いいことを見つける

今日は、また旗振り当番の日でした。一緒に行きたいと息子に言われたので、朝から慌ただしく準備をし、旗を持って二人で通学路を歩きました。すると、頭上には驚くようなうろこ雲が。それを説明すると、「本当にお魚のうろこみたいだね!」と一緒に感激。いい朝の始まり。そして、交差点でバイバイすると、相変わらず何度も何度も振り向いて手を振る息子がいたので、これは早い段階で突き放した方がいいなと痛感した温かい時間でした。意外と私があっさり離れることを水面下で感じている7歳児は、甘えられるうちに甘えておこうという戦略でもあるのか?!攻防はまだまだ続く。

そんなことを思っていると、また制服を着た感じのいいお母さんが交差点の向こう側に立ってくれて、当番開始。すると、前は挨拶をしてくれなかった子が気持ちよく挨拶をしてくれたり、気が付くと背が高くなっていたり、「いってらっしゃい!」と言うと「いってきます!」と明るい声で答えてくれる高学年の男の子がいて、なんでもない成長を身近で感じられる喜びに胸が熱くなりました。そんなことを思っていると、向こうから交差点を颯爽と自転車で渡ってくるビジネスマンの男性が、私に向かって会釈しながら挨拶をしてくださり、驚きました。学校の先生?いや方向が真逆だよね、保護者の方かな、でもそんな印象でもなく道行く人がさりげなく伝えてくれた言葉なのかもしれないなと、そんな人が醸し出す雰囲気は淀んでいなくて、とてもいいものを朝から自分の中に取り入れられたような嬉しい関わりでした。

そして、ひと仕事終えてからもう一度改めて思い出そうと思っていた、一つの出来事。少し前に、また学校での役員のトイレ掃除があり、予め息子に伝えるとぐずってしまいました。お留守番もいや、学校で待っているのもいや。だったらお母さんはどうしたらいいの?とこちらも困惑しながら怒ってしまい、何やら悪循環の始まり。母もリハビリのプールだし、あまり頼ると後が怖いなとあれこれ考えてしまい、それでも何とか学校後の遊び場所で待っていて、それが終わったら校庭で遊ぶということでしぶしぶ納得してくれました。トイレ掃除よりも説得の方がひと仕事だと思いながらも、学校へ。今回は、初対面のお母さんと組むことになり、時間と戦いながら凄い勢いで掃除を始めると、「結構汚れていますね。」と時々話しながらワイワイ。「うちなんて男の子二人だからあっという間に汚れてしまって~。」なんて話してくれて。一人でも大変なのに、二人だとまた違う大変さがあるんだろうなと一緒に笑ってしまいました。雑巾片手にそんな話をしていると、ボランティアの方が息子を連れて、「R君のお母さんですか?」と尋ねてくれて。慌てて名乗ると伝えてくれました。「こちらは4時で終わってしまうので、昇降口で待っていてもらいますね。お母さんと同じ出口の方がいいと思うので、お知らせにきました。」と。学校の敷地内とはいえ、暗くなってきた中ですれ違ってはいけない、きちんと保護者の方に引き渡すまでが私達の仕事、そんなボランティアの方の優しさが沁み込んできて、何度もお詫びやお礼を伝えるとにっこり微笑んでくれました。あたたかい人だなと。そして、やや不安そうな息子が私に向かってバイバイ。もう少し待っていてね。普段はあんなに強気なのに、なかなか可愛いじゃないか。

その後、思いのほか時間が押してしまい、待ち合わせの4時半をすっかり回って1階の掃除をしていた時に、目に涙を溜めた息子がやってきました。暗い中で、トコトコやってきた姿を見た時、年少の時の姿と重なり、わっとこちらの方が泣きたくなって。それは、私が司書教諭の資格を取得し、頭痛が悪化していた頃、少しでも痛みが緩和されたら社会復帰を考えようと思い、沢山の迷いも葛藤もある中で、6時までの延長保育をお願いした時のことでした。病院の予約が午後の中途半端な時間しか取れず、寂しがり屋の息子のことが心配になりつつも先生にお願いしました。病院も混んでいて、すっかり暗くなった幼稚園にお迎えに行くと、延長保育担当の先生と保育室の端で帰りの準備を始めた息子を発見。そして、もう一人の先生がこっそり教えてくれました。「R君、最初はどうしようもなく寂しくなって私の膝の上にしがみついて泣いちゃったんです。でも、同じクラスの○○ちゃんが、ずっとR君のそばにいてくれました。それで少し安心したみたいで。でも日が暮れてまた泣いちゃったんです。本当に頑張りましたよ。帰ったら沢山褒めてあげてくださいね。」なんて優しい世界なのだろう。私がいなくても、守ってくれる人がこんなにも沢山いる。そして、私は、何をそんなに生き急いでいるのだろう。仕事復帰をすることで、前に進める。それは、後ろを振り向きたくないから?何のために?誰のために?そんな沢山の気持ちを背負い、そっと覗いた保育室で、一生懸命に涙を拭いている息子が見えて、自分も涙を堪えるのが大変でした。先生と手を繋ぎ、廊下に出てきた時には目が真っ赤。それでも、どこかで毅然として、弱いのは私の方かもしれないなと思いました。先生達にお礼を言い、自宅に帰ってよく頑張ったねとハグをすると、伝えてくれました。「今日ね、ボク泣かなかったよ。」と。とんでもなく大きなものを、今もらったんだなと、ぎゅっとしながら溢れそうになり、自分がどんな道を選んでも息子のこの気持ちを忘れたらいけないなと、絶対に壊れない絆を手に入れたようでした。そんな母親の迷いも葛藤も、いつも身近に感じてくれていたのは、仲良しのKちゃん。彼女がいてくれたから乗り越えられた。

そして、すっかり遅くなってしまい、背が高くなってランドセルを背負った息子がそこにはいて、片づけが終わり、ようやく学校を出ると、外は真っ暗。またわがままが始まるかと思いきや、あっさり言うことを聞いてくれて拍子抜けしてしまいました。自宅に帰り、「今日は長い時間待っていてくれてありがとう。よく頑張ったね。」そう言ってハグをすると伝えてくれました。「うん。ママも頑張ったね。」と。母親をやっていて良かったなと思うのはこんな時。受け止めるだけでなく、同じ温度で球が返ってくる。ゴム手袋をして頑張っている姿、ボク見ていたよ。沢山わがまま言っちゃったけど、一緒に頑張れたね。そう伝えてくれているようでした。

仕事復帰のタイミングを悩んでいた頃、子育てを終えた一人の先輩ママが伝えてくれました。「待たせてしまってごめんねじゃなくて、待っていてくれてありがとうと伝えられるお母さんでいてほしい。悪いことしたなではなくて、成長を見守れる親になることの方が子供は嬉しいよ。そうしたらきっと、お母さんの仕事も応援してくれる。Sさんにはそれができるから。」なんだか急にそんな言葉が蘇り、一体どれだけの人に励まされ、ここまで来たのだろうと思いました。
寝かしつける前、息子がぽつり。「ママ、もうトイレ掃除のお仕事ない?」「うん、当分ないよ。」良かった~と言って二人で笑い合った時間。紆余曲折あるから、何でもない瞬間がとてつもなく貴重に思える。いいこといっぱい見つけたよ。そんな一日に感謝して眠ろう。