息子のお気に入りは、スシロー。マグロの美味しさを知ってしまった6歳児は、私の食欲をあっさり抜いていきました。そんな慌ただしい食事中、パネルで注文しようとすると、テーブルにあったコップのお水を半分ほどこぼしてしまい、息子の足へ。ハーフパンツを履いていたので、足に直接かかり拭きやすかったのですが(そういう問題ではない)、さすがに本人に謝るとにっこり笑って伝えてくれました。「わざとやったんじゃないから、いいよ!」コイツ、めちゃくちゃ性格いいなと、こんな時だけ笑えてきて。息子が液体をこぼす時は、結構な確率でふざけた後なので、こっちは本気で激怒。半泣きさせたことは数えきれない程あったのに、反撃しないところが、人の良さなのかもしれないなとこっそり反省しました。私にはなかなか言えそうにもないです。
この間、ちょっとしたことで夫と母の話をしていたら、息子が割って入り、やけにムキになって伝えてきました。「おばあちゃんが入院していた時、ママにあれ持ってきてこれ持ってきてって命令ばっかりしていて、ボクはそれがいやだった。」あ~、談話室でおとなしく色塗りをしていると思ったら、しっかり会話を聞いてしまっていたのね。その時何か言ったら、私を悩ませてしまうかもしれないと、息子なりに気を遣ってくれたのだと思いました。でも、時が経ち、ふと思い出し、彼なりに溜まりに溜まったものを吐き出しながら、本当は守ろうとしたかったのかなと。ありがとうねと思いつつ、「でも、あなたの前ではいいおばあちゃんだよ。可愛がってくれているから、その気持ちだけは大切にしてね。」そう伝えると、優しく微笑み、コクっと頷いてくれました。そう、母が何でも言ってしまうのは私だけ。それを息子に感じ取らせてしまったのは、大失態でしたが、全否定まではしたらいけない。いい所もあるよ。孫のあなたの前では、優しい人。そのことだけは、どうか覚えていて。
父は、久しぶりに会っても、とにかく私とは目を合わせません。“目は口ほどに物を言う”なんて言うけど、父なりに私には本当に悪いことをしたと、その表情を見れば分かるので、その気持ちを、ほろ苦い思いをしながらも嬉しく受け止めようと思っています。「俺も、退職したら関東に行こうと思っている。でも、Sが許さないかも。親のことで沢山悩ませてしまったからな。娘の気持ちを最優先させたいと思っているよ。」佐賀にいる三男の弟に随分前に本音を話したそう。それを、たまたま佐賀に行った姉が、こっそり聞き出して、姉が私に話してくれました。「本当にどうしようもない人だけど、ようやく少しだけ自分がしてきたことが分かったんだと思う。Sが本当に嫌なら、お母さんを連れて名古屋に帰ってと言ってもいいんだよ。でも、お父さんの気持ちは伝えておこうと思ってね。誰かの為にではなく、自分の為の決断をしなさい。まだ時間はあるから。」姉に言われたのは、何年前だったかな。佐賀を経由した思いがけないキャッチボールに、ぐっときました。叔父も、私にではなく姉に話したのには、何か意味があったのだろうと思っています。
息子を出産した時、母が佐賀の叔父に連絡をしてくれて、その後にメールをくれました。『よく頑張ったな』その短い文面に沢山の気持ちを感じました。大学4年の時に行った佐賀で会った叔父。多くを語る人ではないのですが、両親の間に入っていたことは容易に想像がついたらしく、「大変だったな。」と優しく声をかけてくれました。私の毅然とした表情が多分居たたまれなかったのだと思います。だからこそ、出産後のメールに溢れそうになりました。“新しい家族は、Sが大切に守れ”きっとそう伝えてくれようとしたのだと思います。
両親の反省をどこまで受け止められるだろうか。無理しなくていい、心のままに。それが真実。