様々な選択

よく晴れた日、息子と自転車に乗って広い公園へ行ってきました。フリスビーとサッカーをやって、いつものように盛り上がっていると、母からメッセージが。今夜一緒に回転ずしに行かないかということ。直感で父とまた何かあったのだと分かりました。それでも、頑張って上を向こうとしている彼女の様子も読み取れたので、息子と向かうことに。すると、澱んだ雰囲気はなく、明るく振舞おうとしていることに気づき、何かあった?といつものように聞いてしまいそうな自分にブレーキをかけました。母の精神的自立、それを阻害することなく、応援する娘でありたいなと。何事もなく、楽しくご飯を食べようとすると、息子が急に頭が痛いと言い出し、ノックダウン。ボックス席に寝かせ、たまにこういったことがあると話すと、こちらを気遣ってくれました。Sの体調だけでなく、Rの調子も悪くて、会いたくない日があったのねと。ほとんどお寿司を食べずに帰ろうとする息子に、500円玉を渡してくれた母。彼女自身が落ち込んでいる時に、こんな優しさを向けてくれる母を見て、心からのエールを送りたくなりました。ここからの年表がピンク色になるといいね。我が家の黒い歴史は終わらせよう。

そして息子は、くらくらになりながら帰宅。翌朝も調子がいまいちだったので、学校を休ませることにしました。「ママ、今日休んだから、ボク4連休だね!」そう、その日は11月4日。勝手になった連休に喜ぶ息子を見て、随分余裕のある欠席だなと笑えてきてしまいました。その週末も、侍JAPANの強化試合を楽しみ、私の野球熱に息子が若干引いていて、盛り上がった休みも終わり。すると、一人になった夜、ゴールドコーストの波の音が聞こえてきました。ブリスベンで短期留学をした後、高速バスに乗って向かったサーファーズパラダイス。スーツケースを持って、一週間コンドミニアムに滞在しました。日の出とともに起き、海岸をビーチサンダル片手に裸足で歩き、眠たくなったらベッドでお昼寝。街を散策し、マウンテンバイクを借りて、海岸沿いをずっと走りました。頭を振ったらカランカランと音がするまで帰ってきたらダメとネネちゃんに言われていたので、思うままに、好きなものを食べ、ほしいものを買って、海を見てぼんやりしていました。その一週間が私の中にいつもどこかで流れていて、一番自分にわがままで、一番自分に優しかった時間だったのかもしれないなと。まだ手元にあるオーストラリアドル。必ず息子を連れて行くと約束したから、波の音と共に大切に取っておこうと思っています。問題は、夜便だということ。冷えと気圧の変動で一気にやられない為に、二人で体を鍛えないと。ホストファミリーも、語学学校でも、カフェも、街で話しかけられたオージーもみんなファーストネームで呼んでくれました。今思えば、それが本当に嬉しくて。自分が見たもの、感じたもの、喜び、優しさ、地球、息子に届けられるその日まで頑張ることにしよう。

元彼は、アメリカ育ちの人。日本にある支社に転勤になり、出会いました。土日も働き、彼の生きがいは何よりも仕事でした。私をアメリカに連れて行き、そこで暮らしたい、でも子供はいらないと言われました。女性にとってあまりにも大きな選択、答えはノーでした。どれだけ話し合っても、お互いの気持ちは変わらず別れることに。もし、その時一緒にアメリカへ行っていたら、悠々自適な生活が待っていたかもしれない、でも子供は持たず、いつも8割の幸せがそこにはあったのかも。その選択をしていたら、今出会ってくれている沢山の方達とも会うことはなく、そして息子を抱きしめることはできませんでした。それを思うと、目の前にいてくれる全ての方達は、私の中で大切な人達です。8割の幸せではなく、お腹いっぱい幸せだと思える今日を、慈しみ、守っていきたいと思っています。元彼が別れ際に言ってくれました。「100%俺が悪かった。」と。そんな数字はあり得ない訳で、1対1の人間がすれ違うのは仕方がないことで、それでも彼が最後に届けてくれたその言葉は何よりの優しさだったと今でも思っています。人を見送る時、大きな器でありたい、そんなことを思わせてくれたあまりにも大きな別れでした。今、いい人生を送ってくれているだろうか。もう書かないと言っていた内容に触れたのは、彼への感謝が溢れたから。お互いの未来を応援できて良かったね。

「ボクね、ママと広島に行く夢を見たの。2泊3日で、動物園にも行ってそこでぬいぐるみを買ってもらって、最後に自転車で街を回ったの。」えらい具体的やなと朝から笑ってしまいました。8月6日、広島に原爆が落とされた日。毎年その日になるとテレビの前で祖父の目は潤んでいました。おじいちゃん、ひ孫になにか信号を送ってくれた?広島に行く夢を見たんだって。アメリカに行かなかったという道、それは本当に正しかったのだと息子が証明してくれた。祖父の想いは間違いなく受け継がれた。