徒歩5分程の所に住んでいる仲良しのKちゃん。どうしているかな、会いたいなと思っていてもこんな時期で、自分の不用意な行動で迷惑をかけることになってはいけないと思い留まっていたここ最近。そんな時、母宅に用事があり、名古屋で買ってきたおみやげをKちゃんにも渡してほしいと言われて、こみ上げるものがありました。
母が関東に来て間もない頃に、約束なしでやってきた桜並木のある公園。優しく自分を仲間に入れてくれたことを、母はとても大切に覚えていました。時は流れ、今年は息子と母と三人でその公園へ行き、Kちゃんにあの時助けられたなと思っていると、挨拶してくれたのは彼女の妹さん。心臓が飛び出るかと思いました。こんな風に何かが通じ合うんだよね、だから生活することは優しさと苦しさが交互に来て、最後に優しさが残るのかな。挨拶だけでなく、いつも何でもない日常会話をしてくれてから別れる妹さんとの時間。いい姉妹だ、気持ちのいい家族はホストファミリーのよう。
「あなたはKちゃんのようないい友達に恵まれた。これからもきっとお世話になるから。お母さんからだと渡してね。」そう母に言われ、翌日LINEでアポを取ると、返信の中で伝えてくれました。『さくらdeカフェに行くと、いつもSさんに会えているような気がしていたよ。』たった5分の距離にいる友達に会えない。それでも、こういった形で会いに来てくれていた彼女。このサイトはもう、私だけのものではないのだと思いました。ここにいるよ。
彼女の自宅前まで出向き、友達の顔を見た時に、なんだか途方もなく長い時間会っていなかった気がして、お互いがお互いの話を聞き、まだ先は長いけど頑張ろうって別れた時、母がきっかけを作ってくれたのだと感じました。こんな時だから会わない方がいい、それでもね、一目だけ外で会うならいいじゃない、もう家族のような関係でしょ。女性はね、そういうことで楽になったりするものよ、母の声がどこかで聞こえてくるかのような優しい時間でした。
そして、シェアオフィスに到着し、席に着くとKちゃんからのメッセージが。『一人で悩まないって約束してね。』その気持ちに負けないぐらい、何かあったら駆けつけるよ。別れた後のこのひと言に、計り知れない程助けられてきた。
毎年、三月になると送られてきた一枚のハガキ。それは、名古屋で小料理屋をやっていた先輩からのものでした。トヨタショックの時も、リーマンショックの時も、常連のお客様に助けられ、乗り切ってきた先輩からのハガキが今年は届かず、色々な気持ちが交錯しています。落ち着くまで、もう少し待ってみようか。
私がまだ地元で塾の講師をしていた時、その先輩から一本の電話がありました。「Sちゃん、実はお店の階段から転げ落ちちゃって、怪我をしてね。片手が使えない状態だから余裕がある時に手伝いに来てほしいの。」「ママ大丈夫?ちょっと忙しくて週末の夜しか行けなくてごめんね。あまり無理したらダメだよ。」そう言って、落ち着かない日々を過ごした数日後、慌ててお店に行くと、左手にギプスをはめてお客さんの相手をしている先輩を発見。「遅くなってごめんね。」「来てくれてありがとう。ちょっとお酒が回っていたらしく、階段から足を滑らせてしまってね。幸い右手は無事だったから。待っていてくれるお客さんのことを思って、大してお料理は作れなくてもここは開けておきたくてね。」そう言うと、感極まった私の表情を見た一番の常連さんが伝えてくれました。「僕達はね、ママの顔を見られることが一番嬉しいんだよ。美味しいお酒も、美味しいお料理もいいけど、そこにいてくれることが何より。Sちゃんがこうしてママを心配してきてあげることが、一番の親孝行だよ。カウンターでね、若い女の人が一人座るだけで男性のお客さんは長居したくなるものだよ。ねえママ。」「そうね、あなたが来るとお店の中が明るくなるわ。」ふと見ると、日本料理店でお世話になったもう一人の50代の先輩がお手伝いに来ていて。「あらSちゃん、久しぶりね~。元気だった?」思わぬ形で再会。私が猛烈に心配しなくても、こういう人の周りには助けてくれる方が沢山いるのだと思いました。「今日はお客さんとして、閉店までいるよ。ママ、でも本当に何かあったら言ってね。」「はいはい。」パンパンに膨れ上がった左手をなでながら微笑んでくれた先輩。いつも通りにお店を開けたことで、いつも通りのお客さん達に囲まれた姿を見て、説明のつかない幸せを感じました。誰かに必要とされるっていいなと。
Kちゃんが渡してくれたのはお菓子とハンドソープ。実はね、昨日たまたまドラッグストアで見つけたハンドソープを、母宅へ持って行ったんだよ。自宅用はまた気長に探せばいい、それよりも老いた両親の元へ。そう思った翌日にKちゃんにもらうとは。今、最小単位でしか動いていないのに、こんな風に巡ると、自分がやっていることに間違いはないのかなと彼女が後押ししてくれたようで。
このサイトの1ページ目からここにいてくれた友達、今日は会えて良かった。