昨晩、とても寝苦しく、これは何かがおかしいと早朝に起きて体温を測ると38度1分。あちゃ~と思いながら、くらくらしたのでとりあえずやっつけでみかんを食べ、薬を飲みました。が、そんなに早く効く訳もなく、息子を起こし朝の準備を開始。事情を話すと驚かれ、送り届けられなくてごめんねと伝えるとあっさり分かってくれました。そう、その風邪の原因は息子にあったから。そして、母を頼ることなくピンチの時は二人で乗り切ろうと約束していました。こういう時の結束は強いんだ、そう思えた朝の時間。玄関で送り出し、解熱剤を飲んでもう一度休むと下がってくれたので、ほっとしながらパソコンを開きました。さてさて、ここ数日間を巻き戻すことにしよう。
小学校で陸上のクラブ活動があった日、沢山走ってきたようで充実感いっぱいで帰ってきてくれました。その後、いつもの日常を送っていた夜、急に辛そうにし始めたので、熱を測ってみると37度5分。これからもっと上がってしまうかもしれないなと心配になりながら、その日は早めに寝かせました。翌朝、再度測ってみると同じような体温だったので、学校はお休みすることに。そして、もぞもぞと起きてきたので、お昼ご飯何だったら入る?と聞いてみると、「ラーメン!」という答えでずっこけそうになって。がっつり食欲はあるじゃないか!「きっとね、お布団を蹴飛ばして寝る日がほとんどだから、寝冷えしちゃったんだと思うよ。食欲があるなら復活も早そうだね。」と自宅で簡単なラーメンを作り、のんびりとしたランチタイムが待っていました。熱も下がったので、聞いてみることに。「明日、他の小学校とも合同で運動会があるのだけど、どうする?」「うーん、迷う。」「今日お休みだったし、体力的にも心配だよね。とりあえず家の周り、少しだけ気分転換に散歩しておいでよ。」と促すと、ぐるっと回って帰ってきてからひと言。「ボク、明日行きたい!」「それは良かった。体操服がまだ学校だから、電話をしてから取りに行ってくるね!」と伝え、授業が終わったタイミングで連絡をすることに。すると、ワンコールで校長先生が出てくれるものだから、若干慌ててしまって。先生仕事が早い!事情を説明し、職員玄関まで取りに行かせてもらうことになりました。そして、担任の先生を呼んでもらい、ご対面。4月からの担任の先生はお怪我をされ、短期間だけ別の男の先生だと聞いていたので、その短い期間にこうして挨拶させてもらえるのも、ある意味息子に感謝だなと思いながらお互い会釈。「僕、今臨時で担任をやらせてもらっている○○です。」とナイススマイルで名乗ってくれた30歳ぐらいの先生。人とのご縁は不思議なものだな、ふとそう思いました。何かがなければ、こうしてお会いすることもなかった。そして、校長先生が息子の体操服を持ってきてくれて、お礼と共にご挨拶。3人の談笑が始まりました。息子の体調を気にかけてもらい、参加が分かるととても喜んでくれた担任の先生。「100m走出たがっていたんです。」と伝えると、嬉しそうに教えてくれて。「R君、指折り数えられるぐらい足速いんですよ。」なんだかぐっときました。そして、校長先生が提案してくれて。「明日、現地集合でもいいのだけど、やっぱりみんなと行きたいかな?」「はい、息子はお友達と一緒にいる時間をとても大切にしているんです。」そう話すと校長先生は微笑み、担任の先生は言ってくれました。「僕、まだ短期間しか見ていないんですけど、教室に入ると、R君が友達をとても大事にしているのが伝わってきます。」先生ありがとう、息子は幸せ者ですね、愛を注ぐのは私だけじゃないんだな、そう思うとちょっと泣きそうになりました。その後もなんでもない話で3人で盛り上がり、とてもいい時間が流れて。ひとりで頑張らなくていいんだな、そんな気持ちで笑ってお別れ。すると、自転車に乗ってやってきたのは、仲良しのD君。「どうしたの?」と聞くと、「体操服忘れちゃったの。」といつものほのぼのとした口調で答えてくれました。優しい世界の中に息子はいるんだなと改めて感じた学校訪問でした。
そして、市内で行われる運動会当日、朝からバタバタとお弁当を作り、途中まで送り届けるとこちらに気づき挨拶をしてくれたのは同じクラスの女の子二人。かわいいなとほっこりしながら、後で顔を出すねと約束し息子と別れました。家に帰り、やることをやって現地へ。すると、ものすごい人数で『ウォーリーを探せ』並みに見つけるのは難しいと冗談で言っていたことが嘘ではなかったよう。観覧席からぼーっと見ていると、100m走のスタートラインに立つ息子が見えました。ママの姿が見当たらない、でもきっと来てくれているはず。そんな心の声が聞こえ、ピストルの音が。全力で駆け抜け、その一秒一秒を忘れたくないなと思いました。父親の役割までこなすことはなかなか難しい、私にできることはなんだろう、ずっとずっと考えていて。その時ふと、血の繋がっていない親戚のおばさんが、随分前に伝えてくれた言葉を思い出しました。「何か足りないぐらいがちょうどいい。」のだと。沢山の言葉が、想いが、誰かのあたたかさが、いつも自分を助けてくれた、トゲトゲになりそうな心を包み、守ろうとしてくれた方達がいる。Sちんはひねくれちゃった方が良かったんだよ、その方が楽になれた気がすると姉は言った。そういった局面もあったかもしれない、でも、ひねくれようがなかったんだよ、もう無理だと思う度、誰かのぬくもりを感じた。綱渡りではあったのだけど、それでも落ちなかったのは信頼してくれる人達がそばにいたから。
最後まで走り切った息子。観覧席からダッシュし、走り終えた彼の名前を呼ぶと、目が合い、嬉しそうに寄ってきてくれました。「体大丈夫?」「うん!」「お母さん、見ていたよ。よく頑張ったね。」「他の学校の子、速かったんだよ~。」順位じゃないよ、あなたが今日ここにいられたことがお母さんは嬉しい。ちょっと照れながらスマホのカメラに写ってくれた彼。その様子をお友達が近くで見ていて、またみんなとわいわい戻っていきました。どうか息子のこれからが幸せなものでありますように、その背中を見てゆっくり帰宅。すると、あんなに大勢いたのに、帰り道に偶然会ったのはもう10年の付き合いになるKちゃんで、人の引力ってすごいなと思いました。マシュマロの中にいるようなふんわりとした時間、あなたに出会えて良かった。
そんなこんなで、時間差で息子の風邪が移ってしまい、今に至っています。悲しい事よりも、いい事に目を向ける。まだまだだけど、目の前の小さなハッピーを逃したくなくて。「ママ、風邪ゆっくり治してね!」と言って学校へ行った彼。いつもはベッドがぐちゃぐちゃなのに、雪見だいふくのように丸められていて、笑ってしまいました。いつもありがとう、そのメッセージは受け取った。成人式を迎えた時、どの年齢を巻き戻そうか。どれを取っても優しさでいっぱい。