小学校で行われる音楽会、コロナの影響で2年間無くなり、3年ぶりの開催となりました。「ママ、ボクね、タンバリンをすることになったの!曲は『にじいろ』だよ。」「タンバリン、いいね!その曲、お母さん大好きなんだよ~。」そう言ってちょっと歌ってみると、多分それ~と言って笑ってくれました。「あとね、リコーダーと鍵盤ハーモニカもやるよ。最後にみんなで合奏なの。」そう言って立つ場所も教えてもらいました。その曲は、別居をしてすぐの頃、シェアオフィスで淡くギターの音色でかかっていた思い出のものでした。色々な気持ちを抱え、息子と手を繋ぎ飛んだ新居。ようやくほっとできた時に、耳にしたこの曲を聴いて泣きそうになりました。受付にいたラガーマンTさんに、曲名を知りたいと伝えると、「いいっすよっ。」と言われ、流れる場所で分かった『にじいろ』(作詞作曲:絢香)。その時から、息子に繋がってくれるなんてね。虹がかかったよ、あなたと私の心の中に。
当日の朝、4年生は後半の音楽会だったので、バタバタと準備をしていると、ピンポンという音が。慌てて出ると、地区長さんでした。「次回の防犯パトロールのバッグです。私は前半だったので学校で待っていようかとも思ったのですが、持ってきちゃいました~。」「わざわざありがとうございます。」そう言って笑顔でお別れ。音楽会の明るい雰囲気も受け取りました。お互い、いい時間になるといいですね。そんな気持ちを持って学校へ。すると、すでに前の席はいっぱいで横の端の席に座りました。4年生の番になり、やや緊張した息子を発見。リコーダーと鍵盤ハーモニカをそつなくこなし、合奏の準備で立ち位置が変わった時、場所が近くなりようやく目が合いました。「ママ、絶対に来てね!」何度も伝えてくれたその言葉、約束通り来たよ、頑張っておいで。心の中で彼に届けました。いつもそこにある糸電話、私は息子の大きな空でいられているだろうか。そういった気持ちを抱きながらビデオを構えると、『にじいろ』の演奏が始まり、色々なことが駆け巡り、溢れそうになりました。ビデオ係なので、緊張感があって大泣きしなくて良かった。そう言えば、幼稚園の卒園式の謝恩会で、隣に仲良しのKちゃんが座ってくれて、もう片方の隣には野球チームで一緒のS君のお母さんが座ってくれて、先生達が横一列に並んだ時、両隣りにいてくれる二人のあたたかさと、先生達への感謝と子供の成長が全部こみ上げ、周りの目も気にせず大泣きしてしまったことを思い出しました。あれからもう3年半か。時が経つのはどうしてこんなに早いのだろう。年中の時のH先生、まだここを訪れてくれているだろうか。先生に沢山助けられたから、もらった気持ちをまた誰かに渡そうと思います。
司書教諭の勉強中に出会った楽団の方達。彼らにお礼の気持ちを届け、朗読をさせてもらうと、そのお礼に即興で『コンバットマーチ』を演奏してくれて、涙が溢れました。言葉を届けると、音楽で返してくれた方達。どちらも渡したのは心でした。そして、彼らのことに触れた論文を送ると、合宿先からまたお礼にそこにいるメンバーが演奏をした動画を送ってくれました。♪チャッチャチャラララン、オー、チャッチャチャラララン、オー♪と『コンバットマーチ』を演奏しながら、打楽器奏者の方達は後ろの方でメガホン持ちながらスイングしてくれて、私が野球を好きなことを知っている訳ではないのに、届けてくれた明るい想いにポロポロ泣けてきました。「せーの、Sさん試験頑張れ~!」そこにいたみんなが演奏の最後に声を張り上げ、手を振ってくれた動画。その後ろにはプログラマーのMさんもティンパニを叩いてくれていました。その後、フルート奏者の友達が伝えてくれて。「やっぱりSさんには音楽で返したいと思って、合宿先の狭い空間から何とかスペースを作って演奏したの。みんな同じ気持ちだったよ。」あたたかさの集合体、そこで奏でられた音楽は私の中で特別なものとして胸にしまわれました。ありがとう、楽団のみなさん。
我に返ると、そこにはタンバリンを頑張って演奏している息子がいました。「休み時間にも、周りの子達と一生懸命に練習しているR君がいました。」そんな面談の時の先生の言葉を思い出す。「ボクね、大分うまくなったよ!」そんな彼の言葉を思い出す。ねえR、若いうちの苦労は買ってでもしろっていうことわざがあるけど、それはもしかしたら内容によるのかもしれない。あなたに沢山辛い思いをさせてしまった。でも、あなたの辛さに寄り添い支えてくれる人達が沢山いる。長い目で見たら、この決断は正解だったと二人で笑えるように、そこにいてくれる人達みんなで笑えるように、お母さんも頑張るから。虹を渡った先に、明るい幸せがあるといいね。きっともう歩き始めているよね、にじいろの上を。「ママと二人でいろんな所へ行きたい。」沢山のキラキラを吸い込みに行こう。優しい演奏が終わり、4年生のみんなが礼。ちらっとこちらを息子が向き、アイコンタクト。素敵な音楽会、『にじいろ』をどこかで耳にする度、今日という日を思い出すだろう。
いつもの公園に行き、ランドセルを背負った彼の姿を発見。「おかえりなさい!タンバリン上手だったね。」「ボク、沢山練習したんだよ~。いつも一緒に帰っているT君ね、朝お母さんと喧嘩して、お母さん見に来てくれなくて凹んでいた。」「喧嘩しても、お母さんそっと見に行っていた気がするよ。T君がそういった弱さを見せてくれるのは、Rのことを信頼してくれているからだよ。そういう関係を大事にしてね。」そう言うと、微笑み、コクッと頷いてくれました。優しさが重なった音楽会、奏でる人の想いを感じる音が好き。音楽にこれまでどれだけ助けられ、そしてこれからも助けられていくのだろう。『さくらdeカフェ』にどんなBGMを流そうか。