大学で勤務していた頃、正門をくぐると守衛さんが「おはよう」と挨拶をしてくれる時があり、女子大生に間違えられて、「Yes!」と心の中でガッツポーズ。一日のテンションは守衛さんで決まりました。
もうひとパターン、「おはよう」と言われた後に、こちらの顔を見て、「なんだ、○○さんか。」と笑われる時もあり。ややがっくりしながらも、にっこりご挨拶。こちらは苦笑いの一日。
最近、幼稚園へ送り届けた後、安全の為にいてくださる男性職員の方が、門のところで「いってらっしゃい」と言ってくれるようになり、それがとても嬉しくて。
下駄箱で息子とハイタッチして別れ、ノートパソコンを斜めがけにして、バタバタと出ていく姿を見て、気持ちよく送り出してくださる気持ちが、一日を軽やかにしてくれますね。
一人暮らしの時は、テレビの上にあったプーさんのぬいぐるみに、いってきますと言って出勤していました。なんだか言わないと気が済まなかった。ちょっとお腹が出て、ややだらしない感じが癒されていて。今、そのぬいぐるみは、息子に投げられ、潰れる程ハグされ、大変な思いをしていますが、それでも笑っている姿は見習わないと。
大切な心の友よ、これからもがんばれ!
小学生の頃、母が祖母の介護で病院につきっきりで、祖父や父は仕事で忙しく、朝は皆がバタバタで、挨拶もまともにないまま学校へ行っていました。まだ1年生の私は、鍵を持たせてもらえなくて、5年生の姉の帰りを玄関先で待っていた毎日。
戸建てだったので、庭もあり、門の中に入ると危なくは無かったのだけど、雨の日も風の日も、なんとなく寂しくて、ぼんやり立っていました。
そんな状況の中、姉が学校から走って帰ってきて、「S、ただいま!遅くなってごめんね。」と、かけてくれた言葉も、気持ちも堪らなく嬉しく、ほっと和みました。
まともな「いってらっしゃい」がなくても、心細く寒い中待っていても、姉が言ってくれる「ただいま」は、私の心配を全身で感じ、毎回泣きそうでした。母不在の状態で、姉なりに妹を守ろうとしてくれていた。長女だから、私がしっかりしないと。これは、姉にしかわからない苦労だったと思います。
多分、私は幼少の頃に、姉からの愛情を沢山もらいました。親に甘えたい時期に甘えられなくて、だから姉にわがままをぶつけたし、よく泣いて困らせた。そんな気持ちを、4歳しか違わないのに必死で受け止めようとしてくれました。
おそらく、母親代わりをしようと、頑張ってくれていたのだと思います。
子供の頃に、甘えられる人がいた。それはとても大きなこと。子供を持って、姉にどれだけ助けられていたのかを痛感する日々。
だから、姉が「いってらっしゃい」も、「おかえりなさい」も言える家庭を持ってくれたのなら、その幸せを大切にしてほしいと心から願っています。
優しい旦那さんのところに、いってらっしゃい。もう、ただいまは、いいからね。