春の陽気に包まれて

新学期になり、若干眠そうな息子を学校の途中まで送り届けバイバイ。そして、昼前にバタバタと帰宅すると、嬉しそうに伝えてくれました。「ボクの新しい担任の先生誰だと思う?」とはち切れそうな笑顔で早く言いたい様子。「う~ん、分からないなあ。」「じゃじゃ~ん!○○先生になったんだよ!」と名前が入ったプリントを見せてもらい一緒に歓喜!!まさかの2年連続同じ先生で泣きそうになりました。また同じ先生がいいと、ずっと春休み中に言い続けていた息子の願いが叶ったのね。そして、もうすぐお別れだと思い、散々WBCの話で盛り上がった先生との宿題プリントを思い出し、笑えてきて。本当の別れは1年後に持ち越し。その時は2倍どころか3倍の気持ちが溢れ出すだろう。広島東洋カープファンの先生、どの選手が好きですか?と質問できるチャンスがまた巡ってきて勝手に喜んでいます。そして何より、こちらの状況を話さなくても知ってくれているということ。引継ぎも何も、共に歩んでくれた1年は大きく、また助けられていくのだと思うと堪らない気持ちになりました。息子が繋げてくれる“ご縁”をどんな時も大切にしようと思っています。いい新年度の始まり。

春休みは、母に誘われ3人で箱根の旅をすることに。事の発端は、両親の一悶着。父と名古屋へ墓参りに行くはずが、すれ違いがあったようで、帰省はなくなってしまったので、一緒に箱根に行かないかと半分いじけている母に言われ、彼女の気分転換になるならと行くことにしました。気圧の変動は大きく頭痛がきついなと朝から思いながら、息子とスーツケースをゴロゴロして母と合流。特急電車で息子を窓側に座らせ、隣に母、通路を挟んで私が座るとようやく少しほっとしました。そして、箱根湯本の駅に着くと、息子の頭痛が一気に悪化し、ぐずり出してしまったので、近くのカフェへ入ることに。うつ伏せになり、辛さをこちらにぶつけてくるので宥めながら、薬を促すといやいやながらもようやく飲んでくれて少し安堵。目の前にいた母に、たまにこういったことがあるのと伝えると、孫の心配をされながらも言われました。「私は朝、薬飲んできたから良かったわ。」と。うーん、お母さんそれはちょっと違うよねと心がぐるぐる動き出して。こんな言葉に子供の頃から傷ついてきてしまったんだろうなと改めて思いました。風邪を引いた小学生の時、「私に移さないでね。」と母に言われ、父には気づかないふりをされました。凹みながら、自分の部屋で寝ていると、祖父がガタガタに剥いたりんごを持ってきてくれて。「Sちゃん、食べんね。」その言葉と、料理の苦手な祖父が一生懸命に切ってくれたりんごを見て、泣きたくなりました。「おじいちゃん、ありがとう。」辛い記憶が沢山あって、それでも思い出すのは届けてくれた優しさの方でした。苦しかったからこそ、向けてくれる人の優しさに触れると何倍にも膨れ上がりました。人はこんな柔らかさを持っているんだよね、そのことを沢山の方達に教わって。だから紙一重の所で自分は曲がらず、今こうしていられているのかなと。母のいい所も沢山知っている、でもひと言ひと言に傷ついてきたこともまた事実。軽く流せる術を身に着けるのが当面の課題かなと思っていると、息子の薬が効いたようで少し復活。「お薬が効いてくれて良かった。辛かったね。」そう言うとほっとした笑顔を向けてくれました。その後、マメ柴兄弟のちくわバージョンとかわいいカワウソを奇跡的に発見し、喜んで購入。バスに揺られ、ホテルに着くと桜が綺麗で、三人で散策することに。もうマスクはいいんじゃないかと私が言うと、二人とも同意したのでそのまま庭園に行き、戻ってくるとマスクの着用が館内に書かれていたので、慌てて部屋に戻りました。「やっぱり室内はまだマスクが必要だったね。」「だからマスクしていきましょって言ったんじゃない。」と母に言われ、息子が言い返すので本気で驚きました。「おばあちゃんもしなくていいって言ってたじゃん!」いつも内に秘める息子の怒りが思いっきり外に出て、母が怯んだことが分かり絶句。おばあちゃん、いつも人のせいにするんだよ、ママずっとこんな思いしてきたんでしょ、たまには言わないと分からないよ。息子の心の声が聞こえ、守ってくれたことが分かりました。ありがとうね、あなたに助けられた。今の私も子供の頃の私もこれまでの過去、きっと全部。それからも、楽しくやっていたものの深夜に息子の頭痛が悪化し、薬が効くまで付き添うことに。ようやく寝てくれた翌日、ゆっくりまたバスに乗ると、大きなリュックを背負った欧米人の方達を見かけました。アメリカ育ちの元彼の友達夫婦、白人と黒人、宗教の違いなど親戚の反対を押し切って箱根の新婚旅行へ。白人の女友達がバスの中で吐いてしまい、優しくしてくれた日本人の人達。本当にその気持ちが嬉しかったと何度も話してくれました。愛を誓った箱根、彼らの純粋なハートは箱根の山に散りばめられていて、それを受け取りに行けて良かった。今どうしているだろうか。

そして途中下車した宮城野というバス停付近には、素晴らしい桜並木と川が流れていました。『さくらdeカフェ』の桜もこんな風に咲いているだろうか、そんなことを思いました。沢山の気持ちを抱えきれない程抱きながら、箱根湯本駅へ。また来るよ、愛が詰まった場所。
最後はかまぼこの里へ。そこでもマメ柴のかまぼこバージョンを見つけてしまい、三人で歓喜。母が買ってくれて、みんなでかまぼことちくわ作り体験をして帰ってきました。自宅に帰り、どっと疲れた息子が本音を漏らしてくれて。「おばあちゃんが電車の中でずっと質問してくるから、疲れちゃって頭痛が酷くなったの。ボク、ママと行った旭川ではほとんど頭痛はなかったんだよ。」「おばあちゃん、ぬいぐるみも買ってくれて優しい所もあることは分かるんだけど、ペースが合わなかったり、Rにとってストレスに感じる時相当な負担があるんだろうね。ママのこと気遣ってくれていたのも分かった。ありがとうね。」二人の絆が深まった旅、それでも忘れたらいけないのは誘ってくれた母にありがとう。春のあたたかい陽気に包まれて、旅行の写真が輝いて見えた。そこにある笑顔を大切にしよう。