ポリシーを大切にしてる?

この間の旗振り当番は、途中から本降りの雨になってしまい、それでも傘をさしながら元気よく挨拶してくれた子供達の声が心の中に残っていて、いい時間でした。その中で、長傘を握りしめて、雨に濡れながら信号にやってきた男の子がいたので声をかけました。「雨に濡れちゃうよ~。」「僕、朝は傘を使わないことに決めているの。」これは男子の発言なのか?!と朝から笑わせてもらって。息子に折り畳み傘を持たせても、毎回右手に持ちずぶ濡れになってワイルドに帰ってくるので聞いてみたことがありました。「傘持っているのにどうして使わないの?」「一度、折り畳み傘を使ってひっくり返っちゃったことがあるんだよ。お気に入りだから壊したくないの。持っていると安心だから、とりあえずランドセルからは出して握っているの。」なるほどなるほど。こだわりの強さって人によって色々よね。これで風邪を引いたことはないからまあいいかと思っていると、姉の話が思い出されました。「うちの子、算数の問題で『バスに10人乗っていて2人下りました。残りは何人でしょうか。』っていうのがあっても、絶対にたし算しちゃうの。残りはって聞いているんだから引かなきゃって言っているのに、僕は足す!!って聞かないの。なんだそのポリシーはって笑えてくる時があってね。」「なんてポジティブ!全部たし算ってなんか格好いいな。」そう伝えると、余計に笑ってくれました。Sちんも、そんなマイルールがあってもいいように思うよ。そういったネネちゃんの気持ちが垣間見えた光が射しこんだカフェ。私の場合はかけ算が多いのかも。プラスのこともマイナスのことも、自分の中で大きく膨らむんだな。まだまだ道の途中。

この間、父に会った時、息子にキットカットのチョコレートを三個渡してくれました。「じいちゃんが飛行機で佐賀に帰った時、機内でもらったんだよ。」「あ、ありがとう。」と9歳児の微妙なリアクションに吹き出しそうになって。お父さん、それって数か月前の話よね、しかもちょっと溶けているし、息子はしょっぱい系の方が好きなんだよと心の中で思いながら、私の胃袋に入るのは分かっていたので有難く受け取りました。すると、近くにいた母がチョコに気づきひと言。「それってパチンコの景品でしょ。」「違うよ!飛行機の中でもらったんだよ。」と無実を証明するのに慌てていて、この人達の会話って昔も今もそんなに変わっていないよねと笑えてきて。まだ子供の頃、勉強机の引き出しを開けると、父がパチンコの景品だと母にバレない様に、こっそり入れてきたことが何度もありました。冷蔵庫に入れると夫婦喧嘩が始まるのは分かっていたし、父と姉の間には壁があって、Sなら暗黙の了解で食べてくれるだろうと思われていたのは容易に想像ができて。チョコは好きだけど、気づかれないように食べるのはなかなか至難の業、これって何気に共犯じゃないかとぶつくさ考えながら父との特別ルールは守り抜きました。お姉ちゃんに気づかれたら、傷つけてしまうかもしれない、いつもどこかでそんな不安感もあって。姉妹がいろんな気持ちを抱えていたこと、うちの両親が気づく日は来るのだろうか。

姉が大阪に就職を決めた後、引っ越す前に半泣きして自宅に帰ってきたことがありました。「近くで○○おばさんに会ったの。関西国際空港に就職が決まったと伝えたら、ハグをして本気で喜んでくれてね。目に涙を溜めて、本当に嬉しそうにしてくれて泣けてきた。」そのおばさんは、祖父の姪っ子で近くに住み、私達姉妹を子どもの時から可愛がってくれた特別な存在でした。幼稚園児の時、幼稚園バスから降りて、小学生の姉が帰ってくるまで玄関で待っていて。その日は、お友達とコイを見に行く約束をしていたので、幼稚園バッグを玄関に置き、近所の池まで出かけました。友達にはすっぽかされ、仕方がないのでとぼとぼと自宅に戻ると、玄関は開いていて姉の存在がなく、ぼーっと待っていると半泣きして帰ってきて。幼稚園バッグだけあって、妹がいないと大騒動の姉が、おばさんちに電話をかけ、一緒に探し回ってくれていたことが分かりました。「S、どこ行っていたの?本当に心配したんだから!妹にもしものことがあったらどうしようって、動揺する私におばさんが宥めてくれたの。勝手にいなくなっちゃだめ!」「・・・ごめんなさい。」その時、姉の愛情と、私がしっかりしなきゃというネネちゃんの張り詰めた気持ちを和らげてくれたおばさんの包容力が、真っ直ぐ届きました。通称、“Sの家出事件”、この話を過去にも書いたのですが、多分あと3回ぐらい書きます。コイを見に行っただけなのに、勝手に家出事件にされている、姉と私、そしておばさんにとってあまりにも愛に満ちた出来事でした。「おばさんが、大阪に行くことを寂しがってくれて、Sちゃんが家出をした時は大変だったね~ってまたその話で盛り上がっちゃってね。あの時は、おばさんだけが頼りだったから、母親のように就職を喜んでくれて、いろんな気持ちがこみ上げてきたの。」家族のぬくもり。お姉ちゃんがずっと探していたもの、そこに確実にあったんだね。大阪で寂しくなった時、背中に感じたおばさんの手のあたたかさが、きっとネネちゃんを包んでくれていた。姉も、愛を知っていたんだ。コイに導かれたのは、神様のいたずらだったのかも。

父が母を置いて逝ったら、本気で呪ってやると決めていて。もし、父が残って入院したら、でっかいピカチュウのぬいぐるみを息子と持って、手術後にようやく4人部屋に戻れてまだ弱っている時に、どでかいかめはめ波をぶつける作戦をひたすら練っています。「私達姉妹がどんな思いをしてきたか、お父さん知ってるの?」ナースステーションにまで響き渡る程叫ぶ予定。隣にいた息子がドン引きをして、父も固まり、心配になって様子を見に来てくれた看護士さんが登場する頃には、パイプ椅子の上にピカチュウを置いて去って行く計画です。本気でやってのけたら面白い。そして、ぬいぐるみに手紙を忍ばせておこう。『どうしようもない父親だけど、あなたの娘でいられて良かった。』と。