少しの気遣い

半日保育の時は、たまに1時間の延長保育を利用していて、早めにお迎えに行くとよく言われるのが、「牛丼屋さんに行きたい!」。仕方がないので、ごくたまのご褒美に連れて行き、今日も店内に入るとお昼の時間帯で混んでいて、困惑しました。少し先に入った若いカップルが、椅子に座ろうとした際、そこが最後のテーブル席で、こちらの存在にすぐ気づき、さりげなくカウンター席に移動をしてくれました。その行為が本当に有難く、二人でほっと一息。牛丼を堪能し盛り上がっていると、息子が管理人さんを見つけ、こちらを背に食べている姿ににっこり。

帰り際、管理人さんに見つからないように、なぜかしゃがみ込みながらレジまで向かい出した5歳児。お昼休みは気を遣わせたくなかったので、黙って行こうねと言ったのが全ての間違いでした。余計に目立つわ!と思いながら、止めさせていたら、席を譲ってくれたカップルがこちらを見てにやっと笑ってくれていました。「席をありがとうございました。」と伝えると、微笑みながら会釈をし、お店の外へ。去り際まで気を遣わせない振る舞いになんだかほっこりしました。それにしても息子よ、店内で怪しい動きをするのは止めようよ。管理人さんが大好きなら、もじもじしないで毎朝挨拶しよっ。

以前、ショッピングモールで買い物をし、片手に荷物を抱え、片手で息子の手を握り、エスカレーターを上がっていた時のこと。なんの前触れもなく、急に私の手を振り解き、バランスを崩し、下に転げ落ちてしまい、二段下にいてくれた40代男性の方が、「危ない!」と言いながらうまくキャッチをし、息子の指が吸い込まれないように、真ん中に寄せてくれて、本当に助かりました。混乱と動揺とお礼の気持ちと安堵が同時にこみ上げ、エスカレーターを上がり切ってから改めてお礼を言うと、手を挙げて行ってしまいました。私がそこで相当動揺していたのは、強張った表情で十分伝わっていました。母親として大失態をし、自分を責めていることも。だから、なんでもないことだからと態度で振舞うことで、お母さんの心が軽くなればと思い、さりげなく去ってくれたのだと。その人がいてくださらなければ、息子は下まで落ちて大けがをしていました。もっとお礼が言いたかったのだけど、もしかしたら、ご自身もそんな経験が幼少の頃にあったのかなとか、お母さんを謝らせていたのかなと、色々なことを思いました。
この場を借りて、ありがとう。

ベビーカーで買い物をしていた時、出口が二つあるスーパーで、平坦な箇所は混んでいるので、段差がある方を選び、これぐらいならと思い一段下に降りると、バランスを崩して、倒れそうになってしまいました。近くにいた60代の女性二人がすぐに駆けつけてくれて、傾いてしまったベビーカーを立て直し、ベルトをしっかり締めていた息子は泣くこともなく、無事でした。二人にお礼を伝え、謝っている私に一人の方が伝えてくれました。「大丈夫だった?もっと早くに気づいてあげられたら良かったのに、ごめんね。」近道をして、息子を危ない目に遭わせてしまった私のことを気遣い、対応が遅くてごめんねと謝ってくれたその言葉が本当に沁みました。その女性二人は、知らない方同士。目を合わせ、にっこり笑って帰っていった背に、改めて心を込めて会釈。

まだ息子が7か月だった時、公共施設でご年配の女性に話しかけられました。「一人目のお子さん?ここまでくるの大変だったでしょう。」たった7か月。ようやく7か月。後者の気持ちを感じ、7か月まともに睡眠が取れなかった私を思い、伝えてくれたあの言葉は、いつも原動力になっている。