誰かの幸せ

今日、久しぶりに接骨院へ行くと、先生が喜んで息子の野球の話を聞いてくれました。「練習の最後に、ホームベースから右回りと左回りで一周するリレーがあるんですけど、息子は三塁から二塁に回るルールがよく分かっていなくて、1人だけレフトに走って行っちゃったんです。」そう話すと笑いながら伝えてくれて。「めちゃくちゃ可愛いですね!その姿見てみたいな~。その後どうなったんですか。」「ふと我に返ったらしく、慌てて戻ってきて、並行して走ってくれたお兄ちゃんがいて感激しました。」うわ~、いいですね、その光景。私の話を思い浮かべ、共感してくれる先生も十分素敵です。

そんな話をしていたら、カーテン越しにいつも来ているおばあちゃんと、出産後にお世話になっていた院長の会話が聞こえてきました。「結婚は、勘違いと誤解が必要よ!こんな80歳のおばあちゃんが若い男の先生に言う話じゃないけど。」「いやあ、僕今からメモしてもいいですか?」と独身の先生。確か、私とそんなに年が違わなかった気がしたのですが、まじめに聞いていて笑えてきました。先生、結婚願望なかったじゃん!と思いながら聞く会話はなかなか面白い。その後、「最近お誕生日だったでしょ。」と言われながら何かプレゼントをもらっていて、本当に嬉しそうに照れながら受け取っているのが気配で分かり、私まで嬉しくなりました。「私の友達みんなね、先生がとっても優しいって言っているわよ。人の気持ちが分かる人だって。」そんなことを言われながらプレゼントを渡されたら、じーんときますね。こんな可愛らしいおばあちゃん達に囲まれていたら、先生が独身でいたくなる気持ちも分かる!!って、フォローになっていない?

そして、私の中で幸せになってほしいなと思っているもう一人は、遠い親戚のおばさん。祖母の姉妹で唯一男性がいた、その奥さん。ずっと6人姉妹だと勘違いしていた中に、義理の関係だったおばさんがいて、なんだか心地よく、母に隠れてよく会いに行っていました。姉の結婚式前、一波乱あった時は、そっと話を聞いてくれて。「お父さんは籍が入ったままでの別居だから、結婚式に出るのは当たり前だと思っているし、お母さんは都合のいい時だけやってくると女性としてのプライドが許さないらしく、お姉ちゃんは内心で出てほしいと思っていて、どうしたらいいのか分からない。」そう言って、張り詰めた私にひと言伝えてくれました。「Sちゃんは皆の気持ちが手に取るほど分かってしまうから、一番辛いね。」その言葉を聞いて、涙が一滴こぼれました。その時、その一滴と共に心の黒い塊がすっと取れた気がして、私にも弱さを見せられる人がいたんだと思ったら、少しだけ楽になっていて。
「Sちゃんは、もっとわがままになってもいいんだよ。でも、それを許さない環境があることも分かるから、いつでもここにいらっしゃい。吐き出さないとだめ。大丈夫よ。お母さんは弱い人だけど、いざとなったら自分のことよりもお姉ちゃんの幸せを考えるから。一日ぐらい我慢できないでどうするのって言ってやりたいわ。」そう言って笑ってくれました。

おじさんが亡くなった後、葬儀に駆け付けた時も毅然としていて、あまりにもその姿が心配で、夏休みにおばさんにお願いをして一泊させてもらうことに。「本当はとても悲しいはずだよ。あの時私も助けられたから、おばさんも私の前では泣いていいんだよ。」そう伝えると、夜通しおじさんの話をしながら、沢山泣いて沢山笑って、一緒に眠りました。

彼女から教わったのは、強さと弱さ。そして、寄り添う気持ち。そんな人の周りには、私が心配しなくても、いつもたくさん人がいる。