本当に久しぶりの参観日があり、今回も分散だったので、できるだけ人数の少ない5時間目を選び、楽しみに待っていました。が、息子は4年生になってから、急に恥ずかしくなってしまったようで、本当に来るの?と連発。それでも、嫌がっているようには見えなかったので、本当に行くよ!と伝えると、やっぱりどこかで嬉しそうに教えてくれました。「廊下に、図工で描いた木の絵と、車の工作と短冊があるの。ママ、見てね!」「分かった~。写真撮ってくるよ!」となんだかんだで大盛り上がり。絶対に来ないで!と言われるまで、予定をがら空きにしておこう。
そして、当日の朝、いつものように学区内まで見送り、ハイタッチをしてお別れ。「5時間目に行くね~。」「うん。後でね!」そう言ってバイバイ。自宅に戻り、パソコンを開け、家事をこなし早めに自宅を出ると、予定よりも早く学校に着いてしまい、まさかの掃除の時間で居場所に困ってしまいました。とりあえず、校舎外の日陰に入り、掃除の音楽が鳴りやむまでぼーっと突っ立ってみる。保護者のプレートをかけていなければ、完全に怪しい人だなと思いつつ、休み時間になったので、のんびりと昇降口に入り、カメさん並みの速度で息子の教室の前へ。すると、担任の先生が廊下近くで女の子に何やら言っていて、フライングの常習犯であることに気づかれてしました。ここで会釈をすると、先生に気を使わせてしまいそうだったので、息子の絵をなんとなく探していると、優しい色合いの木を発見。彼が好きな水色が背景に淡く塗られ、木の幹も緑も柔らかく塗られ、なんだか嬉しくなりました。息子の目に映る世界は、白黒のはっきりしていないやさしい色なのかなと。そんなことを思っていると、車の工作や短冊も見つけ、泣きそうになりました。『北海道飛行機のって楽しみだ』夏休みの終わりに行こうと約束していた北海道。「夢の中でママと一緒に飛行機に乗る夢を見たの。」と朝から言ってくれる程、毎日楽しみにしてくれていました。その気持ちをそのまま学校に持って行ってくれていたのだと思うと胸がいっぱいに。息子を妊娠した数日後、あまりの悪阻の酷さに、夫と予約していた北海道行きの飛行機はキャンセルに。私にとって、行けそうで行けない憧れの地でした。息子の命が宿ってから、いつか行きたいと思っていた場所に一緒に行けること、それを彼が心待ちにしていることが短冊で分かり、色々な気持ちが駆け巡っていると、見慣れた男子三人が目の前を通過。「ママ!」「こんにちは!なんで体操服なの?次は英語の時間だよね。」「6時間目が体育なんだよ。」「そうなんだ!みんな背が伸びたね~。」と息子を真ん中に挟んで電車ごっこのような状態でいる男子君達に伝えました。先頭は、いつも一緒に帰ってくれる友達、後ろは幼稚園から一緒のD君。二人とも私のことを知っているので、フレンドリーに挨拶をしてくれて、その後もこちらの目の前を行ったり来たり。三人の中に流れていたのは、あたたかい循環でした。誰かが渡すだけでなく、誰かがもらうだけでなく、三人がいつも手を握り届け合っているのだと。一緒にいると優しい気持ちになる、そんな仲間に出会えたこと、それを心の底から感じられること、それは息子の大切な財産なのだと改めて思いました。彼自身が感じているもの、忘れることはないだろう。
そんな嬉しい時間を見せてもらった後、「Sちゃん!」と声をかけてくれたのは広報委員で一緒だった友達で驚きました。今年も同じクラスで喜んでくれて。息子が繋げてくれた縁、ここにもあったね、そんな再会に喜びながら教室の中へ。オーストラリア出身の日系?!の男の先生が挨拶をし、担任の先生も隣にいてくれて、和やかに授業はスタートしました。『となりのトトロ』を英語で歌う時には、男子がふざけて歌詞の間に不思議なリズムを入れ込んで思わず笑ってしまって。「となりのトットロ、トット―ロ、フウッフウッ!」そんなノリに女の子達が呆れながらも笑いながら歌っていて、いつの時代もどこかで変わらない雰囲気にこちらの方が元気をもらったようでした。英語のAM、PMの問題で担任の先生がお手本で答えようとすると、こっそり英語の先生に確認をとっていて、その姿にキュンとしました。それを見た男子が、「先生もこっち側に座りなよ~。」と茶化すと、「ほんま、私もそっちに座りたいわ~。」といい感じのイントネーションで返してくれるので、余計に笑いがこみ上げ、その時に面談のことが蘇ってきて。私の辛さを和らげようと、ぐっと踏み込んで伝えてくれた先生の勇気と信頼を絶対に忘れたらいけないのだと。私達親子に出会ってくれてありがとう、心の中で呟くと授業中に泣いてしまいそうでした。
さてさて、息子はというと、問題の意味がうまくかみ砕けず不安そう。それでも、英語の先生や担任の先生が机の隣でフォローしてくれて、安堵している様子が伝わってきました。その後、みんなでやった英語でビンゴ大会。ゲーム感覚で教えてくれるから、みんなが楽しそうで、その空間に自分がいられて幸せな時間でした。授業も終わり、息子が紙を持って寄ってきてくれて。「ママ、ボクね、1行ビンゴだったの!」「すごーい!良かったね!」そう言うと、嬉しそうにしている彼の横から一緒に帰ってくれている友達も伝えてくれました。「僕、5ビンゴだったの!」「え~!よく揃ったね~。」「僕は3ビンゴ!」とD君も寄ってきてくれて、三人のお母さん状態に笑ってしまって。授業中には、仲良しのKちゃんの娘ちゃんが私に気づき、手を振ってくれました。帰り際には、広報委員で一緒だった息子君が話しかけてくれて。そして、まだ息子がそばにいて、「これ、理科の授業で作ったの。」と車を見せてくれると、D君も自分の作品を持って見せに来てくれました。離婚調停中はまだはっきりした状態にはなく、辛い気持ちが押し寄せる時もある。それはきっと夫もそう。色々な気持ちがぐるぐるしている中で、息子やお友達が現実にあるぬくもりを届けてくれたようで、会えて嬉しかったと伝えてくれているようで、そっと助けられたようでした。ようやく、教室を出ると広報委員だった友達が待っていてくれて、校門まで一緒に帰宅。優しい世界にありがとう。
「ママ、一番最初に来たでしょ!」バレた!!でも、夕飯を食べながら嬉しそうにしてくれて。あなたの好きな水色の空。その中に広がるお母さんが好きな白い雲。学校でも感じられて嬉しかった日。重たい雲に、沢山の光を射しこんでもらった教室、その一瞬を覚えておく。