父と何気なく話していた両親宅。「お父さん、新聞ない?小学校で、工作マットや習字の下敷きに使ったりするんだよ。この間なんて、たまたまあった新聞をRがガムテープでぐるぐる巻きにして、勝手にバット作っちゃっていて、もう使えないから結局先生にもらったみたい。」そう話すと笑いながら伝えてくれました。「うちも新聞取っていないんだよ。この間は、中日が久しぶりに勝ったから、東京中日スポーツを読みたくてコメダに行ったんだよ~。」「わざわざスポーツ新聞読むために行くんだ!」と二人で大盛り上がり。地元から離れても、ずっと応援する気持ちは親子で変わらない。
そして、シェアオフィスのラガーマンTさんに何をプレゼントしようと考え、思いついた一つの答え。高価なものだと恐縮されてしまうのは分かっていたので、お気に入りのカフェでスイーツを買って渡しました。「Tさん、監督就任祝いです。どうぞ。」「ええ!いいんですか?うわっ、美味しそうなドーナツだ!」と少年のように喜んでくれて。「見通しが良くなるように、穴の開いたドーナツ二つがいいかなと思って。」チョコとシュガー、そのリングから見えるもの、彼と彼が育てる中学生ラガーマン達の未来が、明るいものでありますように。「本当にありがとうございます!」「応援しています。」「はい!頑張ります!」なんだかちょっと感激。コーチングを学んできた彼の夢が少しずつ実現していくのを、そばで見せてもらえる幸せ。
この間は、また広報委員として学校の常任委員会へ行くことになりました。寒暖差の影響で朝から気分が悪いなと思いながらも、熱はなかったので大丈夫と思い、自転車で家を出ることに。「ママ、ボクが学校にいってる道で行く?」「うん、同じ道だよ。」そう伝えるとにっこり。交差点にさしかかった時、マンションのバルコニーから大きく手を振ってくれて嬉しくなりました。いつも見送っていると、見送られるのもいいものだなと。何度も何度も大きく手を振ってくれて、気持ちの悪さも幾分緩和されたよう。大きいな、心から笑うってこと。誰かと温かく繋がるということ。
そんな1UPの状態で、学校の体育館に到着すると、すっかり仲良くなった広報委員のメンバーの一人であるお母さんが、声をかけてくれました。6年生の先輩ママ、そして、本当に優しい人なのは前回の顔合わせで十分わかっていて。委員長が一人で頑張ろうとする姿を見て、そのお母さんが会議室の中で伝えてくれました。「私達、頼りないかもしれないですけど、みんなで頑張りましょうよ。委員長一人に負担が行くのではなく、みんなで協力したら何とかなりますって。」その言葉がどれだけの温もりを含んでいたことか。このひと言で、軽くなる人がいるんだ。
そんなことを思い返し嬉しく思っていると、委員会が始まり、持ち物にあったPTAマニュアルを忘れてしまったことが判明しました。どうしよう、もらった資料だけでは足りないなと弱っていただけに若干混乱。忘れ物一つで動揺した子供時代が蘇り、なぜか岐阜の小学校に転校になった3年生の担任の先生を思い出しました。まだ二十代の若い女の先生、いつも私がどこかで不安を抱えているのを感じてくれていて。掃除の時間になり、一緒に雑巾を絞り、他の子に聞こえないようバケツを間に挟んだ状態でさりげなく聞いてくれました。「Sちゃん、何か困ったことがあったら、先生に言ってきてね。」「うん。」そう言うと一緒に微笑んでくれました。私は目立たないように受け身でいるけど、あなたの味方だし、何かあったら必ず受け皿になるから。そんな先生の心の声が聞こえてくるようで、本当に嬉しかった。一生懸命馴染もうと頑張っていたこと、それはどこかで無理が生じていて、自分に疲れていたこと、都会から来た女の子という作られたイメージの中で自分を見失いそうで、そんな私をいつも見守ってくれていました。教壇で授業をしていても、ちらっとこちらを見る先生とよく目が合い、それがどれだけの安心感に変わっていたことか。二学期、三学期を共に過ごし、4年生が別の先生になると分かり、寂しくて泣きました。小学3年生でこの別れは辛い。それでも、心配をかけないように進級。クラス替えはなく、時間と共に自然な形でみんなと仲良くなれた時、その先生にお礼が言いたくなって、折り紙でカラフルな箱を作り、さらにその大きな箱の中に小さな箱を入れました。翌日、職員室に用事があったので、どさくさに紛れて先生の席へ。「お誕生日おめでとう先生。3年生の時、先生が担任の先生でいてくれたから頑張れたの。だからありがとう。」そう言って渡すと驚きながら喜んでくれました。「Sちゃん、とっても頑張っていたんだもん。覚えてくれていてありがとう。」それが最後の会話。感謝を伝えられて良かった。見た目はカラフルなただの箱。でも、中にはおまけも入っている。表面には見えない想いを詰めたんだ。
ふと現実に戻ると、本部役員の副委員長の説明が聞こえてきました。マニュアル忘れて聞いていないってどうよ。ここは学校、集団生活、結構苦手だったんだなと今さら思い出して微笑んでみる。そんな私を温かく包んでくれた人が一体どれだけいてくれただろうと思うと、パイプ椅子の上で泣きたくなりました。積極的な子も、内気な子も、スポーツが得意な子も、悲しくなっちゃう子も、人知れず頑張っている子も、みんなみんな大切な存在。ひとりじゃないよ。