好きな気持ちを大切に

息子と秋に観ていた侍JAPANの強化試合。すると、息子がテレビ画面を見て伝えてきました。「え?日本対オスナ??」「そんな訳ないでしょ!日本対オーストラリアだよ。オスナ選手が好き過ぎて見間違いが重症だな。オスナ選手が一人で対戦だったらどうやって試合するのよ。」「全部ホームランを打ってもらう!」なるほどなるほど、と感心している場合ではない。私達が神宮に行くとヤクルトのオスナ選手はよくヒットやホームランを打ってくれて、クライマックスシリーズも日本シリーズも大活躍だったので、息子はすっかり大好きになっていました。「侍JAPANにオスナ入ってくれないかなあ。」「日本人選手だけだってば!」と二人でわいわい。彼の母国であるベネズエラを地球儀で確認し、早く戻ってきてほしいなと寂しがっている様子。そして、マクガフ投手の退団が決まり、メジャーで頑張ることが分かった時、いろんな気持ちが押し寄せてきました。『あなたがまたマウンドの上で輝くことを願っている』、そう伝える英文をたった一行書いた時、in Jingu Stadiumと入れませんでした。どこの球場でもいい、マクガフ投手が自分らしい投球をしてくれることを祈ろうと思いました。そして、ヤクルトを退団。もう9回のマウンドに出てきてくれないのかと思うとやっぱり寂しくなったのですが、その気持ちをぐっと堪え、息子に伝えました。「マクガフ投手、メジャーで頑張ることに決めたみたい。ヤクルトを離れてしまうけど、どこに行っても応援しよう!」「そうなんだ。寂しくなるね。でもボク、どのチームに行っても応援するよ!」なんだか息子のこの言葉に私の方が励まされたようでした。日本シリーズ5戦目、マクガフ投手のエラーが絡み逆転負けをした後、胸が痛くなり、何気なくSNSを開くと1人のヤクルトファンの方が発信してくれていました。『マクガフの38セーブに感謝している。』その1セーブは息子と観に行った1試合で、マクガフ投手がチームに多大なる貢献をしてくれて、日本シリーズに行けたのだとファンの方達は知っているからこその言葉だと思うと、泣きそうになりました。その後、第6戦もエラーが出てしまい、まさかの降板へ。その時、ベンチにいたみんなが温かく迎え、椅子に座ったマクガフ投手が、うな垂れ、頭を小さく横に振った姿を見て、胸が潰されそうでした。「こんなはずじゃなかった・・・。」彼の痛みが真っ直ぐ届き、もう一度マウンドに上がってくれるその日までゆっくり待とうと思いました。
Dear Scott, Thank you for taking to the Japan series. We wish you success wherever you are.

学校から帰宅した息子が、睡眠不足と寒暖差の影響で、ものすごい勢いでぐずって泣き叫んでしまい、途方に暮れました。男の子のパワーは凄まじく、寝ながらソファを蹴り、叩き、長時間大泣きするので、これでは本人も苦しいだろうと思い、ぎゅっとハグをすると少しだけ落ち着いてくれて。クリスマスプレゼントを前倒しにして、おばあちゃんからもらったぷにょぷにょアクアリウム。凝固剤に入れていた時間が短かった為か、せっかくできた水族館の仲間達に穴が空き、それが余計に悲しかったよう。「ねえR、野球もサッカーの選手も、他のスポーツ選手もみんな、負けから沢山のことを教えてくれたよね。うまくいかないと悔しいし悲しいよ。でも、そこから気持ちを切り替えて、ぐっと顔を上げる姿にお母さん感動したよ。10連敗した後に手にした1勝の価値を知っている人達なんだと思う。沢山負ければいいんだよ。沢山失敗すればいい。勝ち続けた人よりもきっと深みのある人になるよ。もうお母さんなんて、失敗の連続。でも、自信を持って言えるのはそんなお母さんに寄り添ってくれる人達がいて、だからここまで来られたんだと思う。Rは、体が辛くなると、心がどうしようもなく引きずられて本当に苦しくなる。でもその辛さ、分かるから。その痛みを自分でコントロールできるようになった時、少し楽になるし、余裕ができた時誰かを助けてあげてね。あなたのその辛さは、人の深い所に優しさを届けられるって思うから。水族館の仲間達、傷がついてもみんな一生懸命に生きているよ。上手くできた子だけじゃなく、みんな可愛がってあげようよ。完璧を求めるよりも、みんな違ってみんないいって気持ち大切にしてくれたら嬉しいよ。今日は一日よく頑張ったね。」そう話すと、胸の中でそっと泣いてくれました。先ほどの涙とは種類が違う。痛みから優しさに変化していった柔らかいひとときでした。

ようやくほっとして明け方に見た夢。それは、23歳の電車の中、マブダチK君と子供の頃にお父さんが自殺してずっと悩んでいた繊細なYとの会話でした。「友達が彼に振り回されているようだったから、ちょっと話を聞いてきたの。」と私。「お前、相変わらずだな。人のことより自分のことだろ。なあ。」と同意を求めるK君。いつものように優しく微笑むY。そしてK君が言ってくれました。「俺達まだ23なんだよ。これからだよ、これから!」その言葉は力強く、目が覚めた時受け取ったエネルギーがまだ残っていて、朝から泣きそうになりました。43歳、これからだよ、これから!自分を奮い立たせてみる。53歳になっても63歳になっても言い続けてやる。夢の中にまで出てくる彼らはなんにも変わっていなくて、いつもあたたかくて。Yは夢の中でお父さんと和解できただろうか。もう父さんのこと怒っていないと伝えられただろうか。これからだよ、これから!いつかまた彼らに会えたら伝えよう。こっちのセリフだよ!お前が言うな!!白髪交じりの二人に突っ込まれる会話が浮かんでくる。過去も未来もそこにいてくれる友達、人はこういうことを幸せと呼ぶのだろう。