをしよう。おやすみ。」時計を見るとちょうど12時。そうだ、現地は1時間早かった。深夜にリアルタイムで付き合ってくれてありがとう。沢山の記憶と、優しさも連れて来てくれて。

日産のX-TRAILに乗っていた彼は、日本が大好きでした。ウォークマンを作った日本人は本当に凄いと言われ、それは私が作ったのではなくSONYが作ったと言ってみたり、携帯電話を現地で買った時は、契約の仕方が分からなくて全部Ricsonに泣きついたり、そんな彼にもしかしたらもう一度会えるかもしれないと思うと、胸がいっぱい。忙しくしていることは分かっているので、期待半分であと半年をドキドキしながら待つことにしよう。

「英語を忘れてしまった。だから、6月まで勉強する。」最後にそう伝えると、「hehe(へへ)」とだけ返事があり、僕も少しだけ日本語を勉強しているよと付け加えられていました。「hehe」はホストママの口癖でした。やっぱり親子、彼女の温もりまで届けてくれた。
短期留学から帰り、ずいぶん経ってからRicsonとフェイスブックで繋がりました。止めてしまっても、機能の一部であるメッセンジャーだけは残しておきました。もしかしたら誰かから連絡があるかもしれない。そんな小さな希望がここまで膨らむなんて。
思い出が現実になる。その瞬間を、この場所で見届けてください。