流れのままに

旗振り当番のグッズを、前の当番のお母さんが届けに来てくれました。その方は、1年生の時にお世話になった地区長さん。私が意外とよく話すことを知っているので、今回も気さくに話しかけてくれて。「私ね、学校給食を作るパートをしているんだけど、もう辞めようかと思っていて後任の方を探しているの。誰かいない?」これはお母さんネットワークを駆使して探すつもりだなとなんだか笑えてきて。「給食作っていらしたんですね!メニュー考えたりすごいですね!」「いや、私が考える訳じゃないのよ~。」と手をひらひらさせながら一緒に盛り上がってくれました。「周りでいないか気にかけておきますね。」と笑ってお別れ。人が足らなくなって困ってしまわないように、後任が決まるまでは頑張るお母さんの姿勢に嬉しくなりました。きっと、人が人を呼び寄せるんだろうな。

そして、シェアオフィスで不動産関係のお仕事に携わるHさんを発見。寒くてもいつもハーフパンツを履いているので、思わず話しかけてしまいました。「ぜひ、一年中ハーフパンツでいてください。記録に挑戦してほしいです~。」とふざけたことを言うと、「頑張りますよ!」と笑ってくれました。そして後日、寒くて天気の悪い日もハーフパンツだったのでさすがに心配すると、「12月も乗り切ったら、○○さんにお年玉をもらえるかなと思って。」と言われてしまい大爆笑。「僕のこと、短パン王子って呼んでください!」もう意味が分からない。笑いながら軽く流したもののここは乗っておかないと。別れ際に見かけたので、「あっ、短パン王子。帰ります~。」とエレベーターホールで伝えると、近くにいた若い女性のスタッフさんも笑ってくれました。「あはっ、僕が言わせてしまったんです。」と3人で大盛り上がり。この冬を乗り切れるかどうかは、沢山笑いに変えられた者勝ち?クラスに1人はいてほしい彼の明るいキャラクターに、いつも元気づけられる毎日。

そして別の日、ラガーマンTさんとの雑談の中で、面白いことを伝えてくれました。大学ラグビーの試合で、チームのジャケットを着て監督のそばに座るか、選手達をサポートするグラウンドスタッフに回るかは、当日連絡が入ることもあるそう。コーチ達の都合で人数調整などが入るので、その日にならないと分からない時は両方の荷物を持っていくので、外苑前の駅まで重たくてと笑わせてくれました。そして、上位に勝ち上がることを踏まえて予定を空けておいて、負けてしまった時は長期連休が急に暇になるので、風邪を引くんですと。「それは、選手達に頑張ってもらうしかないですね!」とゲラゲラ笑いながら会話終了。目的があって動いている方が、躍動するんだろうな。クールダウンしていた選手の背中を、爽やかな笑顔で押していたTさんの溢れる気持ちが蘇って今日も熱くなる。

姉の状況をなんとか知ることはできないかと考え、思いついたのは義理の兄の存在。いや待てよ、私が義兄に連絡をしたら、筒抜けじゃないか。ということであっさり却下。そんなことを思っていたら、二人を引き合わせた時のことを思い出しました。
カナダから帰国し、カナダ人の彼と別れた姉は傷心中で、仕事に没頭していました。その後、ずっと男友達であった義兄は、アプローチをし、姉となんとなく付き合うことに。それでも、なかなか気持ちが上がらないと相談を受けたこともしばしば。そんな時、姉が仕事でミスをし、本気で凹んでいるのを目の当たりにした妹は、チャンスかもしれないと思い、すっかり仲良くなっていた義兄にこっそり連絡。「お姉ちゃんね、バリバリ働いていたんだけど仕事で痛いミスをして、かなり弱っているの。いつもは強気なんだけど今回はかなり参っている。今がチャンスだよ!仕事がなくても、そのままの自分を好きでいてくれる人がいるって思えたら、今のお姉ちゃんは軟化する。頼んだよ。仕事で、自分のことを支えてきたの。でも、それだけじゃないって、寄りかかれる人には寄りかかってほしいんだよ。お姉ちゃんをよろしくお願いします。」そう伝えると、私の気持ちを優しく受け取った義兄は、車を走らせ姉に会いに来てくれました。「仕事を辞めたとしても、俺がいるから。」そんな言葉を伝えてくれたそう。姉の凝り固まった心を溶かすのには、十分なタイミングと言葉でした。そして、婚約。「彼さ、Sの大学の先輩でもあるし、妹のようにずっと可愛がってきたから、あんたの評価も高くて、うちの家族もSが太鼓判を押すなら安心だって、あっさり認めてもらえて、妹から崩していくやり方もありなんだね~。」と笑っていた姉。ようやく本当の安心を手に入れた彼女のちょっと余裕な発言が嬉しくて。タイミングはベストだったなとこっそりほくそ笑んでみる。

そして、姉が子育てで悩み、私に連絡をくれた数年前。旦那さんが仕事で忙しくて、思うように友達も作れなくて弱っているのが分かりました。「実はね、今だから言える話なんだけど、○○ちゃん(義兄)がプロポーズした時、裏で私が煽っていたの。お姉ちゃん、どこかでカナダ人の彼を忘れていなくて、仕事に追われることで、これで良かったんだって思っているようなところがあって、でも心から愛してくれる人の存在が必要で、仕事でミスをした時に弱っていたからその時しかチャンスはないって思ったの。お姉ちゃんの鉄壁の心が、かなり緩んでいた時だったから。私の話を聞いて、沢山の気持ちを感じて、お姉ちゃんに会いに行ったんだよ。この人ならってそう思った。」素直に話すと、少し怒られるかなと覚悟した中で、ふっと笑ってくれました。「やってくれたな。あんたには敵わない。あのタイミングじゃないと、確かに心を開かなかったかもしれないね。○○ちゃん、一生あんたに感謝しないとダメだよ。私もかもしれないね。なんかさ、やっぱりうちの家族ってあんた中心で回っていて、Sの手の中でそれぞれの人生がいい感じで動いているような気がしたよ。最近、仕事に追われていてもっと育児に協力してほしいなんて思っていたけど、その話を聞いて、もっと大切にしようと思った。ありがとう。」

義兄と二人だけの秘密にしようと思ったらできたこと。でも、その時どんな気持ちで姉を本気で支えようと思っていたのか、弱っていた時だったからこそ届けたいと思った。「これ、僕の通帳。結婚しようと思ったら今すぐにでもできる。頼りないかもしれないけど、僕が支えるから。」そう言って姉の目の前に通帳を開いて出した彼。私の一本の電話が、こんなドラマチックになるなんて。嬉しそうに話してくれた姉の顔を見て、心の中でガッツポーズ。これで妹の役割は半分終わり。