気持ちの交換

毎度のことながら、せわしなくタンブラーを片付け始めたシェアオフィスで、受付の前を通過すると、ラガーマンのTさんに話しかけられました。「あの~、これ、自社の製品で作ったハガキなんですけど、僕使わないんで良かったらもらってください。」と渡されたのは、今まさに応援しているラグビーチームのキャラクターやロゴの入った可愛らしいハガキ2枚でした。そして、でっかいロゴシールまで頂き、僕は手帳に貼っているんです~なんて言いながら見せてもらって。非売品のかなりレアな物らしく、お礼を言うといつもの爽やかな笑顔で伝えてくれました。「僕、こんなことぐらいしかできないんですけど。」と。その言葉の真意が読み取れて、なんだかぐっときました。いつもチームを応援してくれて、今の僕に何ができるだろうと考えた時にこれかなと。OBとして何かできないだろうかと色々考えてくれたその気持ちが、ハガキを通して伝わってきました。「もったいなくて、使えないです。ラミネートさせてもらいたいです。」ははっ。今日もまた受付で営業妨害になるほど盛り上がってしまい、パソコンバッグにそっとしまいました。ハガキにファンレターを書いて渡すのではなく、ここに残しておきますね。ラグビー指導者への道、応援しています。

そもそもなんで私はサッカーができて、それなりにルールを覚えたんだ?と思い出していたら、ふと蘇った中学生の頃の記憶。体育の時間に男女混合であり、サッカー部男子がやや呆れながらも親切に教えてくれたことがありました。その当時は、Jリーグがかなり盛り上がりを見せ、名古屋グランパスエイトの中西哲生選手を応援していて。リフティングを、どんくさい女子達に教えてくれた男子。「おっとせいのようにはできない。」と言うと、そこまでは求めていない!と冷静な返事があったりして、なんだかもう休み時間の延長上のノリで盛り上がっていた体育の時間。オフサイドの意味を懇切丁寧に教えてくれたサッカー部のおかげで、天皇杯が楽しめたのかも。時を越えた感謝なのかな。
そんな彼らが、部活の後に、校庭周りの側溝の泥出しを、道具を使ってやっていたので、テニスラケットを持ちながらの冷やかし。「顧問の先生に怒られたりでもしたの?」「違うよ!サッカー部全員、練習が終わってから掃除をするように言われたんだよ。」それを聞いてはっとなりました。そうだった、その顧問は社会科の先生。部活を通して教えようとしているその気持ちは、色々な所から伝わってきました。毎週末のように練習試合が組まれ、全く休めないとぼやいていたサッカー部。それは同時に先生にも休みがないことを意味していた訳で。「以前さ、皆でたまには休みましょうよって先生に言ったことがあって、その週末は本当に休みのことがあったんだよ。それで、先生に休めましたかって聞いたら、他の学校の審判に行っていたって聞いて、俺達何も言えなくなった。」それはそうだよね。なんだか分かる。先生が伝えようとしてくれていたことって、“人として”ということだったのかなと改めて感じています。

「Sはとにかく感受性が強い。それは最大の長所だと先生は思う。」「でも先生、時々自分が苦しくなるよ。感じなくてもいいことまで感じてしまっているようで。何とも言えない不甲斐なさも感じる。」「だから人のことが分かるんだろう。最後まで陸上部にいて、社会の成績落ちただろ。相当悔しかったと思うぞ。1つ落とした。ギリギリのところで落としたんだよ。そこからまた学ぶと思ったからだ。悔しい気持ち、Sなら変えられるだろう。高校に行っても頑張れ。」あの時一気に成績が落ちたから高校のランクを下げなければいけなかったよ。だから、今がある。悔しくて、助けられた想いがずっとくすぶっている。