カフェにいると、周りの様子が気になることがあり、前に座っていたご夫婦の女性の方のスマホが鳴り出し、その場で取って話し始めた時のこと。まあ、短時間で終わるだろうと思い、なんとなくやり過ごしていたら、電話を終えた後に旦那さんが激怒。「周りの方達に迷惑だろ！外でしてこい！！」だってすぐに終わったじゃないとぶつくさ言っていた奥様のスマホが、再度着信。慌てて外に行く様子を見て、なんだか旦那さんのひと言が本当に有難くて。パソコン操作をしている私の方をチラッと見た視線、見逃しませんでした。こちらのことを気遣ってくれてありがとう。
別のカフェでは、高校生のカップルが大きな声で問題を出し合っていて、周りが一人客の方ばかりだったので特に浮いてしまい、しびれを切らした若い男性が寄っていき、ひと言。「申し訳ないんですけど、もう少し静かにしてもらえませんか？」そこにいた方達の気持ちを見事に代弁してくださり、みんな心の中ではスタンディングオーベーション。よく言ってくれた！と誰もが思った瞬間でした。申し訳ないんですけど、とひと言添えたあたりも素晴らしい。普通の会話ならまだしも、盛り上がりながら電源のある席で試験勉強をされたら、お店側も困っていたのかも。本当にその男性にお礼が言いたかったです。
大学図書館で勤務していた頃、試験期間中になると、普段利用しない学生さんが集団できて、盛り上がってしまうので、私も注意をする側に。５～６人の男女で話していた学生さんの声が大きく、１人で勉強をしていた学生さんが明らかに困っていたので、その場に行き、「もう少し静かにしてもらえませんか。」とやんわり伝えました。すると、男子学生さんがひと言。「あ～、すみません。これから皆で飲みに行く相談をしていて。おねえさんも行っちゃう？」「行っちゃわないです！！」全くもう！と思い、ぷりぷりしながらカウンターに戻ると、その様子を男子学生さんがそっと見ていて、ぷぷっと笑われてしまいました。怒ったまでは良かったけど、その後にからかわれているのが、さぞかし面白かったよう。面白くないわ！！
以前、図書館課課長を務めていて、異動になった別の課の課長に学食に誘われたことがありました。私が教員免許を持っていることをなぜか知ったらしく、さりげなく話をされました。「せっかくその資格を持っているなら、生かそうと思ってもいいんだよ。選択肢はいくつあってもいいと思う。年齢を重ねただけ、動きづらくなるものだから。どこかのタイミングで役に立ったらいいね。国語じゃなくて社会というのが、僕の中では意外なんだけど。何かあれば、相談しにおいで。」そう言われ、温かい気持ちと共に、どさくさに紛れて学食をご馳走になってしまいました。どこでその話が漏れたのだろうと思っていたら、女性の上司が二人きりになった時に伝えてくれて。「教員採用試験を受けなさい！受けるだけ受けた方が後悔しないわよ！」ああ、ここが発端ね、となんだか沁みたやりとりでした。
人の世話を焼くのが大好きな人達。図書館の雰囲気がそうさせてくれたのかも。全然迷惑じゃなくて、有難いと思うから、その気持ちを仕事で返したいと思う。そして、利用者の方に届けたいとも。「学生さん達の親御さんが一生懸命働いたお金で、大学に通っている。その学生さん達に心のこもったサービスをしよう。」そんな男性上司のひと言に、胸が熱くなる朝。
受け取ったから返す、自分が経験したからこそ、伝えられる人達。そんな人間模様が好き。