移籍先での感動

優しい選択肢を用意してくれた主治医の新しい病院へ、初めて行ってきました。
前日に予め地図では確認していたのですが、それでも、予約時間にたどり着けるかなと朝から緊張。息子を幼稚園に預け、最寄り駅から電車に乗り、私が苦手な2回乗り換えが終わるとほっとして、急に眠気に襲われて。

元々眠りが浅いんだから大丈夫だろうと安心して寝ていると、急にはっと起き呆然。しまった!乗り過ごした!!なんで普段は浅いのに、こういう時だけしっかり落ちてしまうんだと、自分の眠りに八つ当たり。慌てて降りて、反対側の電車へ。2駅通過しただけだったので、そこまで時間のロスは無く、失点は最小限。地元名古屋で、地下鉄東山線は、一体何度乗り過ごしたことだろうと懐かしくなっていて。相当お疲れの学生生活だったな。

そんなボケボケの状態で、ようやく駅に着き、地図を片手に病院へ。時間ぎりぎりで、適当に問診票を書いていると、受付の方から、「先生からの紹介状を出してください。」と言われ、忘れたことにがっくり。カレンダーにも書いて、分かりやすい所に置いておいたのに、忘れた!これで、2失点目。今日は、もう一つ絶対何かやらかすなと思いながら、受付の方に謝りました。

その後、診察室に呼ばれると、先生の顔を見た途端、こみ上げるものがあって。そんなに前じゃないのに、場所が変わるとすごく久しぶりな気がして、また違う場所で会えたことが本当に嬉しかった。「先生、またよろしくお願いします。」と伝えると、「こちらこそ、よろしくお願いします。紹介状、一生懸命書いたのに、忘れちゃったんだって?」と笑われて。あ~、いつもの先生だ。ごめんなさい。大勢の患者さんが移籍したので、一人一人に症状や服用していた漢方を丁寧に書いてくれていたのですが、見事に忘れてしまい、ただただ反省。

そんな中で、触診をしながら伝えてくれました。「最近、痩せちゃった?お母さんとまた何かあった?」紹介状を忘れたのに、主治医はたった一度だけ話した母との関係性についてずっと心配してくれていたことを改めて実感。だから、遠方まで呼んでくれたんだよね。
半泣きしながら、足の温度を測るためにショートストッキングを脱ぐと、感極まっていたせいか、片方をベッドの端に落としてしまい、ひと騒動。しゃがみ込んで一生懸命取っていると、先生が、「端の方、埃があったらごめんね~。」とやっぱり笑ってくれて。これで、3失点目。また何かあるのは分かっていたよ。

次回の予約をして、笑顔で別れ、近くの薬局に行くと、薬剤師さんの方が、処方箋と私の住所欄を見て伝えてくれました。「○○先生を追いかけて来てくれた患者さん、他にも沢山いますよ」と。
通院することをためらいたくなるぐらい、本当に遠かった。でも、患者さんの体だけでなく、心を大切にしてくれる医師に診てもらえるなら、ここまで来たくなるよね。仲間がいっぱいだ。

乗り換えの駅で、簡単に遅めのランチを済ませ、慌ててお迎えに行くと、延長保育を利用して待っていた息子が聞いてくれました。「ママ、今日は何の電車に乗ったの?」この質問はやっぱり男の子にしかできないな。小旅行に行ってきた気分で、園庭で走り回る息子を見ながら現実に戻っていて。
そして、母とのことを気にかけてくれていた主治医の優しさが、そっと胸に残る。