この間、シェアオフィスのエレベーターが点検中で使えなかった為、仕方がないので重たいパソコンを持ってぜいぜい言いながら階段を上り、ようやく4階についてほっとしていると、カウンターにいたラガーマンのTさんに笑われてしまい、朝から恥ずかしい思いをしてしまいました。コロナの影響でカウンター不在のことも多くなり、完全に油断をしていた始末。キマッている女性はどこ行った?
最近の母。悪気がないのは十分わかっているのですが、何かを持って予告なく自宅にやってくることが多いので、さすがに参ってしまい、頑張っていい娘をやる気にもなれず、やや冷たい態度で接しているとさすがに夜メッセージで謝ってくれました。母の様子にずっと怯えていた数十年。ここはもう自分のことを伝えるいい機会だと思い、そういったことが私にはストレスなのだとやんわり返信するとノーリアクション。それでも反撃なく受け止めてくれたのだと解釈し、半分安らかな気持ちで眠りました。姉から言わせると母の前では“完璧な娘”。「あんたさ、客観的に見ているとかなり無理があるよ。お母さんの気持ちのいい所にパスをしたらそりゃお母さんは楽だよ。まだそれだけならいいけど、お母さんの大暴投まで受け止めるじゃない。それではずっとSが痛いよ。放っておけないという気持ちも分かるけど、そんな姿を旦那さんも子供も見たら辛いよ。」姉は、なかなか痛い所を突いてくる。私だけならいくらでも我慢ができてしまう、だってそれをずっとやってきたから。でも、あなたを愛する人がそんな姿を見たらやっぱり辛いよ。「お姉ちゃんも見ていて辛かった?」「私はSの性格を子供の頃から知っている。だから、いつもフォローに回ろうと思ってた。血の通った人間なんだよ。何を言われてもされてもいい訳じゃない。気づかないふりをしてきた傷、いっぱいあったと思う。言っとくけど、絆創膏のレベルじゃないからね。一度大手術が必要だと思っている。本気で取り除かないと、中途半端に取り除いても、またそのガンが痛むよ。」母に思いっきり振り回されてしまった時、心から胸を痛めてくれた姉の言葉が蘇りました。私が辛い時は、姉も同じように辛いということ。一体姉は、何度私に気分転換をさせようと海外旅行へ誘ってくれただろう。
旦那さんのアメリカ出張に、時間があったからどさくさに紛れてついてきてしまったと、国際電話をかけてきてくれたこともありました。「はあ?ついて行ったって、旦那さん仕事でしょ。」「そうなんだよ。勢いで来てしまったけど、やることないから買い物してる。S、何か欲しいものない?あんたも誘えばよかった。」「いやいや、私仕事だし。何もいらないから気にしないで、せっかくだから楽しんできてね。」そんなやりとりで切った電話。海外にいても妹のことを気にかけてくれる姉の優しさを知っていました。ぶっきらぼうなのに、本当は沢山の愛を持っている人。そして、帰国。名古屋に帰省をすると、笑いながらプレゼントをしてくれて。「これ、COACHのバッグ。自分用に買ったんだけど、私、荷物持ちで思ったよりも入らなかったんだよ。だからあげる。」実際本当にやや小さめのバッグでした。でも、それは買う前から分かっていたはず。理由がないと妹は遠慮する、そんな気持ちまでアメリカで詰め込んで持って帰ってきてくれた姉のハートを、大切に持っていようと思いました。イベントの時にだけ使う特別な物。彼女のおかげで、身の丈に合わない高価なブランドがいっぱい。
私がお世話になった日本料理店の先輩が経営する小料理屋。そこで婚約した義理の兄と二人で待ち合わせをしたことがありました。カウンターに並び、乾杯。「お姉ちゃんね、実家が大変な時に自分は大阪やカナダに行っていた事、私一人で背負いこませてしまったことを申し訳なく思ってくれているの。私はそんな風に思っていないんだけど、なんか普通の姉妹に戻れなくて、変な遠慮がお互いにあるんだ。でも、お姉ちゃん結婚するから、もう足かせ外して前に進んでほしくて。もし、そのことでお姉ちゃんが弱音を吐いたら、私は全然気にしていないって伝えてほしいんだ。」そう伝えると、微笑みながら言ってくれました。「いい姉妹だな。俺なんて、兄貴が8歳も上でなんか兄弟らしくも無くてさ。Sちゃん達を見ていると羨ましい時があるよ。離れていてもずっとお互いを心配していたんだろうね。お姉ちゃんは俺には弱さを見せてくれているから大丈夫。」そう言って安心させてくれました。そして、カウンター越しになんとなく聞いていたママも、そっと微笑んでくれて。お姉さん思いなのはいいけど、今度はあなたの番よ、優しい目がそう言っているようで、それがあまりにも温かい空間で、また一つ肩の荷が下りたようでした。自分が頑張って降ろさなくても、さりげなく手伝ってくれる人には素直に甘えよう、そんなことを思わせてくれた優しいひとときでした。
「そう言えばね、Sちゃんは、いつもお姉ちゃんにグレープフルーツの皮むきとか、栗むきとかやってあげているでしょ。妹がなんでもむいてくれるって。今度はその役割が俺に回ってきて困っているんだよ。あんまり甘やかさないでね。」そう言われ二人で大爆笑。弾けたよ、そこにあったサワーと共に。だからもう、一つ下に下がらない。上を見て、支えができた姉の未来を応援する。
いい姉妹、これはなかなか本音がぶつけられずにいる二人にとって、何よりの誉め言葉。