半日保育で、慌ただしく息子をお迎えに行った後、用事があったのでいつもとは別の方向へ自転車を走らせると、踏切があったので止まって待っていました。「電車、右からと左から、どちらからくると思う?」と聞いてみると、「ボク知ってるよ~。前から!」AかBかという二択なのになぜCを持ってくる?!そして、本当に前から来たらびっくりするわ!!
こんな相変わらずの生活を送っていたら、大学の教職課程の中にあった児童心理学の講義を思い出しました。教授が、50代男性の柔らかい雰囲気の方で、いつも講義室全体がふんわりとした空気に包まれました。『もし、自分が5歳の男の子の親で、新幹線に乗せなければならなくなり、騒ぐことを前提でどんなことを子供に伝えるか』ということを、無記名で紙に書き、教授が回収した用紙を発表するというものでした。「新幹線の中は、静かにしているものだと言い聞かせる。」「乗せる前に、頑張って静かにしていたら、ご褒美が待っていると伝える。」「お菓子をひたすら食べさせて静かにさせる。」「強引に寝かせる。」等々、無記名なので皆が正直に書いていて、珍回答には毎回笑いが起き、楽しい授業でした。成績に関係ない参加型の時間は、他者の意見に耳を傾け、自分だったらどうするかと考えさせられる、とても貴重な経験でした。答えがないから面白い、そして難しい、だからみんなで議論する、そんな講義が好きでした。
実際に5歳の男の子の親になった私は、今この問題を出されたらなんと答える?「新幹線に乗せない!」それはダメか。「名古屋駅まで頑張って静かにしていたら、天むすが食べられるよ。」何それ~と聞かれたら、行ってからのお楽しみと期待を膨らませ、新幹線の中で質問攻めに合うのでこれもダメか。5歳児をおとなしくさせるのは難しいよ。でも、空気を以前よりも読めるようになったのは事実。集団生活が教えてくれたことなのか、優しさを身に付けてくれたからなのか、ふとした時にこちらのことを気遣えるようになっていました。だから、少しぐらい騒いでも、子供らしいと思えるぐらいの余裕は持っていよう。
またスタバにきたら、この間のライブでピアノを弾いていたスタッフさんが、「お客様、ライブにお越しいただき、ありがとうございました!」とレジで声をかけてくれて、驚きました。「すごく素敵でした。」と感激しながら伝えると喜んでくださり、優しい時間が流れました。あの日、よくお会いする別のスタッフさんがプログラムを配っていて、「今日ライブを楽しみに来たんです。」と伝えた言葉を、どうやらそのピアノの方に伝言してくださっていたよう。何気なく発した言葉が、ぐるっと回ってくれていて、心地のいい空間であることを再認識させてもらえた嬉しいやりとりでした。もちろん、アンケートにも、執筆活動の場として使わせてもらっている日頃のお礼と、ライブの感動を活力に変えていくという気持ちを添えて。
そして、なんでもない朝、その日は睡眠不足の中で息子を送り届けると、いきなり園長先生が挨拶と、お遊戯会の記事のお礼を言ってくださり、全く心の準備をしていなくて驚きました。「温かく見守ってくださっているお気持ちが本当に嬉しく、ありがとうございました。」と深々と頭を下げてくださり、私に対する敬意を伝えてくれたような気がして、なんだかわっとこみ上げ、やっぱり半泣きしながら、「読んで頂きありがとうございました。」とお辞儀をするだけで精いっぱいでした。
胸が温かくなるこんな毎日。辛いことは、二の次にしよう。