通常営業

今年の夏休みはイレギュラーで2週間ちょっとだったのに、時間が濃かったせいか、息子が学校へ行ってくれたのでほっとして気が抜けてしまいました。通常営業、サイトの記事そのものは公開できていたのですが裏側は慌ただしく、ようやく日常がのんびりと戻ってきました。

夏休み最終日、野球から帰ってきた息子に学校の用意をしようと声をかけると、面倒くさがりながらも準備を始め、渋々宿題を始めた姿を見て、ちゃんと切り替えスイッチがあることが微笑ましくなりました。学校へ行きたくないとは言わない、遊びじゃないけど、そこには待ってくれている友達も先生いて、彼にとってそこは居心地のいい場所なのだと思わせてくれたいい時間でした。幼稚園も野球も含めて、ずる休みをしたことのない息子をもっと褒めてあげなくては。

1年生の夏休みから2学期に通っていた公文は、本人の意志で年末に退会。「ママ、ボクおうちで頑張るから、やめてもいい?先生はいい先生なんだよ。でも、ママに教えてほしい。」それを言われたのは11月末。行きたくないものを無理に行かせるのもよくない、でも言えば簡単にやめられることを教えることもちょっと違う気がして、提案してみました。「Rの気持ちはよく分かった。夏休みが始まってから休まず頑張っていたもんね。でも、あと1か月だけ頑張って終了しよう。先生も可愛がってくれたから、最後に格好いい所を見せようよ。」そう話すと納得してくれました。後日、手紙を持たせ、先生からの返事にはとても残念がっている様子が。それでも、息子の意志を尊重してくれる温かいメッセージが添えられていました。『Rなら、どんなことだって頑張れるよ。また戻りたくなったら、いつでも戻っておいで。公文バッグはいつでも使えるよ。』さっぱりした先生らしい、明るく未来を感じさせてくれる内容にこみ上げるものがありました。最終日、息子と二人で出向き、焼き菓子を持ってお礼の挨拶に行くと、笑って迎えてくれて。「先生、お世話になりました。なんだか名残惜しくて。でも自分で頑張ると言っているのでその気持ちも大切にしようと思います。」そう素直に話すと微笑みながら伝えてくれました。「この期間で、本当によく頑張りましたよ。だから沢山褒めてあげてください。またいつでもお待ちしていますよ。」去ろうとする人に対して、後ろ髪を引かれるような気持ちにさせないように、選んだ道を笑って進んでもらえるように、そんな先生の優しさにお礼の言葉と頭を下げるのが精一杯でした。息子の部屋にある公文バッグ、また使うのかは分からないけど、本人の努力と大きな優しさを詰め込んでくれた黄色のバッグは、いつも見えるところにしまってあります。

大学在学中、短期間だけやっていた家庭教師。学校で嫌なことがあったようで、あまり行かなくなってしまったので、家庭教師をお願いしたとお母さんが話してくれました。内気でとても優しい小学校高学年の女の子。勉強よりも、私と話をしたがり、思うように進まなくて恐縮しつつも、自分の趣味の話をしてくれる時の表情がとてもよく、宿題で頑張ってもらえばいいかと開き直って聞いていました。そして、終わりがけに一緒にバドミントンがしたいと言われ、まだ時間内だったので勉強が終わってからにしようと伝えたものの、近くにいたお母さんが言ってくれました。「先生、もう時間は気にしないでくださいね。もしお時間があれば少し付き合って頂いてもいいですか。」と。予定はがら空きだったので、近くの公園へ二人でラケットを持って向かいました。羽を飛ばしながら、なんでもないことを話して、とんでもない所に飛ばし、空振りし、笑い転げて、もしかしたらこんな風にお腹を抱えて笑うこと、この子にとって久しぶりだったんじゃないかなと嬉しくなって。「先生、今日は付き合ってくれてありがとう。また遊んでね。」「うん、今度は何をしようか。」そんな話で盛り上がって帰宅。お母さんの表情がとても優しく、この親子をほんの少し助けられたような気がして、胸がいっぱいになりました。ささいな事、小さなきっかけ、そういったことで誰かの心がぱっと明るくなることもある、その役目を果たせたのなら嬉しい、とっても。

そして、数か月後、小学校卒業近くに登校を頑張り、その子の日常が戻ってきてくれました。私の家庭教師も終わりになる日、お母さんが伝えてくれて。「何か一つ強みを見つけるといいと先生が教えてくれたってあの子が話してくれて、子供のパソコン教室に通うことにしたんです。とても楽しみにしていました。これまでありがとうございました。」私は何もしてないです。ただ、お母さんとお子さんのお話を聞いただけです。二人で抱えていたものを感じたから。そして少し外の世界を、学校だけじゃない世界を知ってもらえたらと願っただけです。そんなことを心の中で思いながら、お礼と共にお別れをしました。
公園で弾けた笑顔と、お母さんが久しぶりに肩の力を抜いてくれた優しい笑顔、その時にもらった気持ちが胸にある。だから、今日もさくらdeカフェは営業していられるんだ。