繋がる過去

最近ボロボロになってきていたお気に入りのバッグ。ついにチャックが壊れてしまったので、新しい商品を探していたら、大学時代の自分を思い出しました。その時愛用していたアニエスベーのバッグ、そうだ原点回帰しようと思いネットで検索。すると通園バッグ用のお手頃サイズを見つけてしまい、喜んでオレンジ系を購入しました。大学時代どころか、幼稚園時代が懐かしくなり、黄色の通園バッグを放り投げ、4歳上のネネちゃんに当たり散らかした自分が蘇ってきて。またこのバッグと共に沢山の景色を見に行こう。姉が手を引いてくれたぬくもりを色々な場面で思い出すのかな。彼女が手を取ってくれたのは私の左手でした。幼稚園のはさみが右利き用だから、左利きの私はうまく使えないといじけていた自分をネネちゃんは知っていて。大切な個性だと言い続けてくれた彼女の優しさを持って、大人になった気もしています。左利きあるあるボックスにネタを詰め込んで、また笑って会いに行くことにしよう。

WBC準々決勝、息子が半日授業だったので、一気に用事を済ませ、テレビの前に座りました。負けたら終わりの大一番、国歌斉唱が胸に響き、プレイボール。大谷選手の気迫のこもった投球に熱くなりました。1回からギア全開、この大会にかける想いが伝わってきました。打者としての大谷選手がセーフティバントを決めた時、体中から涙が溢れそうになって。自分も生きようとするセーフティバント、ワンアウト一塁の場面で、確実に三塁線へ転がし、走り抜け、結果的に一塁三塁になったそのプレーに衝撃を受けました。勝ちに行く、その気持ちをこのような形で見せてくれるんだなと。その後、点が入り、村上選手もタイムリーヒットを打ってくれた時、息子と歓喜し、胸がいっぱいでした。つば九郎のユニフォームを着て、バチを叩き、本物のヤクルトファンだなと笑えてきて。そして、痺れる試合展開の中、イタリアに9対3の勝利。大谷選手の魂が叫んでいる気迫が、チーム全体に広がったかのような堪らない時間でした。スリーランを打ってくれた巨人の岡本選手のヒーローインタビューを聞いて、息子をようやく寝かせ、時計を見ると11時半。ネネちゃんの言葉が再生されました。Sちんは犠牲バントじゃだめなんだよ、三冠王を狙え!と。この国際大会の絶対負けられない試合で、スーパースターの大谷選手がセーフティバントを決めて、光り輝いた。元々輝いていた中で、さらに光を放ってくれて自分の中で何か変化が起きた気がしました。ピッチングもバッティングも一流、そんな大谷選手がフルスイングではなくバントをしたそのプレーそのものも、彼らしさで、とんでもないものを見せてもらった気がしました。試合後会見で栗山監督もセーフティーバントについて伝えてくれて。「ずっと彼を見てきて、翔平らしさが出るときは、実はああいうとき。投げる、打つは別として。絶対に勝ちにいくんだと、野球小僧になった時に彼の素晴らしさが出る。」日本ハムの監督時代から大谷選手をずっと見てきた栗山監督だからこそ、届けてくれた言葉なのだと思いました。どこまでも深いな。

その週末、プログラマーのMさんがリーグワンのラグビーの試合を誘ってくれました。シェアオフィスでお世話になっているラガーマンTさんが所属していたチームの試合、息子に伝えると喜び、応援グッズを詰め込んでいざ秩父宮へ。その日は生憎の雨、それでも止むように祈りながら、最寄り駅に到着。Mさんと合流し、ファーストフード店に入ると、同じTシャツを着たファンの方達に会い、何とも言えない親近感を抱き、嬉しくなりました。その後、外に出ても雨、ヤクルトショップに寄り、秩父宮ラグビー場に着いても止まず。それでも、息子は日本代表桜のジャージーを着たスヌーピーのマスコットを見つけ購入すると、大喜び。チームのマスコットキャラクターとも写真を撮り、一人でトイレに向かいました。その時、ベンチ入りをしないチームのメンバーが席へ座りに行く途中、Tさんと同じ購買部で働き、ずっと応援していたプロップの選手を見かけ感激。握手してください!と言おうか、Tさんにいつもお世話になっていますと言おうか、迷ったものの、彼の表情が少し曇っているように感じられ、何も言えませんでした。Tさんが前に伝えてくれた言葉が頭を掠めて。「まだ自分はやれた、チームを離れる時そんな気持ちでいました。」と。プロップの選手の表情を見た時、彼の言葉と重なり、そっと見守ろうと思いました。それでも、連敗が続いた時にシェアオフィスの受付でTさんに伝えたことがあって。「どれだけ負けが続いても、ずっと応援しています!」その時、彼の目が一瞬潤み、嬉しそうにお礼を言ってくれました。そんなひとつひとつの気持ちが、束になって選手達の力になってくれるのだと。だから、プロップの選手にもし今度会うことができたら伝えようと思います。「どんな時も応援しています。○○選手のプレーを見て、手術後励まされました。ずっと忘れません。」いつか引退の時がくる、それでもこの気持ちを持ってユニフォームを脱いでくれたらと後姿を見て思いました。ラガーマンの背中、格好いいな。

試合は、土砂降りの雨の中キックオフ。いい戦いを見せてくれていたものの、前半30分で息子の体が凍り付き、体を優先して秩父宮を後にしました。それでも、メインスタンドのど真ん中最前列に座れたこと、息子のラグビー観戦デビューを果たせたことに胸がいっぱいでした。「初めてのラグビーがいきなりの雨で、ボクにはハード過ぎた~。選手達も雨の中大変だね。でも、スヌーピーを連れて帰ってこられて良かった!」とミッション成功に喜んでくれてほっ。土砂降りの日、思い出してほしい。ラガーマン達がどろどろになって相手にぶつかっていった闘志を。Mさんと三人で散々盛り上がり、深夜に帰宅し、私が持っていたチームのキーホルダーを息子に渡すと、喜んでランドセルに付けてくれました。試合を観られたのは30分、それでもすっかりファンになってくれたよう。野球もラグビーも他のスポーツも、選手一人一人が子供の頃に描いた夢を見せてもらおう。あまりにも沢山のストーリーに涙がこぼれるんだ。すべてのアスリートの方達へ、温かい拍手を。その声援がとんでもない力にきっと変わる。