かぼちゃの煮つけ

お正月料理のことを色々と考えていたら、随分昔に姉に言われたことが頭を掠めました。大学時代、お化粧を覚えて自分で頑張っていた頃、姉が大阪から帰省して私にひと言。「Sのメイクは、お母さんのかぼちゃの煮つけみたい。」「えっ、それどういう意味?」と素朴な疑問をぶつけてみると、「素材が生かされていない!!」と言われて、大爆笑。お姉ちゃん、絶対に口から生まれてきたでしょと心の中で思いつつ、その言い方がなぜか母に対する愛を感じて嬉しくなっていて。それ以来、ナチュラルメイクを意識しています。意識するだけね。

実は、この間スタバからの会員メールに、一杯飲むと同じものがもう一杯無料になるというチケットが送られてきたので、早速お店へ。すると、またS君のお母さんに偶然会い、注文するのも忘れて盛り上がってしまいました。彼女は帰る直前だったのですが、私に会いすっかり話に花が咲いてしまい、無料券あるから一杯どう?と誘ったのですが、「本当にもう帰るから気にしないで~。」と言われて、密の濃い10分を過ごしてお別れ。実はその日、ヘッドホンの男性も店内にいて、なんだか不思議な気分に。レジでメニューを見ていたら、ふとあることを思いつき、カフェモカとカレーデニッシュを注文し、同じSサイズのカフェモカもサービスで作ってもらいました。
ドキドキしながら受け取った後、一杯を自分のテーブルに置き、もう一杯をその男性の元へ。「あの~。これ、一杯無料券でもらったんですけど、二杯も飲めないので良かったらもらってください。よくお見掛けするんです。」そう伝えると、かなり驚かれ(そりゃそうだ)、「えっ、いいんですか?ありがとうございます。」と笑いながら受け取ってくれました。

本当に自分が煮詰まっていた時に、顔を上げると何度も励まされた方です。ご本人はそんなつもりが全くなかったと思いますが、カフェの中も図書館と同じように、その空間にいてくれるだけでなんとなく元気をもらっていたりするので、そのお礼をふとしたくなりました。実際、記事にも出てきてくれているしね。そして、様子を見ていたスタバの店員さんもびっくり。多分、私が少し変わったお客さんであることはこれで決定。

姉は、私のこういう所をとても好きでいてくれました。「Sはいい感じで人を巻き込むし、巻き込まれた方も嫌じゃないんだよね。だから、Sの周りには常に人がいるよ。姉をやっていて、不思議なオーラを持った子だなと思う。アンタのライバルはアンタだけでしょ。苦労も沢山背負い込んでいくと思うけど、それ以上に幸せも舞い込んでくると思う。もっと上手に生きられないの?と思うんだけど、同時にどこかで羨ましくもあるよ。だから、応援する。」

不器用な妹を心配しながらも、最後には応援すると言ってくれた姉。そんな彼女に今度会うのは、母が他界してからなのかも。姉妹でいたから苦しかったのかな。全く母に対する考え方が違ったから。最初から友達として出会えていたら、それぞれの良さを出し合える関係でいられただろうなと思う。運命とか、そんな大げさなものではないのかもしれないけど、この現実をどこかでお互い受け入れているからこそ、別々の所で自分を磨けるのかも。

母のしょうゆまみれのかぼちゃの煮つけで一緒に育ったよ。そんな姉との思い出だけで、今年もきっと満たされる。