優しい選択肢

今日は、久しぶりにほんわか主治医の所へ、診察に行ってきました。
なんだろう、この温かい感じ。相変わらずそこにある優しい雰囲気。

診察が終わり、次回の予約の話になった時、先生が申し訳なさそうに伝えてくれました。
「実はこの病院、3月末で辞めることになってね。」
予想外の展開に、急に寂しくなってしまいました。一瞬のうちに、どれだけ助けられていたのかを痛感したら、存在の大きさに改めて気づかされて。ずっと悩まされていた頭痛を、緩和させてくれた初めての医師であり、医療の枠を越えて、私の心に寄り添ってくれた優しい先生でした。

本当にどうしようもなく弱っていた時期、母のことをたった一度だけ話したら、「それだけの家庭環境の中にいて、どうしてこんなに素直な子になったの?」と穏やかな口調で言われたので、「お母さんと呼びたくなる人達に沢山出会い、周りに助けられてきたから。」と話すと、微笑んでくれて。周りというのは、もちろん先生も入っているよと心の中で呟いたから、届いてくれたかな。

子供の頃から、常に緊張状態にあった、それが長年蓄積されて自律神経に影響が出てしまい、体を冷やし、頭痛にきているというのも一つの理由じゃないかというのが先生の見方でした。
祖母に体質が似ていることと、環境が多少なりとも影響し、長年苦しんできた頭痛の根源を突き止めてくれた医師。
お会いできて本当に良かったと、診察中、沢山の気持ちが込み上げました。

あまりの寂しさにぼんやりしていたら、先生が意外な選択肢を用意してくれていて。
「漢方には詳しくないのだけど、ここの病院の内科医にカルテを引き継ぐから、今の漢方を処方してもらうことはできるよ。あと実はね、他のクリニックに移ることになって、ここから遠くなってしまうのだけど、1時間程電車に乗ってもらえれば、2か月に一度位の診察で通院することも不可能ではないかもしれない。究極の選択になってしまってごめんね。」

場所がピンと来ていないこともあって迷ったのですが、先生と完全にお別れじゃないのだと思ったら、安心して。なんだか、いかにも先生らしい2択でした。
その気持ちが痛いほど伝わり、「先生の新しい病院に通う方向で考えます。」と話したら、安堵しながら伝えてくれました。「僕の患者さんのこと、皆心配でね。」“あなたのことが心配”ではなく、皆の中に私が含まれている。それもまた、オブラートに包んだ先生の優しさ。

私がついていくことを祈ってくれていたのか、地図とクリニックのアクセスをカラーコピーでプリントアウトしてくれていました。それをもらいながら、「先生の世界は、ずっと現役でいられるんですか。」と聞いてみると、「漢方治療はね、経験を積み重ねることで、よりよい医療を提供できるんだよ。多分ずっとそこのクリニックにいるよ。」
「先生、ずっと現役でいてくださいね。」ようやく言えた!と思ったら、嬉しそうにしてくれました。

ラミレス監督が、選手時代に通訳の方と一緒に移籍したように、私も主治医を信頼して移籍。優しい医療の原点を、教えてくれた人だから。