シェアオフィスのラガーマンTさんが異動をされた後、メールで伝えてくれていました。チームのグッズを渡したいので、都合のいい時を教えてもらえないかということ。どんな時でも彼の気配りがそこにはあって、胸が熱くなりました。そして、日にちを合わせ、久しぶりにシェアオフィスへ向かうことに。すると、歩いている途中でTさんからのメールに気づきました。その日はめちゃくちゃ暑い日、件名が絵文字の太陽マークだけになっていて、笑ってしまって。こちらの時間を改めて確認してくれる内容だったものの、太陽マークの件名がどこまでも彼らしく、再会することが嬉しくなってきました。5ヶ月ぶり、途切れなかったご縁に感謝したいです。
その後、シェアオフィスの一階に着き、トイレに入るといつもお世話になっていた清掃の女性スタッフさんが私に驚き、声をかけてくれました。「お久しぶり~!お元気そうで良かった!」「はい、お互いに。今日は暑いですね~。」「そうなの~。もう帰る所なんだけど、強盗のような格好をしていてごめんね~。」とよく見ると、黒のフードを被っているのでその表現に笑ってしまいながら、「お疲れ様でした!」と伝えると、同じテンションで返してくれました。なかなか会えなかったから、心配してくれていたんだなと胸がいっぱいに。そこにあった日常の中にいてくれた人、笑い声が活力になっていたことを改めて知る。
そんな優しい時間の余韻を残しながら、待ち合わせ場所の二階へ向かいました。すると、Tさんと感激の再会。変わらない温度と彼の笑顔に、ぐっときました。そして、チームの非売品である下敷きとクリアファイルをプレゼントされ、感無量でした。異動になり、挨拶もできないままですみませんでしたと謝ってくれたTさん。その律儀な姿を見て、彼はずっとこうやって生きてきた人なのだと思いました。人を大切にしてきた人の周りには、人が集まる。建前なのではなく、本心で届けてくれたその気持ちに、彼が歩いてきた道のりを感じました。コロナ禍になる前に、出会ったTさん。受付で、行きも帰りも気持ちよく挨拶をしてくださる方だなといつも思っていました。出張へ行かれる方には、「いってらっしゃい」と送り出すその声に、こちらも元気をもらっていて。その後、お互いがマスクを付け、受付には透明なアクリルカーテンが設置され、それでもラグビーの話にはいつも花が咲き、楽しかった時間。その後、手術が決まり、どう転ぶか分からなかったので、オフィスの誰にも言わないまま手術日がやってきました。眠れない朝を迎え、待合室から外を見ると、Tさんが勤務されていた会社が見え、涙が溢れそうでした。またみんなに会いたいな、会えるように乗り切ってきます、そう誓い手術着に着替え向かった手術室。こんなにも助けられていたのだと気づきました。それから、手術は上手く行ったものの、あまりにも卵巣が酷かった為、術後の治療に入ることに。ようやくシェアオフィスへ行けたものの、薬物療法の副作用に悩まされた日々。前のように記事が書けなくなり、瞬きをしただけで涙がこぼれそうなメンタル不調に襲われ、これはだめだと荷物をまとめて昼に帰宅しました。それからも、副作用を抑えるはずの漢方にも副作用が出てしまい、胃腸が一気におかしくなりノックダウン。夏休み前に辛さに襲われ、本気で途方に暮れそうでした。それでも、寝ながら記事の確認をし、なんとか這い上がり、プログラマーのMさんが送ってくれた薬で調子を戻していくと、東京オリンピックが始まりました。Tさんが所属していたチームの選手が7人制ラグビーに選ばれ、受付でルールを聞いた時、「僕もよく分からないっす。」と言われて、一緒に笑ったことが思い出され、元気を取り戻していきました。そして、あっという間に終わる7人制ラグビーの試合展開に息子と驚き、一緒に応援した時間。それから、母に見てもらっている間に久しぶりにシェアオフィスへ顔を出すと、Tさんと不動産関係のお仕事をされていたHさんが受付近くで談笑をされていて、自然な形で混ぜてもらいました。ここが、私にとってのサービスエリアなのかもしれないな、そんなことを思いながら。「7人制ラグビーの試合って今度いつですか?」と私。「今日終わっちゃいましたよ。」とHさん。「ええっっ!!」と本気でショックを受けると二人が笑ってくれました。久しぶりにTさんに再会し、お話をしていたら数々のあたたかい出来事が頭の中で流れて行き、どの時間も忘れたくないなと思いました。話を聞くと、お世話になっていた施設長も広報のお仕事をされていた紳士的なスタッフさんも4月に異動されたよう。別れって本当に急なこともあり、だからこそ目の前にいる人との時間を大事にしていきたいと思いました。よく見ると、Tさんは白の綿シャツに黒のパンツ、白と黒のチェックのワンピースを着た自分と色合いが重なり、なんだか嬉しくなって。そして、今後も会社用のアドレスへごくたまにメールをしても大丈夫かを尋ねると、LINEの連絡先を教えてくれました。繋がった、それはあまりにも意味のある太い線に思えて、感激のひとときでした。Hさんと同い年のTさん、彼らの友情もほのぼのしていて、最近なかなか会えていないことが分かったので、タイミングを見つけて3人でランチの提案をすると、本気で喜んでくれました。そうか、彼らは私が入院していた時、そっと二人で『さくらdeカフェ』を訪れてくれていたな。一緒に心配し、復帰を願ってくれていた。その気持ちをリアルランチで返さねば。二人の優しさに、どれだけ励まされたか分からないのだと。最後に、スタバのリユーザブルカップ(くまちゃんのキャップ付き)を渡し、笑ってお別れしました。永遠の別れではなく再会を約束、そして、彼から“土”を感じました。タックルされてもボールを離さない、そして仲間を信じてパスをする、そんなTさんがいつもそこにはいるのだと。
あたたかさのおみやげを持ち帰り、息子に下敷きを渡すと歓喜。「ええっっ!!どうしたの、これ?」「前に、お母さんが時々行くシェアオフィスのスタッフさんに応援しているチームのラガーマンだった方がいるって話をしたでしょ。その方に今日会ってプレゼントされたの。」「やった~!」とウキウキの様子で名前を書き、さっそくランドセルに入れてご満悦。もう一つのクリアファイルはこっそり自分のパソコンバッグへしまいました。息子のキラキラ光線にあったらあげてしまいそうだったので、上手に回避。そして心の中で伝えてみる。Tさんね、中学生だけでなく、大学ラグビーのコーチでもあるんだ。いつかあなたがその大学に進学してくれたら、お母さん泣いちゃうな。今日、気づいたんだ。彼と話すと大学時代の自分を思い出すことを。辛いことよりも、沢山の青春が蘇る。彼の中にあるものが、私の中で眠っていたものをもう一度呼び起こしてくれるのかもしれないね。R、人生は思ったよりも短い。人との出会いは、心を溢れさせてくれる宝だ。そんなひとつひとつを拾っていってね。
別れではなく続く、Tさんはどの章までいてくれるだろうか。なかなか会うことはできなくても、彼が監督になる日をそっと夢見ることにする。