たった一つの流れ星

この間、家族三人で八ヶ岳へ旅行に出かけてきました。初日は生憎の雨で、残念に思いながらも、ホテル内で息子がウェルカムケーキを笑ってしまうぐらい食べてはしゃいでいる姿を見て、憂鬱な天気を見事に吹き飛ばしてくれました。シュガーハイってたまに聞くけど、糖分を取り過ぎると本当にハイになるのね。意味の分からないタイミングでずっと笑っていて、つられて爆笑。

せっかくなので、露天風呂を楽しもうと思い、早速テンション高めの息子と二人で温泉へ。露天風呂に入ると雨はすっかり上がっていて、綺麗な紅葉が見られ、これだけで満足でした。誰もいなかったので、景色が見えて良かったね~と息子と堪能していたら、ご年配の女性が後から一人。「小学生?」と前から知り合いのような口調で話しかけられ、その気さくな雰囲気にすっかり溶け込み、盛り上がってしまいました。「まだ幼稚園の年長なんです。」そう伝えると、とても優しく微笑みながら伝えてくれました。「小さいうちから、綺麗な景色を見せてあげることは大切なことだよ。情緒が育まれるからね。大人になってから、どれだけ大事なことだったか分かるよ。ボク、良かったね。お父さんとお母さんに感謝しないと。」
“亀の甲より年の功”こんな時は痛感させられます。露天風呂が熱く、足湯にしていた息子の顔が赤くなり、さすがに退散しないとふらつくかなと思い、ご挨拶をしてお別れしたのですが、もっと話していたかった。深いよ、生き方も、気持ちも。そんなことを感じた嬉しい出会いでした。

お風呂から上がり、アイスクリームを食べようとケースのそばまで行くと、うまく開けられず苦戦していたご年配の男性がいたので、さりげなくお手伝いをするとお礼を言われ、後から出てきた先ほどの女性とまた再会し、会釈。「なんだ、知り合いだったのか。」と旦那さんが言っていて、ご夫婦だったことが分かり、そこにいた夫も含めて四人で椅子に座り、談笑が始まってしまいました。いつもはつまらなくなるとぐずりだす息子も、温泉とアイスクリームで満たされたのか、うろうろしながらご機嫌で、旅が心のゆとりを生んでくれるのか、私が安らいでいることが伝わったのか、和やかな時間が流れました。あんなご夫婦いいな。子育ても終わって、仕事も引退して、優しく時を二人で刻む。思い出をいっぱい作ろう、そんなことを二人で言い合うような年の重ね方、見習いたい。

沢山ご飯を食べ、キッズルームで散々弾けた息子の寝かしつけを夫にお願いし、もう一度一人で露天風呂へ。すると、満天の星空で、あまりの美しさに泣きたくなりました。ずっと見上げていたら、たった一度だけ流れ星が。願い事をする時間もないぐらい一瞬の出来事だったのですが、見られただけで十分でした。その一瞬に価値がある。本当にたまにしか見られないからこそ、そのひとときを胸にまた頑張ろうと思える。

願い事が一つもし言えたのなら。『このサイトを成功させる』
夫や息子のことは、私がしっかりしていたらきっとうまくいく。だから、あの流れ星は自分の為に願いを乗せる。ここで書いた文章が、沢山の人の心に届きますように。

帰りの道の駅でおねだりされたぬいぐるみは、丸くて小さな黄色いくま。“くま転び八起き”という縁起物らしい・・。よく見るとお尻に鍵のマークが刺しゅうされていました。これで幸せの扉を開けられるようだ。夫のお土産は疲れだけ、そんなことのないように優しさを向けられる女性でいよう。
でも、あの流れ星は譲らない。