任期制?

お風呂上がりの最近の息子のブームは、アニア(アニマルアドベンチャー)。1匹ずつ動物が増えていくことが嬉しいみたいで、それに付き合わされています。ゴリラの王様。ジャングルを守っている王様を他の動物からも選出することになり、初めて任期制だということが分かりました。絶対王者じゃないのね、現実的でいいっちゃいいけど。動物の世界まで民主主義?とくだらないことを思いながら、選挙の準備。ゴリラ、チーター、ライオン、シャチ君。息子が描いたホワイトボードの絵を当てられた動物が当選という何とも意味の分からないルールの中で、当選したのはゴリラさん。二期目かい!!というか最初からゴリラで腹の中は決まっていたんでしょと思いつつも、とりあえず再選を祝うことにして。息子とのくだらない会合は今日も続く・・・。

高校2年の時、野球部の監督だった担任に、後期の学級委員は私にやってほしいと個人的に言われた時のこと。「先生、去年おじいちゃんが入院して、正直家のことで精一杯なんです。余裕があったら引き受けたいんですけど、ちょっと無理そうでごめんなさい。」そう謝ると、私が嘘をついていないことはすぐに分かってくれて、結局前期の学級委員の友達が一年間引き受けてくれることになり、申し訳なさの中でお礼を言いました。そんな心境を知ってか、2学期に行われた保護者との個人面談でのこと。母が学校へ出向くと伝えてくれたそう。「○○は、努力家で素直で、何も言うことはないです。どうやったらあんなにいい子に育つんですか。」と。学校行ったらあなたの様子が聞けると思ったのに、逆に先生に聞かれて拍子抜けしちゃったわよと、ちょっと嬉しそうに話してくれて私も拍子抜け。そして、若干の違和感あり。後日、先生にそのことを伝えると、少し笑って話してくれました。「ああやっていうことでお母さんも楽になるだろうと思ったよ。家庭のことは本当のことは分かってあげられないけど、この子の心配はしなくていいと伝えることで、お母さんの負担が少しでも減ってくれたらなとか、先生にできることをしたくてな。」そんなことをちょっと照れ臭そうに話してくれたような気がしています。

そんな先生がある日、朝の会で伝えたこと。「今日、献血カーが来るらしい。おーい、血の気の多いヤツ、行ってこい。」茶道部の友達に、私も行こうかなと伝えると、「血の気の少ないSちゃんが行ってどうするのよ。そういう所、本当に直した方がいいよ。」と散々止められ、翌日、一体誰が行ったのだろうとクラスの皆に聞いてみると、面白い展開が待っていました。どうやら強制でもなんでもなかったらしいのですが、野球部がほとんど皆行ったとのこと。さすがの連帯感!監督のサインでもあの時出ていたの?といじりたい衝動に駆られたのですが、もっと奥深い気持ちがそこにはあった気がして、彼らの姿勢に感服しました。その後、いよいよ甲子園の予選が始まりそうだという時、一人また一人が頭を丸めてきて、言葉を失った教室内。「誰が言った訳でもない。自分達からそうした方がいいだろうと思ったから。」そう一人の部員が教えてくれました。本当はバレー部だった彼が、日常生活がいい加減な所を先生が叩き直したかったのか、野球部に転部させたことを知っていました。見違えるように顔つきが変わっていくそんな姿を見ることが楽しみで。姿勢が変わる、人との向き合い方が変わる、真っ直ぐに目を見て話してくれた時、恩師の気持ちを受け入れたのだと感じました。
3年生になり、上位までいったものの予選で敗退。沢山の人が作った千羽鶴を相手チームに持って行く選手達の姿を見て、これが先生の野球なのだと思いました。相手に敬意を払うということ。自分達の分まで勝ってくれ。やり方は何だっていい、その気持ちを届けるということ。

卒業式の前日、3年生が体育館に集まり、優秀者の表彰式。大活躍した野球部全員と、成績優秀者が舞台に上がり、私も彼らと同じ表彰状と記念品を手にすることに。その時受け取ったCITIZENの置時計は、一人暮らしのテレビ台の上へ。そして、今は寝室へ。
学級委員は断ったけど、恩師が舞台に立つ私を誇らしげに見てくれていたその表情を忘れない為に。野球部の仲間と手にした、大きな思い出の形。