未来への光

新年明けましておめでとうございます。色々あった2022年、その色々を2023年は越えて、さらに飛躍の年にできるように、笑いながら躓きながら、時に悔し涙を流しながら変わらず頑張ろうと思います。『さくらdeカフェ』は24時間オープン、週に2回ふらっとさくらいろが登場します。その時、ここに来てくださる方達とカウンターで対話をさせて頂き、心の中にそっとおみやげを持って帰ってもらえたらと、少し辛い時、さりげなく取り出しご自身に微笑んでもらうことをいつも願っています。日本社会はこれからどうなってしまうのだろう、そんな不安を吹き飛ばしてくれたサッカー日本代表。侍の魂をチームのみんなが改めて教えてくれました。日本人の心、ピッチで円陣を組み自分達がこれまでやってきた力を信じ、鼓舞をして声を張り上げるその輪には、日本人だけでなく、日本のサッカーを応援してくれるサポーターの方も入っていると思うと、とんでもない力が一つの円になっているのだと胸が熱くなりました。繋がり、尊敬、感謝、自信、もっと高みへ、そして、共に戦ってきた仲間と共に。侍ブルーのユニフォームは、大きな感動を残し、新しい年の幕開けです。どうか今年も、良かったらお付き合いください。

グループリーグのスペイン戦に勝利した後、息子が伝えてきました。「朝4時からの試合だったのに、クラスの半分が観ていたんだよ~。だから今度のクロアチア戦は起こしてね!!」それはすごい確率だなと驚きながらも、歴史的瞬間を絶対に見逃さないでいようと約束し、当日を迎えました。いつものように9時に寝かし、本を読みながらその時間を待つ。しんと静まり返った深夜にページをめくる音が響き、なんだか少し気持ちが落ち着きました。そして、11時過ぎ、バスを降りてスタジアムに入っていく選手達の姿を見送り、半になってから息子を起こしに行きました。「どうしても眠いならそのまま寝ちゃってもいいけど、大事な試合だから起きられたら起きておいで。」そう声をかけると、ボケボケしながらぬいぐるみを握りしめ、リビングに登場。ソファに座り、国歌斉唱を聴くと、やはり森保監督が今にも涙をこぼしそうな目をされていて、その想いの深さにこちらもこみ上げそうでした。そして、いよいよキックオフ。白熱する試合展開の中、前田選手がゴールを決めてくれた時、時間も忘れて息子と叫び、感激のダブルハイタッチ。「やった~!!」と優勝したかのような大騒ぎ。そして、ハーフタイムに入り、ほっとして夜食を食べ、後半を迎えました。すると、同点ゴールを決められ、延長戦へ。惜しいチャンスがいくつもあったものの、点は入らずPK戦に。初めて見る試合展開に息子の質問攻めが待っていて、それに答えた後、ひとつの光景が目に飛び込んできました。それは、スーパーセーブを連発したキーパーの権田選手に駆け寄った、控えのキーパーであった川島選手でした。PK戦は、キーパーが抑えられるかがカギになる。それを誰よりも知っている川島選手が権田選手に近づきハグをした時、言葉ではない男同士の会話がそこにはあったような気がして、ほんの一瞬のやりとりにぐっときました。魂と魂がぶつかった瞬間なんだなと。その後、運命のPK戦へ。日本の選手が外す中で、権田選手がクロアチアの選手のPKをひとつ止め、大きなガッツポーズ。これは俺の仕事だ!体中でそう伝えてくれているようでした。結果は、僅差で敗れ惜敗。ベスト16という壁は大きかったものの、あとわずかで見えそうな景色を見せ続けてくれた日本代表のみなさんに、鳴りやまない拍手を送りたいと思いました。壁をジャンプすると確実にあった光、そこを目指し、また一緒に戦わせてもらいたいなと沢山の気持ちが押し寄せた深夜の3時。「今回は本当に悔しかったけど、また4年後応援しよう。いい試合だったね。」「うん。ボク、サッカーにも力が入った!4年後って中学生?」「そうだよ。この大会を覚えておこう。歴史は動き始めているよ。」そう伝えると、何かが伝わってくれたようでした。

監督や選手達のインタビューをじっと聞き、胸に収め、ようやく寝てくれた息子。一人になったリビングで中学校の光景が蘇ってきました。社会の先生であったサッカー部顧問。土日も練習や試合があり、サッカー部の男子達と社会科の授業中に反省会が始まってしまったことも。そんな先生が率いるサッカー部の週末の練習を見に行きたくなって、テニス部の友達を誘い、セーラー服を着てグラウンドの端で見届けました。その日は雨。傘をさしても少し濡れてしまいそうな日、それでもサッカー部は泥だらけになりながら紅白戦の試合を行っていて。先生はジャージ姿でずぶ濡れ、笛を持って部員達と一緒に走るその姿に胸を打たれました。先生も同じ目線の輪の中にいるんだなと。ピッと笛を吹きながらこちらに気づいた様子、それでも後日学校で会った時、どうして来たんだと聞かれませんでした。サッカー部の過程が見たかった、週末どんな気持ちで戦っているのか、それを見せてもらうことも大事な“社会”でしょ。先生が築き上げたもの、外からだけど感じられて嬉しかった。そんな気持ち、廊下ですれ違う時きっと届いていたのだろう。社会の授業で目が合った時、にやっと笑ってくれました。先生が教えてくれた視点、私は活かしていられているだろうか。

翌朝、体が強烈に重たそうな息子を起こし、学校に行けそうか聞いてみると伝えてくれました。「頑張って行く!でも、今日書き初めがあるんだよ~。眠くて白い紙が真っ黒になるかも。」その話を聞き、笑ってしまいました。よりによってクラスの大半が観ているであろうクロアチア戦当日に、書き初めとはね!「一日大変だと思うけど、休み時間にお昼寝したりして乗り切っておいで。この試合を観られたことは大きなことだよ。」そう伝えると、優しく頷いてくれました。
今年は、WBCもあるし、息子とラグビーも観たいし、つば九郎のユニフォームを着て神宮球場にも行かなくちゃ。いろんなワクワクが待っているから、沈む暇なんてない。長友佑都選手がコスタリカ敗戦の後伝えてくれました。「(気持ちは)切り替わっていると思います。いろいろ経験していて、南アフリカ大会でも初戦はカメルーンに勝ち、次にオランダに負けた。その時と同じ。あの時に先輩が見せてくれた姿勢は、心に刻まれている。ここでもベテランの力が、価値が問われるかなと思います。」侍の魂が引き継がれ、日本中に届けてくれた長友選手。その気持ちを持って、新しい年を進もうと思います。
2023年、みなさんにとって光多き一年になりますように。