夢見る途中

今度記事を書く時は、準々決勝の後だろうと思っていたものの、意外と日にちが空いていたので、イタリア戦の前日に今の心境を書くことにしました。試合を早く観たいのと、このわくわくがもっと続けばいいのにという嬉しい気持ちの中にいます。残り3試合、侍JAPANロスは大きいだろうなと自分で思いつつ、心の中に詰め込めるだけワンプレーワンプレーを残しておきます。あと1日で2次ラウンドのプレイボール!

韓国戦で怪我をしたショートの源田選手(西武)。大会が始まる前、テレビのインタビューを見ることができ、とても柔らかい彼の物腰になんだか優しい気持ちになりました。ショートのポジションから、素晴らしいピッチャーの方達の投球を見られることが楽しみなのだと。そんな源田選手の華麗な守備を見て、私も息子も歓喜。「なんか美しいね。」「うん、ボクも安心する。」と盛り上がっていたものの、怪我をしてしまいとても心配になりました。その後、プレミア12(2019年)に源田選手が出ていて、思いがけないことが分かり、思わず叫んでしまいそうに。それは、オーストラリア戦1対2で日本が負けていた時のことでした。吉田選手(オリックス)がヒットを打ち、出塁。その代走に周東選手(ソフトバンク)が出て一塁ランナーに。足の速い周東選手は、すかさず二塁へ盗塁し、その後、隙を見て三塁へも盗塁を決めてくれました。その時すでにツーアウト、打席に立った選手がまさかのセーフティスクイズを決め、周東選手が同点のホームを踏んでくれて、本気で驚きました。その時、セーフティスクイズをしてくれたのが源田選手だったのだと、何年も経ち分かり、なんだか胸がいっぱいに。祖父といつも甲子園を観ていると、聞かれた質問がありました。「Sちゃん、バントとスクイズの違いってなんだ?」と。「バントはバットを斜めに持ち、来た球を当ててゆっくり転がしている間にランナーを進めたりするから、送りバントって言ったりするの。自分がアウトになってもいいから仲間を進塁させるため。スクイズは、ランナーが三塁にいる時に、バントをして点数を入れることを言うの。バントをした人はアウトになる確率が高いから、ノーアウトかワンアウトの時しか難しいと思う。」「そうか。スクイズってうまくいくとは限らないな。」そんな話を毎回していた甲子園。そういった自分の想像をはるかに超えたツーアウト三塁で、セーフティスクイズを決めてくれたその瞬間がずっと心の中に残っていました。なぜそれができたのか、その答えが今になり少しだけ分かった気がして。周東選手だけでなく源田選手も足が速かった、そして、オーストラリアの選手達はまさかツーアウトでスクイズするとは思わず前進守備をしていなかったこと、何より二人がお互いの動きをよく見ていて、このタイミングしかないという信じる気持ちが、阿吽の呼吸で重なってくれたのではないかと思いました。その試合を観て、野球の深さを改めて感じ、繋げる日本の野球をより一層好きになりました。違うチームの二人が、侍JAPANで合流し、魅せてくれたチームワーク、その二人がWBCでも合流し、共に戦ってくれていることに感無量です。栗山監督は、今回キャプテンを選びませんでした。みんながキャプテン、なんだかその意味が少しだけ分かったような気がしています。

たっちゃんことヌートバー選手は、子供の時から日本代表になることが夢だったよう。テレビを見て、色々なことが繋がっていきました。メジャーリーガーになり、SNSのダイレクトメッセージから一本の連絡が。それは、大谷選手の通訳を務める水原通訳からでした。電話をかけると、侍JAPANの話をされたそう。彼の夢がそこまで来た瞬間でした。それから栗山監督とオンラインで話し、日本へ。一戦目から大活躍をしてくれて、水原通訳とベンチで話しているたっちゃんが、ガムの風船を膨らませていて、とても自然体な所まで魅力的な選手だなと思いました。東京ドームの大歓声に包まれて、帽子を取ってお辞儀をする彼は、私達に夢が叶った喜びを全身で見せてくれているんだなと。何か忘れてはいけないものを思い出させてもらった気がしています。

カブスの鈴木誠也選手。WBC直前で腰を痛め、出場を辞退されました。その鈴木選手が、打撃不振の村上選手を励ます動画を公開。それを見て、思わず笑ってしまってなんだか私の方が励まされたようでした。仲間っていいなって。いい時ばかりじゃないことを知っている、だからこそちょっとしたきっかけで肩の力を抜けよ、そうしたら自分本来の良さが顔を出すよ。そんなメッセージを伝えてくれているようでした。村上選手の真似をして、少し肩を落としてペッパーミルパフォーマンスをする鈴木選手、私の頭の中で何度も再生され、その度に愛を感じました。本当に近い人だから、ずっと一緒に戦ってきた仲間だからできることなんだろうなと。
「村上~、がんばれ~!!」画面に向かって目一杯応援する息子。その声援が、緊張ではなく村上選手の笑顔に繋がることを願って、この記事を閉じようと思います。チームジャパン、大きな力の結集がみんなの心を一段上げてくれると信じて。