新年度、3ヶ月ぶりに旗振り当番が回ってきました。一緒に組むのは地区長になってくれた同学年の彼女。幼稚園も一緒だったので顔馴染みで、気楽に校門まで向かいました。前回の当番は、調停で裁判所に呼ばれていたので、交差点に立ったらその時の心境が蘇ってくるかと思いきや、意外とそうでもない自分に笑ってしまい、ランドセルを背負った子供達にご挨拶。ふと顔を上げると、遠くに富士山が見えて感激の時間でした。マスクを外してもいいという時がようやく訪れ、前よりも元気に挨拶してくれる子が増えたなと嬉しくなっていると、こちらに気づいてくれたのは仲良しのKちゃんの娘ちゃん姉妹。5年生も同じクラスで、一緒の広報委員になったんだそう。どこまでも繋がっていて、親子でまた助けられていくのだと思うと朝からぐっときました。そして、こちらもまた同じクラスになってくれたナイスガイのD君。いつも照れながら手を振ってくれるので、その仕草に毎回キュンとさせられて。息子の自転車が故障した時、そばにいてくれてありがとうね、彼に心の中でそっと届けてみる。いい朝の始まり。いつものように、次のお母さん宅へ旗を届け、大したことをしていないのにひと仕事終えた気持ちになって、青空の中自転車を走らせていると、裁判所の待合室で交わした弁護士の先生との会話を思い出しました。「次に呼ばれた時、どれぐらいのテンションで話しましょうか。」と。その言葉を聞き、ツボにはまり思いっきり笑ってしまって。私達の間に温度差があってはいけない、いざとなったらSさん本人から話してもらいますけど、私で決着が着きそうであればそうするので、どれぐらいのトーンで話した方がいいのか教えてくださいね。きっとそういったことを伝えてくれようとしたのだろうけど、先生からいつもファイティングポーズを感じるので、その格好良さに笑えるわ、惚れそうになるわで毎回いい時間でした。離婚調停するということはレールに乗ったということ、離婚に向けて話し合いを重ね、ゴールをするということです。そんな表現をしてくれました。最初の電話で、先生は同じ電車の箱に乗ってくれました。その中で交わした会話、1年間という先生との旅は強く優しいものでした。電車を降りる時、自信を持って歩き出せるように、振り返った時笑い話にできるようにと、強さと沢山のおみやげを持たせてもらったのだと思います。電車を降りた時、事務的なことを終わらせ、先生がそっと離れてくれたことが分かりました。その去り際まで彼女らしくて。自分が挫けそうになった時、この1年の電車の旅を思い出し、届けてくれたひとつひとつの言葉を拾い、空を見上げようと。出会いも別れも、いつも自分を少しだけ一段上げてくれる。いい時を過ごせたのならなおさら。
この間は選挙があり、息子と行ってきました。公共施設を目指し、自転車を走らせていると伝えてきて。「ママ、本当にその場所で合ってる?引っ越したんだから、もしかしたら市役所じゃない?」「え~、そうかなあ。そうかも!」と言って投票用紙を見てみると、本当にその通りで息子がしっかりし始めていて嬉しくなりました。そして、無事に投票を終えると話してくれて。「今日うちでも選挙があったの。ライ君が当選していたよ!」「えっ?!お母さん、投票用紙もらっていないよ。」「動物だけの選挙なんだよ~。ライ君、また王様だよ!」「二期目?!トラ太にその座を取られなくて良かったね~。」とわいわい。息子が選挙権を持った時、この会話を思い出すだろうか。その時、ライ君は何期目に突入しているだろう。息子との旅にもいつか終わりが来る。それを思うと、全ての時間を大切にしたくなる。
そんなことを思っていると、ふと中学時代の陸上部のことを思い出しました。その学校は珍しく、運動部しかなくて、所属しているそれぞれの部活から集まり、春と秋だけ陸上部が結成されていました。テニス部からは私だけで、みんなよりも早めに切り上げ、テニスコートからグラウンドへ。自然な形でウォーミングアップの為に、陸上部のメンバーがトラックを緩やかに走り始めるその時間が好きでした。中にはバレー部のユニフォームのまま走る男子もいて、その融合するひとときに沢山の力をもらっていました。テニス部の練習が終わり、ラケットを持ったまま「Sちゃんがんばれ~。」と声援を送ってくれた友達。軽く手を挙げると、それを見ていたサッカー部男子が隣で「テニス部なんかいいな~。」とぼそっと呟いてくるので笑ってしまって。男子ばかりのサッカー部、女子ばかりのテニス部、そんな垣根のない陸上部から沢山の学びがありました。監督は、野球部顧問、体育の先生で厳しくも筋の通った練習がいつもそこにはあって。まだ1年生の頃、大会が近づくとユニフォームを着て練習する先輩達も出始め、走り幅跳びを選んだ私は、ソフトボール部のエースの友達とできるだけ跳びやすいようにスコップを持って砂場をならしました。走り幅跳びの担当になってくれたのは、サッカー部顧問。サッカー部は強制的に全員が陸上部へというなかなか面白い展開で、違う部活から学んで来い!という先生の気持ちも感じていました。そして、大会前、開会式に向けて行進の練習を始める!と監督が言い出し、全員が整列。行進しながら縦も横も合わせろ、手の高さも呼吸も目線も合わせろと言われ、何度も何度もやり直しがありました。日は暮れるし、なんだかもうへとへと。先輩達も個々の練習がしたいのではと思いながらも、その練習は前日まで行われることに。そして、大会当日、別の中学校で開会式が行われ、他の中学校はユニフォームを着たレギュラーの選手だけが整列しているのに、私達だけはジャージを着た1年生までみんな出て行進しました。散々練習した行進は何一つ乱れることなく、監督はその光景を誇らしく見ていました。大会が終わり、結果を残した先輩達もいてくれて、監督が全員を集め最後の挨拶。「ここまでよくやってくれた。この学校は陸上部が最初からない。言ってみれば寄せ集めの部員が集まった陸上部が期間限定で結成される。そして、陸上というスポーツは、個々の競技だ。自分の記録をいかに伸ばせるか、自分との戦いが多い。そんな中で、みんなとやり遂げたというものを作りたかった。開会式の行進なんて、なんの記録にもならない。それでも、一緒に集まった仲間と目標を持ってやってほしいと思った。レギュラーで選ばれていない1年生も開会式に参加したのはうちの学校だけだ。他の学校の先生達から、行進が素晴らしいと沢山お褒めの言葉を頂いた。これで解散するけど、今の気持ちを忘れないでほしい。3年生、よくまとめてくれた。」監督が部員に届けたかったことは、スポーツをする姿勢や、そこに集う仲間に対する一体感や相手を敬うこと、個々の競技だからなおさら強いメッセージが行進という形でそこにはあったのではないかと思いました。大きな感動は、自分の活力に。ユニフォームを脱いだ先輩達や監督の気持ちを受け継ぐ為にも続けた陸上部は、まだ私の中で続いているのかもしれません。いろんなカラーの部活があって、考え方も熱量もそれぞれ、その人達が集まってまた新しいカラーを作り出せ、個々の色も大切、でも重なり合った時の喜びを忘れるな。監督のメッセージの意味が、大人になってなおさら分かった気がしました。さあ、私はどれだけの方達と同じ空の下で呼吸を合わせられるだろうか。ここに集まる力、届いていますか。