笑顔がいいね

夜にパソコンの前に座ると確実に睡眠に影響することが分かっているので、スマホだけにしていたここ数か月。それでも、どう頑張っても時間が足りないことに気づき、夫や両親に息子を頼まなくて、自力でなんとかできないものかと、半分やけくそになりながら画面に向かっています。なんとかなる、最後はこの気持ちで様々な局面を乗り越えてきた。まずは自分を信じること。そんな格好いいことを言っても、実は裏側でもの凄い力をくれた人がいて。それはね、男の担任の先生。

5月の連休明けに、学校からメールがあり、担任の先生が教材を持って、各家庭に配布してくださることが分かりました。対面にならないように、ドア越しなどで挨拶をさせてもらうとのこと。「せっかく来てもらえるのに直接会えないのは残念だね。でも、先生達の気持ちが嬉しいね。何時になるか分からないから、今日は公園に行かずに待っていよう。」と息子に言うと、同じように残念がりながらそれでもわくわくした気持ちで待とうとする高揚感が伝わってきました。そう、これはね、きっと家庭訪問も兼ねている。そして、元気かどうかを確認しに来てくれる為。嬉しいね。

そんな期待を抱きながらも、どうしても週末に録画した『麒麟がくる』(NHK)が観たくなってしまい、ダメ元で息子に直談判。「お母さんね、ニュースはRが嫌がるからできるだけ止めているんだけど、麒麟がくるだけは観たくてね~。」と言うと、一瞬間があり「いいよっ。」と伝えてくれました。それ、ママの唯一のお楽しみなんでしょ。ボクよく分からないけど、昔の人の暮らしってそんなに興味があるんだなって。だからいいよ。その間に詰め込まれた彼の気持ちを、都合よく解釈してみる。日本歴史。「昔の人はね、こういった服を着て、自分の国を守る為に戦ったりしていたんだよ。」説明するとまた質問攻め。話が入ってこないけど、息子との大切な時間。そして、途中からブロックで遊びだしてくれたので見入っていると、「長良川の対決」の回で、途中から泣けてきて大変でした。大河でこんなに泣いたことはなかったな。何とも言えない人間模様に、人の美しさと切なさを感じ、胸が詰まり、右下に“つづく”の文字が見えた途端、ピンポン。先生凄いタイミングで登場だなとよく分からないご縁を感じ、インターホンでご挨拶をさせて頂きました。そのままエレベーターで上がってもらっている時に、息子と自分のマスクをつけ、涙を拭き、一瞬でも会えたらと思いドアを開けると、笑顔で来てくれた先生。「初めまして。」と頭を下げた私に、同じように挨拶をしてくれた担任の先生を見て、こんな初対面は最初で最後かもしれないなと思いました。もしかして今は、とても貴重な“時”なのではないかと。対面はしないとメールで書かれていたのに、こちらが不安がらないように、教材の説明を丁寧にしてくれた先生。「ご家庭それぞれで、色々なご事情があり、学習の進度もばらつきがあることはこちらも理解しています。ですので、どうか気楽な気持ちで取り組んで頂けたらと思っています。」「先生達が大変な時に、わざわざ教材を持ってきて頂きありがとうございます。Rもとても先生に会いたがっていたんです。」そう伝えると、膝を曲げ、息子と同じ目線になり、「先生も会いたかったよ~。」とあまりにも柔らかい言葉で言ってくれた時、涙がまた溢れそうになりました。また、この先生の為に頑張りたいなと。この気持ちがあれば大丈夫、何か漠然としたものと戦っていたような気がしていたのですが、先生のその言葉で吹っ切れたような気がしました。マスクをしていても、表情も人柄も、そしてマシュマロのような柔らかさも分かる。僕達も頑張るから、一緒に乗り越えましょうね。学校が始まっても大変なことの連続だと思います。大切なのは、変化を恐れないこと、その為には信頼関係を築くこと、そのことを伝えに来てくれたのかなと、先生の言動を見て思いました。

翌日の夜、お風呂から出てきて相変わらずテンション高めの息子がポツリ。「先生ね、ドラえもんのTシャツ来ていたんだよ。ドラえもんの道具が見えたよ~。」コイツ、照れて全く話さないなと思っていたら、しっかり先生のファッションチェックをしていたのね。いつも通う、個人病院の小児科の先生が白衣を着ていないように、子供達が和むようにと敢えてそのTシャツを選んでくれたのだろうと思いました。始業式の翌日の登校日、嬉しそうに帰ってきた息子が話してくれて。「先生ね、面白かったんだ。先生はイケメンだって自分で言ってた!ママ、イケメンってなに?」知らずに皆と笑ったんかい!!しっかり息子の心を掴んでくれてありがとう。
学校が無くても、担任の先生に守られている。今日会えたこの日に感謝しよう。やっぱり笑顔がいいね。