キメなくていい

平日の朝、息子の髪の毛がはねている時は、私が指摘をする前に鏡の前に立ち、一生懸命自分で水を付けてなでなで。はねていた方が可愛いじゃん!と言っても、「恥ずかしいからいやだ。」と言われ、いつからこんなに色気づいたんだと笑える身支度の時間。この間の週末は、いい感じではねていたので、突っ込んでみると、「今日はいいの。」と言われてしまい、どうやら彼なりに切り替えスイッチがあることが判明。面白かったので一日いじろうと思い、事あるごとに「今日、はねているよ。」と連発すると、さすがに反撃され、「ママうるさい~。」と怒られてしまいました。お母さんは、きちんとしていない方が好き。実験に失敗したかのような博士のような寝起きも、子供らしくていいじゃない。

そんな息子を送り出した後にやってきたシェアオフィスで、視界に入ってくるのが一人のスーツを着た男性。平日午前、週に数回見かけ、いつも凛々しい顔でパソコンに向かっているので、その刺激をもらっていたのですが、ふと下を見てみると、綺麗に磨かれた革靴を脱いで足を浮かせていて、吹き出しそうになりました。いいです、その緩さ。きちんとした中で見せてくれるいい加減な所は、こちらを和ませてくれますね。ここまで見られていると分かったら、皆さんに怒られてしまいそうなので、程々に。でも、なにかに打ち込んでいる姿は、やっぱりいいものです。

中学で陸上部をやっていた時、各部活からの選抜(本人の希望も含む)だったので、体育教師であり、野球部の顧問が陸上部も兼任し、皆の見本になるような練習姿勢を見せろというのが口癖でした。秋になると日が暮れるのも早く、天気が悪い時は体育館での練習もありました。顧問がたまたまいなかった時、3年生の先輩がふざけてバスケットボールで遊びだし、それが運悪く窓ガラスに当たってしまい、ガッシャーン。その音を聞きつけた顧問が飛んできて激怒。結構遅い時間だったので、その日に残っていた部員は少なく、そこにいたメンバーだけ連帯責任ということで校長室に呼ばれ、正座。ジャージ姿で、上履きを履いたまま正座させられたものの、校長先生が来るわけでもなく、顧問の説教が始まりました。「やったのは誰だ?どうして周りは止めなかった?」先生も自分で言って気づいていたと思う。2年生の女子が3年生の男の先輩に言える訳もないことを。そこにいたのは2年生が多く、明らかに先輩の独断だったわけで、そのことを感じた上で呼び出したことは明確でした。先輩も謝りながら半笑いをするし、それにつられて、伝染したかのように皆が肩を揺らし始め、足痺れるわ、笑いを堪えるのが大変だわという、なんとも面白い展開が待っていた訳です。その光景を見た顧問までにやけだし、こういう雰囲気になることは想定していたのだろうと、やられた感がありました。先輩が謝り、後ろにいた後輩も続いて謝り、陸上は孤独だけど、気持ちはチームプレーだと教えたかったのかな。先輩が、イケメンのわりにチャラい人だったことで、かなりのとばっちりを受けた、面白くて苦い経験です。

一緒に謝ってくれたと言えば大学図書館で勤務をしていた頃。一般市民の方の閲覧の際、私のちょっとしたミスで怒らせてしまい、カウンターで謝りました。そして、ふと横を見たらたまたま通りかかった先輩が一緒に頭を下げてくれていて、泣きたくなりました。その方の機嫌はすぐに直り、帰られた後に先輩に改めてお礼と謝罪を口にすると、優しく微笑みながら伝えてくれました。「利用者の方に分かってもらえたなら、それでいいです。」と。私にガツンと怒ってもいい場面。それでも、サポートしてくれたのは先輩の優しさであり、十分反省していると感じたこと、そしてなによりここは図書館カウンターであり、皆が聞いているという配慮もあったのだろうと感じました。
誰かがミスをした時に、一緒に謝り、大丈夫だと伝える優しさ、私にもあるだろうか。