ドジャース対ブルージェイズのワールドシリーズ第七戦、試合のある息子を送り出し、テレビの前に座りました。第四戦は、彼の体育祭で観られなかったものの、それ以外の試合は全部観ていて。そして最終戦、何とも言えない緊迫感が伝わってきました。大谷投手が3点を先制された時、マウンド上でこちらが想像するよりもはるかに沢山のものを背負っているんだなと。同時に、そういえば前回のWBCの準決勝も日本がスリーランを打たれて劣勢になった時も、大谷選手がチームを鼓舞し、大逆転に繋がったことを思い出しました。まだ序盤、最後まで何があるか分からないのが野球だと色々な試合から教わった。その後、少しずつ点を返し、1点ビハインドの中、最終回へ。1アウトになり、あとアウト2つ。野球は9回ツーアウトからなんだよと息子に伝えてきた自分の声が耳に届いた。まだ分からない。そう思っていると、バッターボックスに立ったロハス選手が見事なホームランを打ってくれて、両手を挙げて泣きそうになりました。諦めない気持ちって大事だなと改めて思わせてもらって。その後、山本投手の連日の思いのこもった力投で延長戦の末ゲームセット。決勝点は、女房役のスミス選手のホームランで、試合終了の瞬間マウンドでほっとしている山本投手に背後から駆け寄り抱きかかえる姿に、感極まりそうでした。一人だけ守備の向きが違う捕手というポジション、やっぱり大事な扇の要だ。好守備でピンチを救ったパヘズ選手、ブルージェイズで大活躍だったゲレーロ・ジュニア選手の涙、大谷選手のとんでもない投打の活躍、山本投手の技術とメンタルと体の強さ、そして、佐々木朗希投手が守護神でマウンドに上がり背番号『11』にいろんな意味を感じ、沢山の感動をもらったシリーズでした。裏側で人知れず流した涙もきっとあって。ブルージェイズのシュナイダー監督が、応援していたカナダのファンの方達に伝えてくれた言葉がありました。みんなのことを愛しています、ありがとう、ごめんなさいと。この想いの深さを忘れないでいようと思います。
息子のテスト勉強になると、毎回一悶着あって、今回もダメージが大きく、どう伝えたら本人のスイッチが入ってくれるだろうと一人反省会中。そんな時、自分が中学時代に母に言われたセリフを思い出しました。「お姉ちゃんが大学に行きたいと言っていて、もし受かったら金銭的に大変になるからSは短大ね。」と。姉は優秀、母が期待しているのは分かっていて、自分は次女だしと思い素直に受け入れました。もちろん、ネネちゃんは知らない話。そういった中、司書や教員といった夢が小さく、でも確実に芽生え始めていて。短大で取得すれば教員は二種免許、大学で取得すれば一種免許ということが分かり、大学に行きたいと思い始めそれでも黙っていました。そんな時、姉が希望していた大学はうまくいかず、短大に行くことが決まって。母から、だったらSが大学に行ってもいいと言われ、あの時自分の道が変わるそれなりに大きな出来事だなと思っていたのだけど、時が経ち改めて思いました。もしネネちゃんが大学に進学し、私が短大に行っていたとしても、情熱は冷めず何とかして編入試験を受けて、学費も自分でどうにかするからと大学3年から通っていたのではないかと。そこで、短大から編入してきた徳島出身の友達と合流した、どんなルートを辿ったとしても、教職課程で彼女に出会う運命にあったのではないかと思いました。本当にやりたいことがあるのなら、目指したいものがあるのなら、諦めなかったのではないかと。なぜなら、後悔したくはなかったから。徳島出身の友達は、関西の短大に行き、教職が取りたくて愛知の大学に編入してきました。お父さんを早くに亡くして、まだ弟が下に二人いる、だから迷ったけどお母さんに行けって言われたから、関西の大学と最後は二択に絞って考えたの。でも結論が出なかったから、大学名を書いて二つ紙飛行機を飛ばしたら、愛知の大学が遠くに飛んだからここに来たと笑って話してくれました。学食で笑い転げ、こんなご縁を大切にしたいと思った。よく決断してくれたね。彼女の行動力を思い出し、私ももしかしたら似たような道を選んでいたかもしれないなと微笑みたくなりました。どう転んでも、出会っていた。
離婚調停に入る前、ネネちゃんとカフェをすると面と向かい伝えてくれました。「Sちんは、ここ一番という時に投資するのは知っている。そんな娘を見てうちの両親はなんか思いなさいよって思うんだけど。両親の婚姻費用のことで、揉めに揉めてSちんがどれだけすり減ったかあんた達知ってるのって。Sは、R君に同じ思いはさせない。だから、大学費用とか望むことはやってあげたいって。でもね、本当に必要な時は私も貸せるお金があるってことだけは忘れないでいて。」その言葉を聞き、嬉しかったのと同時に、母に言われた数々のセリフは口が裂けても言えないなと思いました。自分が大学に行っていたら、妹は夢を半分諦めていたかもしれない、Sはそれでもなんとかしただろう、でもお金の心配をしないで子供の歩きたい道を応援するのが親でしょ!!とカフェでブチ切れる姉が想像できてしまって。諦めが悪いんだよ、それはもしかしたら家庭環境がそうさせてくれたのかもしれない。どんな固い土だっていつか芽を出してやる、踏まれても根をしっかり張っていたらまだチャンスはある、そうやってここまでやってきた。ネネちゃん、あなたのように注いでくれる人がいたからだよ。だから、萎れることはなかった。
遠回りしても目指す光がある、勝っても負けても今日という日に、仲間に感謝したい。その先にまた何が掴めるのだろう。